3/17にソフトバンクによるボーダフォン日本法人買収が発表されました。
とりあえず思いつくままコメントしてみます。
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<ソフトバンクのプレスリリースより>
方法: ソフトバンク全額出資子会社によりボーダフォン発行済普通株式の
約97.7%を取得
株式価値: 約1.75兆円の予定
資金調達(予定): ソフトバンク出資 2,000億円
ヤフー株式会社出資 1,200億円
LBOによるノンリコースローン 1.1兆円~1.2兆円
ボーダフォンインターナショナルホールディングスB.V.は、
ソフトバンク全額出資子会社に対し、3,000億円相当の優先株式 新株予約権
(発行価額は無償)、1,000億円相当の劣後債の投資を行う予定であり、
当該投資総額4,000億円は上記買収の支払いに充当される見込み
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【コメント】
①買収価格の妥当性は?
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3/5付記事で一度試算しましたが、もう一度見直してみましょう。
ボーダフォン日本法人のEBITDAはいくらくらいか?
05/9期半期の連結営業利益435億円(前年同期比▲440億円)+減価償却費1,084億円=1,519臆円。
この2倍、3,038億円としてみます。
企業価値はどの程度となるのか?
極めてラフな計算ですが、
今回投入される全ての金額(上記資金調達額)=企業価値
と見なしますと(ノンリコは上限1.2兆円で計算)、1兆9,200億円。
株式価値は1兆7500億円としておりますので、
企業価値=株式価値+有利子負債
の式にあてはめれば、ざっくり有利子負債は最大1,700億円有ると
推定されます。
それはともかく、
企業価値1兆9,200億円はEBITDA(3,038億円)の6.3倍有ります。
一般事業会社で大まかな目安が5~6倍、携帯電話の大手2社が5倍強の水準と
聞いておりますので、シナジーを定量評価できない現段階においては、
「やや割高」となると思います。
②巨額ののれんはどう処理するつもりか?
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とにもかくにも株式価値が1兆7,500億円となりそうですので、
次の関心事はのれんがいくらになるのか?
償却による業績へのインパクトはどうなるか?
となるでしょう。
05/9末のボーダフォンの連結株主資本(連結純資産)が7,350億円。
下半期分の利益が乗るとして、7,500億円としましょう。
となると、連結調整勘定、いわゆる「のれん代」がいくらになるか?といいますと、
買収時の株式価値 1.75兆円-連結純資産0.75兆円=1兆円!
・・・薄々気づいておりましたけど、「1兆円ののれん」ですか・・・・。
20年償却で年間500億円もの連結調整勘定償却が営業利益以下を圧迫します。
ボーダフォン日本法人の通期の連結営業利益を仮に、上期実績(435億円)の2倍
860億円としても、そのうち半分以上がのれんの償却に当てられてしまいます。
しかも、リスクシナリオとして、ボーダフォン日本法人が引き続き減益傾向を
たどることを想定すれば、利益貢献はさらに少なくなります
(当たり前ですけど)。
とにかくソフトバンク連合がいかなる利益計画を描き出すのか、
それは要注目ですね。
③私が密かに期待している「のれんのサプライズ処理方法」
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へそまがりな私は、別のことを考えていました。
「投資家はおそらくのれん代の負担についてとやかく言ってくるだろう。
だったら償却しなければいいじゃん!」
で、私が最も注目したのは「ソフトバンク全額出資子会社」。ココです。
これを欧米で設立してしまえばいい。
この子会社の連結決算上、ボーダフォン日本法人買収に伴うのれんが発生する
わけですが、ご存知の通り、米国会計基準、国際会計基準ではのれんの
定額償却はしなくてよい(ただし、別途減損会計の対象となるけど)。
のれん非償却のまま、ソフトバンクの連結決算(日本基準)に取り込んで
しまえばいい。
確かに、在外子会社の会計基準は親会社の基準に統一すべき、という原則
はありますが、経理実務上余りに煩雑となるなどの問題があり、
なかなかできていません。
ですから、長々と書きましたが、ボーダフォン日本法人株式の保有会社を
欧米に設立して当面の減益要因をなくして、連結株主資本を充実させていく
のでないか?と見ているのが、私個人のサプライズ・シナリオです。
(どうせ、外れますけどね)。
ですから、この子会社をどこに設立させるかが、私の注目点です。
とりあえず思いつくままコメントしてみます。
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<ソフトバンクのプレスリリースより>
方法: ソフトバンク全額出資子会社によりボーダフォン発行済普通株式の
約97.7%を取得
株式価値: 約1.75兆円の予定
資金調達(予定): ソフトバンク出資 2,000億円
ヤフー株式会社出資 1,200億円
LBOによるノンリコースローン 1.1兆円~1.2兆円
ボーダフォンインターナショナルホールディングスB.V.は、
ソフトバンク全額出資子会社に対し、3,000億円相当の優先株式 新株予約権
(発行価額は無償)、1,000億円相当の劣後債の投資を行う予定であり、
当該投資総額4,000億円は上記買収の支払いに充当される見込み
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【コメント】
①買収価格の妥当性は?
