Uさん、おはようございます。
C-280Lについてもう一投稿続けましょう。
音の質については、ざっくりと前回触れているとおり、濃厚で美麗としか言いようのないものです。
タコ耳で経験値の浅い自分では、他にうまい具合な修辞詞が見つかりませんが、そんな風です。
低音は力強く出ていたような気がします。
あの時代のあのクラスでは比較的低音が出るらしいことを知って、この機種を選んでいる面もあります。
コンペンセータースイッチは1・2とあり、効果の高い2を選択して音を出しますが、C-202と異なり、元々ある程度低音が出ているせいでしょうか、素の音とそれほどの違いは感じられませんでした。
1・2を切り替えても同様です。
コントロールセンターではありませんから、コーンコントロールはありません。
PRE30と異なり、フロアノイズは低めでした。
これは良いことですが、一般的にAccuphaseの製品はノイズが少ないですから、良い意味で特筆すべきことではないのかもしれません。
また、PRE30のように、ボリューム切り替えが離散的で極小音量が出せないということも無く、スムースに回せるボリュームノブと相まって操作性は大変良いです。
アッティネーターはあれば便利に使います。
280Lでは3段階に切り替え、ボリューム位置の適当な調整に活用しました。
電源ケーブルは直付け式でありますが、音に不満はありませんから、交換の面倒も無く却って好都合です。
発熱がかなりあります。
フロントパネル・ボリュームノブ当たりまで熱くなります。
天板もかなり熱くなります。薄ら記憶ですが、例の基盤焼けの臭いも少し出ていた気がします。
調べると、プリアンプなのに消費電力が75wもあります。
小さなパワーアンプ並の高さです。
これが、後継機の280Vでは56Wに、290では30Wと次第に省電力になっていきます。
280と280Lだけ抜けて消費電力が大きいようです。
筐体がかなり熱を持つこと、特にフロントパネルにまで熱が伝わることについては、不安が残りました。ここまで熱くなる機種に出会ったことが無いからです。
整備品ではありますが、どこか故障しているのではないか、あるいは故障はしていなくても、発熱が強くあるということは、部品の劣化が進みやすくないか、という不安です。
その時点では、280Lは修理不可となる可能性がある機種ではありませんでしたが、将来のメンテナンスについてなど、余計な心配までしています。
尤も早期に手放してしまったのですから、そんな心配はする必要はありませんでした。
ただあの現象は個体差だったのかもしれませんし、今は何とも言えません。
280Lでは美麗な音が出てきますが、どうしてもある程度以上に音量が上げられません。
上げていくと、なんだかバランスに欠けた音になりがちです。
音質は悪くはないのですが、小さく破綻しているような音の出です。
色々と考えてはみましたが、結局、これは280Lのせいではなく、周りの機器との組み合わせの良くないこと、全体のバランスの悪さが原因があるという結論に至りました。
DACやスピーカー、それからパワーアンプは、普及機か中級機で、上級機種であるC-280Lとのバランスが取れていません。そのため、どこかがボトルネックとなっていてそこから音が崩れてしまうようなのです。
特にP-11では280Lを支え切れていないように感じました。
だから、Accuphaseのパワーアンプの更新をしようとあれこれ思案したのです。
でもどのパワーアンプも自宅環境の設置基準に合わず(ほとんどが重量オーバー)、置き換えは諦めました。
そしてシステムの更新を見合わせる代わりに、結局心のどこかで妥協するところのあったC-280Lを手放すことにします。
勿論、C-280Lも欲しい機種、音を聴いてみたい機種ではありましたから、導入は間違っていませんでしたが、最終的にはそういう結末に至ります。
出音の限界もそうでしたが、発熱についても引っかかっていた部分です。
C-280Lを選ぶ際、一つ前の機種ではあるC-280選択肢もありました。
その方がマーケットの玉も多いですし、価格もこなれていることが多いようです。
C-280Lに決めたのは、2アンプ式の本格的なバランスアンプである謳い文句にひかれたからです。
PRE30は完全バランスアンプですから、キャノンプラグケーブルを使いたく、そうしますと、どうしても他の機種でもバランスアンプにこだわるようになります。
C-280はバランス出力はありますが、入力は全てアンバランスであり、アンプ内部のバランス化するようで、入出力を通してバランス接続にはなりません。
