きみの靴の中の砂

ひとり、あるいは二人くらいで呑むのがいい




 お酒を呑むのになにか欲しい....。

 旬の野菜は、今なら大根。下ろしてイクラと混ぜ、香り付けに醤油を垂らすのは簡単でいい。柚の皮を添えれば尚更宜しいかと....。これなら自宅はもとより、馴染みの鮨屋さんでも、頼めばこさえてもらえるひと品。

 しかし、冬は、やはり温まりたいので煮たいですねぇ。イチョウや拍子木に切ったり、輪切りにする違いは、火の通る時間と見栄え・食感の違いだけなので、どうせなら豪華に輪切りで行きましょう。

 鍋に昆布を敷いて水を張るだけの準備なので、これまた簡単。面倒臭くなければ、輪切りを面取りすれば、より美しく仕上がります。
 煮上がる頃(一時間程して、箸が通るくらいになったら)、少量の酒と塩を三本指でひとつまみを入れ、その後しばらくすれば出来上がり。

 昔の日本家屋のように外と部屋を仕切るものが縁側と障子のみだと、煮上がって皿にのせられた大根から立ちのぼる湯気も肌寒い部屋の空間に一層鮮やかで日本の風情が際立ちます。
 醤油数滴をポタポタと落として召し上がって下さい。
 大根の風味より練り味噌の味が優ってしまうような、下手なふろふき大根を作るなら、簡単に醤油だけで食べたいものです。
 日本ならではの冬の醍醐味。藤枝梅安さんも得意な献立だったとか。

 余談ながら、煮豆腐に大根おろしを入れてみぞれ鍋にするのも乙なものです。これなんかは簡単なのに、さらに大根を下ろす手間を奥様達に省かれ、家庭の食卓では、なかなかお目にかかれなくなりました。


 

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