きみの靴の中の砂

文鎮ほど重宝なものでもない

 

 持っているだけで満足する本がある —— 例えば富永太郎の詩画集(求龍堂 1972)などなど。当然、精読したことはない。しかし、後年考えると、それはその時期・過渡期的な思惟からのものであって、いつの日か、あってもなくてもよかった本だったことに気付く(或いは気付かないまま人生を終わるかもしれない)。
 
 所有欲だけを満たす本があってもいいだろう。だが、それはもう本ではなく物体であって、文鎮ほど重宝なものでもない。

 

 
【Gary Lewis and the Playboys - This Diamond Ring】
 
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