C-280LはC-280ほどの情報がインターネット上に無く、導入前の評価は時間が掛かりました。
動画などでも出音の感じが今一つ良く分かりません。
捉えた範囲では、C-280LよりC-280の方が音の出が柔らかくて優美であり、こっちの方が良かったかもという気がしないでもありません。
C-280Lの全体像は掴みきれないまま導入に踏み切ったことになりますが、このような博打オーディオはいつもの事で、中古品ではやむを得えません。
そしてこれがいつもの敗因の根本原因なのですから、いい加減に止めなくてはいけません。
お金さえあれば、キチンと視聴してモノを買うのですが、店先で視聴をしても自宅では上手く鳴らないばあいもあり、一体どうしてよいのか分かりません。
少なくとも今回の事でわかったのは、システム全体のバランスをとることが兎に角大事だ、ということです。
ネット上では、一点豪華主義も推す声もありますし、押さえるポイント(導入するもの)によっては功を奏する=その一点がシステム全体の音を牽引する=こともあるでしょうが、どちらかというと、何かに足を引っ張られて、その一点の力を引き出せずに終わってしまう可能性が高いのではないでしょうか。
どれかを少し背伸びする分には問題がないように思います。
突出して良い性能のものを全体が平凡なシステムに突っ込んでしまうと、却って悪い結果になるような気がします。
そういう時は、思い切ってそのものに合わせてシステムの総入れ替えをする意気込みが無いと宜しくないのかもしれません。
個人的な経験ではそこには至っておらず、逐次更新を繰り返して失敗を繰り返していますから、大層な言えませんが、ぼんやりとそんなことを考えます。
逆に言うと、エントリーモデルで構成されたシステムでも、そうやって全体のバランスが取れていれば、然程違和感の無い音が出て、来てある程度満足できる結果になるのではないかと思います。
そうやってオーディオのことは暫く忘れて音楽鑑賞を楽しみ、ある程度時間が経って良い耳が育って来たときに、上級機種への要求が自然に出てきたら機器の更新をすれば良いのでしょう。
そこに至るまでに、システム入れ替えへのお金は十分に溜まっているのではないでしょうか。
堪え性の無い自分は、短期間で結果を求めて頻繁に更新を繰り返し、その都度大事なお金を減らし、神経をすり減らし、一体何のために何をしているのかも分からなくなります。
オーディオマニアとはかくして、常に上へ上への上昇志向があるものです。
メーカーもショップも、そんなマニアの心情に付け込み、美辞麗句を並びたてては、マニアの物欲を煽り、新製品や上級製品を売り込んで来ます。
それにつられるマニアも悪いのですが、我々としては、一度システムをセットアップして落ち着いて来ると、こうすれば音が更によくなるのではないか、これを入れ替えればもっと音が好みのものに近づくのではないかという妄信に、間もなく取りつかれてしまうのですね。
自分の場合、懐具合に余裕がありませんから、大胆なことが出来ず、小賢しい入れ替えを繰り返しては、おみくじでいうところの”凶”とか”大凶”の目が出て来るばかりです。
ただ、結果が出ないこと、つまり好みの音にならない場合は、機器の入れ替えは已むを得ないことだと考えています。
我々は修行僧ではありませんから、嫌いな出音の滝行と言った苦行を続ける理由はありません。
どうにもならない場合の機種の入れ替えですが、その結果が上手くいかないことが多いのが、これまたいかんともしがたい苦しみです。
今回も、C-280Lという上位機種を導入することで、(これが全てを支配して)あわよくば最良の音になることを期待しておりましたが、ものの見事に結果は出ませんでした。
これなら(何処か特別にアピールすることは無くても)出音にこれといった問題が無かったC-11で良かったのです。
ラックから降ろされて、旅立ちを待つ身のC-280L。機器自体に罪はありません。
兎に角、音に然程の問題が無ければ、そこに踏みとどまっていることが幸福への近道です。
音に我慢が出来ないとき以外は、背伸びをすることなく、そこで敢えて前に進もうと思わないこと、自戒を込めてもう一度、こう書きつけておきます。
マスコミやインターネット上の声に惑わされずに、そして(たとえ製品の価格が安くても恥ずかしがらずに)自らの良いと思った、そう信じた音で、どうぞ前にお進みください。
ではこれで失礼します。
良い週末を。
ごきげんよう、さようなら。
#Accuphase C-280L