二十世紀初頭の英国の小説家アーノルド・ベネットのエッセー『文学趣味』は次のような一節で始まる。
『文学趣味を上品な教養と考え、それを会得すれば自己が完成され、ひいては上流社会の一員として恥ずかしくないだけの人間になり得る —— この誤った考えをまず最初に取り除く必要がある』
これは、ぼくが大学に入って、最初に講義テキストとなったものだ。科目は『原典講読』だったか。まあ、いわゆる教養科目だが、教授が何でこんな古典をテキストに採用したのか卒業してからもずっと不思議に思っていた。教授にしてみれば、学生がいずれ大人になり、再読したいと思い出してくれた者だけが、ようやくこの本の本質に出会えればいいとでも思ってのことだったら嬉しい。
今更なんだが、実に面白い。勢いチャールズ・ラムまで再読してしまった。
アインシュタイン博士によると、
『教育というものは、後年、学校で習ったことのほとんどを忘れた時に、それでも尚かつ記憶に残っているもの』のことをいうのだそうだ。
【The Cyrkle - Red Rubber Ball】