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日本の環境会計が「ぬるま湯」、そのココロは?

2006-10-16 | 会計・株式・財務

本日のネタはエコノミスト06.10.24号p.68にあった
「ぬるま湯に浸る日本企業の環境会計」という論稿をざっくりとご紹介。
その後、コメント。ご関心ある方は現物をお読み下さい。

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・日本の環境会計は「何」に対してぬるま湯?
       ↓  
 米国での厳格な基準に対して
        ↓
 では、その厳格な基準とは何か? 
       ↓
・ 財務会計審査審議会解釈指針47号(FIN47号)
   「条件付き資産除却債務の会計処理」

    05年12月15日以降に会計年度を迎える企業は、
    このガイドラインが適用され、当該企業の連結対象企業の持つ
    米国内外の長期保有資産に関する「環境債務」を負債として計上
    することを求めている。

・具体的には、例えば、企業が保有するビルの断熱材などにアスベストが
 使用されている場合、当該ビルを売却する際にアスベストの除去が必要
 となるのなら、その費用は負債として貸借対照表に記載。

 さらに、対象資産の使用価値に応じた残存期間に合わせて償却し、
 損益計算書に減価償却費として計上する。


    負債=環境負債(利子など増加分を反映した将来発生する環境コスト)
    資産=対象資産(負債などを反映した額)
    費用=①将来負債を踏まえた減価償却費など
         ②環境保全コスト、修復コストなど、今期支出した環境関連コスト


  なお、これまでは環境債務について企業が
  「公正な価値について適切な見積もりが可能」なときに、
  それを負債として記載することとしていたが、
  それをFIN47では、現在価値の試算に「十分な情報」を適用することとした。

  「十分な情報」が入手できない場合には、その「不十分な情報」の開示と、
  情報不足の理由を説明する必要あり。
  要は、企業が情報開示しない理由を見つけることが困難に。


・しかし、米国でも開示状況では格差あり。
 環境負債を2億ドル以上計上している企業から「重要な影響はない」とする
 企業まで様々と。
 企業によっては、債務をカバーする「環境リスク保険」の購入も進んでいるとか。

・一方、日本でもNECが05年度に96億6,300万円を環境負債として計上。
 また、米国上場していないが、村田製作所の05年度CSRレポートでは、
     04年度までにでに71.13億円の浄化費用を支払い、
      05年度以降の浄化費用(見込み)は42.96億円
      (汚染浄化対策完了までの全ての費用)  


・日本においても財務報告に対する内部統制ルールが厳格化される中で、
 環境などの非財務情報についても、その開示や財務諸表への計上に
 ついての基準つくりが求められることになろう。

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(コメント)

①資産除去債務。この妙な名前の会計基準、気にしておくと面白いかも。 
 実は、先日ご紹介した、「日本の会計基準の工程表」にも入っておりまして、
 2007年末までに会計基準、適用指針を公表するとしております。
http://www.asb.or.jp/html/international_issue/convergence/convergence_20061012_2.pdf

 ② 実は、この論稿の原文では、
  村田製作所の05年度以降の浄化費用(見込み)を
  なんと「4296億円」と書いておりました。
  で、慌てて同社のCSRレポート現物でチェックしました。http://www.murata.co.jp/csr/report/report2005/p26-30.pdf   

  確認の結果、著者の方が単位を見まちがえていたようです。
  42.96億円が正解です。あーびっくりした。
  こういう数字は一人歩きすると怖いから、すぐに修正した方がいいですよ。


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