新年あけましておめでとうございます。「名ばかり管理職による不毛な深夜残業」との異名を取る本ブログ。本年もよろしくお願い申し上げます。
2010年を振り返りますと(今更かよ)、国内政治・経済の閉塞感は一段と高まった感じがします。
寅年というわけではないでしょうが、「苛政は虎よりも猛なり」という故事成語が見事にハマッた1年でしたね。
そして2011年はどうなるのか。
BLOGOS FINANCE参加者をはじめいろいろな方が予想されておりますので、私も年頭の所感をごくごく簡単に。
ズバリ、 「弱気」です。
まずは少し前のロイター記事。
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2010年 12月 22日
日銀は22日、先進国から新興国へ流入した資本が米国など先進国に再度還流するフィードバック・ループが形成されつつあり、資本の流れが逆回転する可能性と注視する必要があるとの見解を、「日銀レビュー」として公表した。
これによると、景気低迷と低金利の続く米国を中心とした先進国から成長力の高い新興国への資本流入は、新興国各国で通貨上昇圧力となり、新興国は為替介入で多額の外貨準備を積み上げている。外貨の運用先として米国債などが選ばれることが多く、米国の低金利に拍車をかけている面があるとして、先進国から新興国への資本流入を加速させる要因となっている可能性があると指摘している。
米国など先進国の資金運用者からみると、新興国の為替レート上昇と株式上昇の双方から収益を上げることが可能な環境となっており、いったん資本の流れが逆回転する場合、「株価下落と為替相場下落が同時進行する可能性を示唆しており、十分な注意が必要」と警告している。
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(コメント)
皆様におかれましては、何を今さら・・・・・という話ではありますが、
日銀レビュー「新興国への資本流入と米国への還流について」をご覧ください。
7枚目の「図表16」が分りやすい。
図表16を見た時に、ホームエクイティーローンや円キャリー取引の仕組みを初めて聞いた時に感じたうすら寒さを覚えました。
「フィードバック・ループが逆回転したらどうなるのか、っていうか、いずれ逆回転するよね?」
そんな弱気派の気持ちを汲み取ったのか、米国マッキンゼーでは「安い資本へのお別れ?グローバル投資と貯蓄の長期的なシフト」と題した100ページものレポートを発行。(出所:日経Wall Street通信◇FRB議長が恐れる「世界的過剰貯蓄」の終わり)
これによりますと、
・新興国は今後、貯蓄を自国のインフラ整備などへの投資に使わざるをえず、グローバル金融市場でのマネーの出し手としては期待しにくくなるという。
・結論は世界的な長期金利の上昇圧力にほかならない。新興国の投資加速は、世界の長期金利を平均1.5%押し上げるとも試算。金利が上昇し始める時期を「5年以内」とする一方、投資家が構造変化に気がつけば上昇の時期は早まる。投資に必要な資金の不足が表面化すれば「金利上昇は一気に進む可能性がある」と。
こういう状況証拠と自分の直感が妙にフィットしまして、冒頭の弱気論につながっているってなワケです。
まぁ、こんな話を持ち出すまでもなく、日本の財政は破たん状態だし、書店に行っても世界的な国債暴落を予言する本すでにが多数出版されております。
……とまぁ、出版界では見事なまでの「国債暴落本バブル」が発生しております。
どうなることやら。
さてさて、本題へまいりましょう。
監査法人トーマツが毎月発行している会計情報の最新号に「注目を集めるもう一つの国際会計基準」という論考がありました。タイトルに惹かれて中身を見ますとそれは「国際公会計基準」(IPSAS)のお話です。オチはありません。
詳細は実物をご覧いただくとして、ポイントをざっと書きますと……
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■国際公会計基準は、政府をはじめとする公的セクターの組織体が適用すべき国際的な会計基準として、国際公会計基準審議会が作成・公表。中央政府、地方政府、国際機関などが等しく適用可能な基準として開発。すでに、OECD、NATO、EC、スイス政府がIPSASを採用。多くの国でIPSASを参考にした基準設定を行われていると。
