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「ソフトバンク、巨額買収の裏」に思う

2006-03-10 | 事業再生・M&A
いつもご覧下さり誠に有難うございます。

週末でやや疲れておりますのでサクッと書きますね。

本日のネタは、
日経ビジネス最新号(06.3.13号)にあった同名タイトルの記事のご紹介と
簡単なコメント。

------------------------------------
■ボーダフォン買収の理由

①時間を買う

・携帯事業をゼロから立ち上げるとドコモやKDDIに追いつくのに5年かかる。
・「番号ポータビリティ制度」が始まる11月がビジネスチャンス。
  それまでに参入したい。
 
②もっと大きな理由=ソフトバンク単独では事実上不可能な「携帯電話機の調達」

・国内メーカー各社はソフトバンクへの端末供給に消極的。
  →新規参入者に端末を提供すると、既存事業者からの「圧力」がありうるから。
・しかし、買収後もボーダフォン・グループの調達網を活用すれば、
  国内メーカーとの取引を継承できる(という読み)。


③この他、携帯電話サービスに必要な「周波数」が増える。

・ソフトバンク単独=10メガヘルツ。
・ボーダフォン=約60メガヘルツ。
(因みに、ドコモ約100メガヘルツ、KDDI約60メガヘルツ)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 (コメント)

①記事本文によりますと、既存携帯事業による国内メーカーの締め付けは
 厳しいようです。でも、それって、独禁法に抵触しないんでしょうかねぇ?

②この記事でも、売却する英ボーダフォンとソフトバンクとの「日本市場」観が
 明確に異なっていることを紹介。
   ・ボーダフォン=日本市場は大幅な利益が得られるほど成長は期待できない、
   ・ソフトバンク
     yahoo!BB加入者(500万人)から得るARPU(1契約当りの
     平均月間収入)は約4,000円
     しかし、ボーダフォン加入者(1,500万人)のARPUは約6,000円。
      →孫社長にとって携帯ビジネスがバラ色に見えるそうだ。
       (しかし上位2社と比べ、ARPUは明らかに低い)     
  
 確かに売上はドーンと乗ってきますけど、肝心なのは採算性。
 (数値面でウラをとっておりませんが)ボーダフォンは一段の値下げすると
 赤字に陥るとの警告もちらほら聞かれます。
   
 番号ポータビリティ制度開始に向け、ソフトバンク=ボーダフォン連合が
 いかなる戦略を仕掛けてくるか、門外漢の私ですら、興味が沸いてきました。
 (まさか、低価格戦略はとらないでしょうけど・・・。)


・・・・・・1週間お疲れさまでした。

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1 コメント

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携帯ビジネスの採算ライン (marufuku)
2006-03-17 01:07:34
仰るように、一括りにARPUといっても、持っている資産の規模に応じたものでないと採算性は語れません。



ADSL事業の中ではヤフーは特別にコストの安い通信技術を使用しており4,000円程度のARPUでも採算がとれる見込みはあります。



ですが、携帯電話会社が、これまでとってきたようなビジネスモデルで採算を取ろうとすると6,000円のARPUでは、かなりきついと思われます。携帯電話一契約を維持するには数十万円単位のインフラ投資が必要で、それを賄うには高ARPU×長期契約を維持しないと、投資が回収できない仕組みです。



ドコモ、auなどの経営状態を見ると、7,000円弱のARPUが携帯電話での平均的な損益分岐ARPUだと思われます。
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