きみの靴の中の砂

油絵の具よりも遙かに厚い

 

 

 部屋の片隅 —— 立て掛けた油絵のキャンヴァスがいっぱい —— ほぼ完成というものが僅かに何点かあるが、その他は凡そ未完成(つまり、それらには手を加えるべきところが無数に残っているわけだ)。完成したように見えるものがあったら、それは今のところ制作休止中、もしくは途中放棄されたものに過ぎない。

 絵画も文学も総てみな同じで、創造物・創作物には、完成したものなど存在しない。この辺りまで出来ていたらマァいいだろう、と取り敢えず筆を置いただけ。もし、作家が100%完成したと錯覚したら、その瞬間、作品は作家の手を離れる。すると、作家の中には其の作品を二度と見ない者すら現れる。つまりそれは、その作品が、作家の創作の興味対象から外れたことを指す。そうなると、その作品は(著作権を除き)最早作家のモノではなく、作家以外の者のモノに変化した、何かまた別なモノとして存在しはじめる。

                    

 変わらぬきみへの想いは、塗り重ねた油絵の具よりも遙かに厚い。

 

 


【Bobbie Gentry - I'll Never Fall In Love Again】

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

最新の画像もっと見る

最近の「きみがいる時間」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事