■リーマンショック以降の経済・金融危機は、今や政府の債務問題に転化。そんな中で政府の財務報告への関心は飛躍的に高まっており、政府が透明性のある高品質の会計基準に準拠した財務報告を行う必要性が高まっている。
■諸外国ではIPSASの採用の進展又は計画があると。具体的には公会計の先進国である米国、英国、カナダ、オーストラリアなどの会計基準設定主体が国際公会計基準審議会との協力関係を深め、自国基準とIPSASとのコンバージェンス(収斂)を図ってきていると。
■翻って、日本の公会計は百花繚乱。
・国
・地方自治体(基準モデル、総務省方式改訂モデル、東京都など独自モデル)
・独立行政法人
・国立大学法人、地方独立行政法人
てんでばらばらでは困るので、公会計基準設定主体の設置が必要。
ただ、総務省は2010年9月に「地方公会計の推進に関する研究会」を設置。国際公会計基準の動向を強く意識していると。
■IFRSと同様に「概念フレームワーク」の開発も進められ、2013年には最終文書を公表する予定。この作業は主要国の会計基準設定主体との協働プロジェクトであり、概念フレームワークは世界中の公会計基準設定主体に影響を及ぼすこととなると。
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このように、国際会計基準(IFRS)が注目されている陰で、国際公会計基準も胎動しております。
・・・・っていいましょうか、かつてないほどソブリンリスクが注目されている中、民間企業の国際会計基準の強制適用云々を言う以前に、政府間の財政状況をより適切に比較できる国際公会計基準の整備が先決なのでは?と思ったのは私だけでしょうか。
そのうち、国際公会計基準も他人のソブリンができなくなるくらい、注目を浴びることになると思いますよ。
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2010年を振り返りますと(今更かよ)、国内政治・経済の閉塞感は一段と高まった感じがします。
寅年というわけではないでしょうが、「苛政は虎よりも猛なり」という故事成語が見事にハマッた1年でしたね。
そして2011年はどうなるのか。
BLOGOS FINANCE参加者をはじめいろいろな方が予想されておりますので、私も年頭の所感をごくごく簡単に。
ズバリ、 「弱気」です。
まずは少し前のロイター記事。
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2010年 12月 22日
日銀は22日、先進国から新興国へ流入した資本が米国など先進国に再度還流するフィードバック・ループが形成されつつあり、資本の流れが逆回転する可能性と注視する必要があるとの見解を、「日銀レビュー」として公表した。
これによると、景気低迷と低金利の続く米国を中心とした先進国から成長力の高い新興国への資本流入は、新興国各国で通貨上昇圧力となり、新興国は為替介入で多額の外貨準備を積み上げている。外貨の運用先として米国債などが選ばれることが多く、米国の低金利に拍車をかけている面があるとして、先進国から新興国への資本流入を加速させる要因となっている可能性があると指摘している。
米国など先進国の資金運用者からみると、新興国の為替レート上昇と株式上昇の双方から収益を上げることが可能な環境となっており、いったん資本の流れが逆回転する場合、「株価下落と為替相場下落が同時進行する可能性を示唆しており、十分な注意が必要」と警告している。
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(コメント)
皆様におかれましては、何を今さら・・・・・という話ではありますが、
日銀レビュー「新興国への資本流入と米国への還流について」をご覧ください。
7枚目の「図表16」が分りやすい。
図表16を見た時に、ホームエクイティーローンや円キャリー取引の仕組みを初めて聞いた時に感じたうすら寒さを覚えました。
「フィードバック・ループが逆回転したらどうなるのか、っていうか、いずれ逆回転するよね?」
