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恐怖のトランプ税制

2017-02-27 | 会計・株式・財務

いつもご覧下さり誠にありがとうございます
週末は早大ファイナンス大学院での野口悠紀雄氏の無料セミナーに参加してきました。
野口氏は経済・財政・金融問題にとどまらず最近では仮想通貨・ブロックチェーンにも造詣が深く著書多数。私は以前から注目している論客のお一人です(25日の日経夕刊に「AIは生活を楽しくする」というインタビュー記事も)。

ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現
野口 悠紀雄
日本経済新聞出版社


さて本題。
この日のテーマは「トランプの経済政策」
トランプの経済政策は日本にとって大きな影響与えるという話を税制改革と為替政策の視点から解説。
特に印象に残ったので税制でして、以下、ポイントを自分の備忘のためにざっくりと記載します。

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2月中に税制改革案が発表される予定であるが、今のところ2つの案が考えられている。
1つめはトランプ自身が言っている法人税率引き下げ35%から15%。
もう一つは共和党の案。これは法人税率を20%まで引き下げ+国境税で調節。
後者は昨年6月から出されていたもので野口氏曰く内容も整合的でこちらの方が実現可能性は高いと。ということで共和党案を前提に議論する。

法人税率引き下げが注目されているけど、輸出と輸入に大きな影響を与えるものだ。
例えば、日本の自動車。共和党案が実現すると米国への輸出は半減するかも。そんな中で日本株が米国株につられて上がるのはおかしい。

何が考えられているのかを正確に捉える必要がある。特に国境税調整
共和党案では課税ベースを(輸出以外の売上-輸入以外の原価)に変更しようとしている
これは何を意味しているかと言うと輸入原材料に20%の法人税がかかると言うこと。

米国で日本車を輸入・販売するディーラーからみると、2割も価格が高くなり、これでは日本の価格競争力はキツくなる。
一方、米国の消費者にとっても問題。例えばiPhone。これは中国フォックスコンが作ってるのでこれも2割上がってしまい、消費者にとって負担増。米国では日用品の大半は中国産。代替生産できず2割アップ。仮に消費のうち輸入が1割だとすると、輸入物価が2割上がるわけなのでCPIが2%上がるのと同じとなる。

見逃してはならないのは共和党案では利益から付加価値へと課税ベースを変えよう(拡大)としていること。これは非常に大きな変化となる。仮に税率が下がったとしても課税ベースが広がるため税負担の低下とはならない。そのような状況で米国株が上がるのはやっぱりおかしい。

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確かに実現されたらエライことになりますな。市場も多少織り込んでいるんでしょうが・・・・。

同様の警告はすでに闇株新聞さんで取り上げておりました。さすがです。2017年1月13日「トランプ税制の衝撃」

折しもNYダウは30年ぶりに11営業日連続で最高値更新という歴史的な大相場。28日のトランプ氏議会演説に向けて期待が高まっているようですが、上記税制案が本当にそのまま出てきた場合には、相場の大きな転換点となるかもしれませんね。要注目ですね。税制改革案。

またいきます。

ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。


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