文庫本を買って、読みあさっていたのは学生時代のことであった。大学を卒業して仕事に就くようになってからは、小説を読むということは全くなくなった。当時の本はいまだに書棚に並べてある。50年近くも経つと紙の縁は黄ばんでというか茶色くなって時代の経過を感じる。本文の印刷は、活版印刷であった。それゆえに活字の大きさはどの出版社のも同じように思える。今になって思えば、老眼の身にはもう少し大きかったらなあ。活版印刷からオフセット印刷に変わったのは昭和60年前後からであろうか?最近になって久し振りに文庫本を買った。本文の文字が大きくなっている。その分、余白が狭くなっている。しかもしっかりしたカバーも付いている。昔はカバーはグラシンペーパーが普通であった。有難いことに栞紐も付いている。新書判の本には、この栞紐がない。どうして何だろう?価格の節約だけではあるまいに。文庫本に関しては、持ち運びの便利さに加えて老人にも読みやすさを考えた組み方をしていただけると有り難いです。
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