◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

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株式公開の必要性 -佐山展生氏論文からの雑感-

2005-08-31 | 事業再生・M&A
先日、佐山先生のお話をしたところに、今日(8/31)の日経新聞「経済教室」で氏の論文が掲載された。
氏がアドバイザーとして関与した「ワールドの非公開化」作業も少し落ち着いたのでしょうか、成果をPRするには絶妙なタイミングだと思いました。


中身は、これまで氏が一貫して主張していること。たとえば
 
 ・敵対的買収とは、単に現在の経営陣が反対する買収。
 ・企業価値=株式価値+有利子負債。
有利子負債を増やせば、企業価値は高まる。
  しかしそれでは実感わかない。M&Aの世界でいう企業価値は、株式価値と考  えるべき。
 ・株式公開後、信用力もつき資金も十分あり市場から資金調達する必要のなくな  った企業にとって、株式を上場しつづけることの意味は薄い。
 ・MBO型の非公開成立の主要件
    ①経営陣の質の高さ、②事業の安定性と成長力、③財務体質の健全性、
    ④出資者・融資団のスキームに対する理解、
    ⑤従業員のサポート
    ⑥妥当な株価と買収プレミアム
 ・村上ファンドなどが行った、割安株投資後に増配を引き出すやり方は、実際に  は巨額な配当分だけ企業価値が毀損しているだけ。
 ・「善なる敵対的買収」がでて来れば日本はさらに活性化する。

株式アナリストの経験から申しますと、
財務内容は抜群だが成長余力が少なくなってきた会社というのは
結構ありました。

一定程度の時価総額、たとえば500億円以上のような機関投資家が保有しやすい、流動性のある会社に限って、そういうケースが多いです。

当然、投資家は次の成長戦略を経営陣に求めます。
昨今の流れから言えば、「M&Aでどんどん拡大する」といえば
ウケは良いのでしょう。

しかし、
こういう選択肢もあるんだよ、と佐山氏が実践したMBO。
今後、真剣に検討するところがでてくると思います。

次の中間決算では、オーナー色が強く、財務内容が抜群な会社の決算説明会では
おそらく「MBO」に関する質問も増えてくるでしょう。
「上場は続けるのですか?だとしたら、何のために?」と。





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