◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

ヤマダ電機は「いまだ元気」か。

2016-01-18 | 会計・株式・財務
週刊ダイヤモンド「数字で会社を読む」という記事でヤマダ電機を取り上げておりました。


昨年春の大量閉店など、拡大路線から質を追う戦略に方針転換したことで、2016年3月期の上期決算では営業利益207億円と前期57億円から約3.6倍。業績に回復基調が見えてきたという内容です。

しかし、第2四半期の有価証券報告書でキャッシュフロー計算書を見た私は、「ちょっと時期尚早ではないか」と感じております。
営業キャッシュフローが棚卸資産の増加などにより▲140億円の赤字となっていたからです。

当社の四半期の決算短信ではキャッシュフロー計算書は開示しておりません(これ自体は別にルール違反でありません)。結果、アナリストやマスコミは利益情報に注目せざるを得ない。これはこれで致し方ない。しかし積極的に開示していない情報は、後日でもきちっと確認すべきですね。


ついでに申し上げますと、この会社は「棚卸資産」がキモとなっているのではないかと。
どういうことかと言いますと、棚卸資産の手持月数(=棚卸資産÷売上原価×12ヶ月)を5期分算出してみますと2011年3月期から順に、
1.11ヶ月、1.66ヶ月、2.53ヶ月、2.71ヶ月、3.11ヶ月と徐々に長期化しております。もちろん、2012年末にベスト電機を子会社化した影響もあるのでしょうが、気になるところです。
仮に、2015年3月期の手持月数が2期前の2.53ヶ月だったとしますと、棚卸資産は593億円過大だった、という計算になります。あくまで試算ですけどね。


利益に見合ったキャッシュフローが獲得できているか、言い換えますと「利益の質」をもう少しよく見るべきではないでしょうか

またいきます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 健康コーポレーションの業績... | トップ | これが「適時」開示か?  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

会計・株式・財務」カテゴリの最新記事