きみの靴の中の砂

どこかに書いてあったかも知れない

 

 

 いつもの年のように春が来るとキジバトの夫婦が庭先にやって来る。この一種は生涯ツガイを維持するそうだ。以前はそのまま庭木の葉陰に巣をかけて子作りしていたが、木が高く伸びた今は、天敵の猛禽類に見つかる懸念が生じたか(近所に猛禽類をペットにしている人が二人もいるのだ)、春の挨拶を済ますとどこか別のところに巣作りに行くようになってしまった。

 ところで、鳥にはそれぞれの鳴き方の一般的な表記法がある。例えば街中にいるハトは、ポッポーと鳴くなどだが、キジバトのそれは異なる。だが、表記された文字を未だ目にしたことがない。
 先日やっと、尾崎喜八が書いた古いコラムの切り抜き(東京新聞1962年3月29日夕刊)にそれを見つけた。『デデッポッポー』と鳴いているという。言われてみれば確かにそうだが、デデッの部分を『デ』だか『ベ』だか聞き取りにくい微妙な発音をするので今まで再現できないでいた。

 父の書斎の本をだいぶ処分してしまった今、もう手元にはないが、中西悟堂全集だったら、それはどこかに書いてあったかも知れない。

 

 

 

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