まずは昨日、公正取引委員会が家電量販店のポイント還元を実質的な値引きと
する独占禁止法の運用指針(ガイドライン)の原案を公表しております。
原文はこちら。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.may/06051603.pdf
関連する読売新聞ニュースをご紹介後、コメントと事例分析を少々。
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■家電量販店「ポイント還元も値引き」と公取が指針公表
公正取引委員会は16日、家電量販店での不当廉売に関する独占禁止法の運用指針(ガイドライン)の原案を公表した。
商品を購入した際の「ポイント」を将来の買い物に使える「ポイント還元」も実質的
な値引きに当たると判断。販売価格からポイント分を差し引いた「実質的な販売価格」
が仕入れ価格を下回った場合などは、不当な値引きにあたるとした。
ポイントサービスは「20%還元」などと表現され、大手量販店の間で定着しており、
大手量販店でのサービス合戦にも影響を与えそうだ。
公取委が家電販売のガイドラインを策定するのは初めてで、6月15日まで、
一般から原案についての意見を募集する。
ポイントサービスを巡っては、大手量販店の間で還元率を高くする競争が激しく
なっており、公取委は「地域の小売店などへの影響が深刻化している」とした。
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(コメント)
①私は4月21日に『見えない値下げ「ポイントバブル」に思う』という記事を書きました。
http://blog.goo.ne.jp/dancing-ufo/e/f8720044e6b630086b46c0789ec15441
そこでも、ポイント乱発合戦は確かに行き過ぎているような・・・。とコメントしましたが、やはり公取委が動き出しましたね。
これまでの状況を見ておりますと、家電量販店にとってポイントカードは
集客に威力を発揮していて、導入していない企業に対してアドバンテージと
なっていたようです。
特に、新規出店の際に高い還元率で集客し、「この店は安い!」というイメージ作り
に威力を発揮していたとのこと。
そんな中での、今回のガイドライン。
まだ原案なので最終形がどうなるか分かりませんが、仮に規制強化となっても、
ポイントカード以外で新たな仕掛けを作るんでしょう。
②ヤマダ電機のポイント制度を財務諸表から簡単に検証してみました。
4月21日の記事でも少し言及したヤマダ電機。
昨日決算を発表しております。で、注目の「ポイント引当金」残高は、140億円と
前期比▲17億円減少していました。
売上が2,800億円も増えているのに・・・。
そこで少し検証してみました。
以下、2002年度から2005年度の順に4期の金額(億円)を記載しています。
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ポイント引当金 76→167→157→140
ポイント引当金繰入 55→91→ 0→ 0
ポイント販促費 230→698→611→757
ポイント関係費用※ 286→790→601→739
連結売上高 7,938→9,391→10,024→12,840
ポイント除き売上高※ 7,653→8,602→9,423→12,101
推定発生ポイント※ 336→929→707→869
推定ポイント付与率※ 4.4%→10.8%→7.5%→7.2%
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(※用語の定義)
・ポイント関係費用=ポイント販促費+ポイント引当金前期比純増額
・ポイント除き売上高=連結売上高-ポイント関係費用
=ポイント付与対象の売上高
・推定発生ポイント=ポイント関係費用÷85%
(業界では発生ポイントの85%から90%が使用されるとのこと)
・ポイント付与率=推定発生ポイント÷ポイント除き売上高
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あくまで私見ですが、短信・有報の数値から推定する限り、ヤマダ電機は2004年度
にポイント付与方法を転換して、ポイント付与を抑える工夫をしていますね。
例えば、現金値引きとの併用、ってことも効果があったのでしょうか。
そして05年度はポイント引当金の残高は前期比で減少していますが、期中に発生
したポイント販促費用は+146億円増加しております。
要は発生したポイントが早めに使われて、期末の未使用ポイント残高が減少
したってことなのでしょう。(ということは、使用率も高まっているわけですが。)
ざっくりここ4年の動きを見る限り、当時の販売政策と辻褄が合うのなら問題は
ないってことになると思います。
・・・・・それにしても、私の拙い推定ではありますが、ポイント付与率7%台って・・・・・
本当なのかな?
まぁ、見方を変えれば、この絶妙なコントロールがこの会社の凄さかも知れませんが。
以上、門外漢の素人による戯言として聞き流して下さい。
・・・・・それにしても、今回の作業、結構疲れました。