そんな弱気派の気持ちを汲み取ったのか、米国マッキンゼーでは「安い資本へのお別れ?グローバル投資と貯蓄の長期的なシフト」と題した100ページものレポートを発行。(出所:日経Wall Street通信◇FRB議長が恐れる「世界的過剰貯蓄」の終わり)
これによりますと、
・新興国は今後、貯蓄を自国のインフラ整備などへの投資に使わざるをえず、グローバル金融市場でのマネーの出し手としては期待しにくくなるという。
・結論は世界的な長期金利の上昇圧力にほかならない。新興国の投資加速は、世界の長期金利を平均1.5%押し上げるとも試算。金利が上昇し始める時期を「5年以内」とする一方、投資家が構造変化に気がつけば上昇の時期は早まる。投資に必要な資金の不足が表面化すれば「金利上昇は一気に進む可能性がある」と。
こういう状況証拠と自分の直感が妙にフィットしまして、冒頭の弱気論につながっているってなワケです。
まぁ、こんな話を持ち出すまでもなく、日本の財政は破たん状態だし、書店に行っても世界的な国債暴落を予言する本すでにが多数出版されております。
ZAITEN (財界展望) 2011年 02月号 [雑誌] | |
財界展望新社 |
世界国債暴落 ―世界を蝕む日本化現象 | |
高田 創,石原 哲夫,柴崎 健 | |
東洋経済新報社 |
ジャパン・ショック――国債暴落から始まる世界恐慌(祥伝社新書217) | |
山崎養世 | |
祥伝社 |
日本国債 暴落のシナリオ | |
石角 完爾,田代 秀敏 | |
中経出版 |
……とまぁ、出版界では見事なまでの「国債暴落本バブル」が発生しております。
どうなることやら。
さてさて、本題へまいりましょう。
監査法人トーマツが毎月発行している会計情報の最新号に「注目を集めるもう一つの国際会計基準」という論考がありました。タイトルに惹かれて中身を見ますとそれは「国際公会計基準」(IPSAS)のお話です。オチはありません。
詳細は実物をご覧いただくとして、ポイントをざっと書きますと……
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■国際公会計基準は、政府をはじめとする公的セクターの組織体が適用すべき国際的な会計基準として、国際公会計基準審議会が作成・公表。中央政府、地方政府、国際機関などが等しく適用可能な基準として開発。すでに、OECD、NATO、EC、スイス政府がIPSASを採用。多くの国でIPSASを参考にした基準設定を行われていると。
■リーマンショック以降の経済・金融危機は、今や政府の債務問題に転化。そんな中で政府の財務報告への関心は飛躍的に高まっており、政府が透明性のある高品質の会計基準に準拠した財務報告を行う必要性が高まっている。
■諸外国ではIPSASの採用の進展又は計画があると。具体的には公会計の先進国である米国、英国、カナダ、オーストラリアなどの会計基準設定主体が国際公会計基準審議会との協力関係を深め、自国基準とIPSASとのコンバージェンス(収斂)を図ってきていると。
■翻って、日本の公会計は百花繚乱。
・国
・地方自治体(基準モデル、総務省方式改訂モデル、東京都など独自モデル)
・独立行政法人
・国立大学法人、地方独立行政法人
てんでばらばらでは困るので、公会計基準設定主体の設置が必要。
ただ、総務省は2010年9月に「地方公会計の推進に関する研究会」を設置。国際公会計基準の動向を強く意識していると。
■IFRSと同様に「概念フレームワーク」の開発も進められ、2013年には最終文書を公表する予定。この作業は主要国の会計基準設定主体との協働プロジェクトであり、概念フレームワークは世界中の公会計基準設定主体に影響を及ぼすこととなると。
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このように、国際会計基準(IFRS)が注目されている陰で、国際公会計基準も胎動しております。
・・・・っていいましょうか、かつてないほどソブリンリスクが注目されている中、民間企業の国際会計基準の強制適用云々を言う以前に、政府間の財政状況をより適切に比較できる国際公会計基準の整備が先決なのでは?と思ったのは私だけでしょうか。
そのうち、国際公会計基準も他人のソブリンができなくなるくらい、注目を浴びることになると思いますよ。
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