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3/5付記事で一度試算しましたが、もう一度見直してみましょう。
ボーダフォン日本法人のEBITDAはいくらくらいか?
05/9期半期の連結営業利益435億円(前年同期比▲440億円)+減価償却費1,084億円=1,519臆円。
この2倍、3,038億円としてみます。
企業価値はどの程度となるのか?
極めてラフな計算ですが、
今回投入される全ての金額(上記資金調達額)=企業価値
と見なしますと(ノンリコは上限1.2兆円で計算)、1兆9,200億円。
株式価値は1兆7500億円としておりますので、
企業価値=株式価値+有利子負債
の式にあてはめれば、ざっくり有利子負債は最大1,700億円有ると
推定されます。
それはともかく、
企業価値1兆9,200億円はEBITDA(3,038億円)の6.3倍有ります。
一般事業会社で大まかな目安が5~6倍、携帯電話の大手2社が5倍強の水準と
聞いておりますので、シナジーを定量評価できない現段階においては、
「やや割高」となると思います。
②巨額ののれんはどう処理するつもりか?
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とにもかくにも株式価値が1兆7,500億円となりそうですので、
次の関心事はのれんがいくらになるのか?
償却による業績へのインパクトはどうなるか?
となるでしょう。
05/9末のボーダフォンの連結株主資本(連結純資産)が7,350億円。
下半期分の利益が乗るとして、7,500億円としましょう。
となると、連結調整勘定、いわゆる「のれん代」がいくらになるか?といいますと、
買収時の株式価値 1.75兆円-連結純資産0.75兆円=1兆円!
・・・薄々気づいておりましたけど、「1兆円ののれん」ですか・・・・。
20年償却で年間500億円もの連結調整勘定償却が営業利益以下を圧迫します。
ボーダフォン日本法人の通期の連結営業利益を仮に、上期実績(435億円)の2倍
860億円としても、そのうち半分以上がのれんの償却に当てられてしまいます。
しかも、リスクシナリオとして、ボーダフォン日本法人が引き続き減益傾向を
たどることを想定すれば、利益貢献はさらに少なくなります
(当たり前ですけど)。
とにかくソフトバンク連合がいかなる利益計画を描き出すのか、
それは要注目ですね。
③私が密かに期待している「のれんのサプライズ処理方法」
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へそまがりな私は、別のことを考えていました。
「投資家はおそらくのれん代の負担についてとやかく言ってくるだろう。
だったら償却しなければいいじゃん!」
で、私が最も注目したのは「ソフトバンク全額出資子会社」。ココです。
これを欧米で設立してしまえばいい。
この子会社の連結決算上、ボーダフォン日本法人買収に伴うのれんが発生する
わけですが、ご存知の通り、米国会計基準、国際会計基準ではのれんの
定額償却はしなくてよい(ただし、別途減損会計の対象となるけど)。
のれん非償却のまま、ソフトバンクの連結決算(日本基準)に取り込んで
しまえばいい。
確かに、在外子会社の会計基準は親会社の基準に統一すべき、という原則
はありますが、経理実務上余りに煩雑となるなどの問題があり、
なかなかできていません。
ですから、長々と書きましたが、ボーダフォン日本法人株式の保有会社を
欧米に設立して当面の減益要因をなくして、連結株主資本を充実させていく
のでないか?と見ているのが、私個人のサプライズ・シナリオです。
(どうせ、外れますけどね)。
ですから、この子会社をどこに設立させるかが、私の注目点です。
平成20年以降は、在外子会社ののれんといえども償却すべしという公開草案が出ております。この手は使えてもタイムリミット2年では?
http://www.asb.or.jp/j_ed/zaigai/zaigai.pdf