◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

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セブン&アイ&ミレニアム説明会にて思う

2006-01-13 | 事業再生・M&A
小売業界に激震をもたらした標記統合。
11日、暇を持て余していた私は、この説明会に呼ばれもしないのに
ノコノコと行って参りました。

会場で早速、このブログに「温故知新」の名でコメントを寄せて下さっていると
推測されるアナリストS氏に挨拶に伺いましたが、
ご本人はしっかりトボけておりました。
でもまた一段落されましたらコメント、お願いします。


さて、本題。
睡魔と闘った90分を経て、私が個人的に思ったのは次の5点。
オチはありません。

①鈴木代表は、TOBで100%子会社にした米国7-11について、
聞かれもしないのに必死にその正当性を主張されておりました。
 話を聞く限り、完全子会社化してガバナンスを強化するという建前とは異なり、
 COSO内部統制規制により開示の負担が格段に増す米国証券市場から
 さっさと手を引きたかったのでしょう。

②また、「米国7-11の前任COOは証券市場ばかりに目が向いていて、
 数字をこねくり回してばかり・・・・・・」との愚痴とも思えるお話がありました。
 結局、そのCOOは更迭されたのですが、
 要は「そのCOOは利益操作をやっていた」という理解でいいのでしょうか?
 (そうとしか聞こえませんでした)。

③ミレニアムとの統合に伴い発生する「のれん」の処理方法につき、
 「温故知新」さんと推測される方から質問が出ました。
 
 会社側の回答は、
 「一括処理にすると大幅な特別損失(おそらく1,000億円超)になるので、
  ルールの上限(=20年)で定額償却する」と。

 ということは、監査法人(中央青山)は一括償却も選択肢として容認
 しているんですね。
 やっぱり甘い!中央青山。

④会社側から「のれんの処理」について、異例とも思える追加説明あり。
 「買収後の事業について継続企業として価値が維持される限り、
  のれん代は償却すべきでないと思っている
  (注:確かに理論上はそうであるし、これが欧米基準の根幹)。
  アナリストの皆さんも「のれん償却」云々であれこれ言わないで欲しい。」

 のれんをどの時点で処理しようとキャッシュフロー上は中立ですから
 DCFなどで見る向きには中立。
 問題は連結営業利益を最重要視しているアナリストがどう解釈するか、
 ということなのでしょう。(→どうなんでしょうかねぇ?温故知新さん?)

⑤花王がカネボウ化粧品を買ったのと同様の意図が今回の買収から窺えました。
 どいういことかといいますと、ミレニアム株を100%取得するとなると、
 買収総額は2,000億円になりますが、
 そごう・西武の税務上の繰越欠損金を加味すると、実質的にはもっと下がります。
 税務上の欠損金が使えることで、より早期の資金回収が可能になりますからね。

 となると、全くの推測ですが、
 税務デューデリジェンスと中期経営計画如何では、
 税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産をフル計上できる可能性がある
  ↓
 ミレニアムの実質純資産の金額はその分、上方修正される可能性がある
  ↓
 のれん=買収金額-(実質)純資産ですから、
 「のれん」が意外と圧縮される可能性があるのではないでしょうか?


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