きみの靴の中の砂

切り絵細工の京団扇





 暑い最なかはエアコンだよりの日々であったが、この頃になってはそれも過剰装備となり、かと言って使わずば微妙に蒸す。

 そんな夜には、無精な性分も手伝って年中手近に出しっ放しになったままの京都市中京区柳馬場通六角下ルの創業三百年『阿以波』謹製の団扇に手を伸ばす ----- 多少時節外れの図柄だが、赤黒蘭鋳がゆらゆら泳ぐ切り絵細工の京団扇から生まれる元禄の風になぶられてみる。

 やがて、深い眠りに身をやつすこととなる。




【Christopher Ward / Once In A Longtime】


 

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