昔から一部の研究者・読者の間に不文律として、小説以外の文章が面白い作家の書く小説はつまらないというのがある。デビューしたての頃の五木寛之が、某御大作家から「雑文は面白いが、小説はそれほどでもない」と言われたとどこかにあった。これは、今活躍中の有名作家の中にもいる。また、小説の文体の色調が明るい作家は、実は性格が根暗であり、逆にそれが暗いと性格は明るいというのも読んだことがある。前者に遠藤周作、後者に吉行淳之介が例として挙げてあった。