きみの靴の中の砂

ペーパーナイフ

(op.20250301-3 - Studio31, TOKYO)

 

 レイモン・ラディゲの小説『肉体の悪魔』に、年上の人妻からペーパーナイフをプレゼントされる話がある。
「私からの手紙を開封するときにだけ使ってね」と手紙が添えられていた。
 そんなドラマチックなエピソードからは程遠いが、ぼくの手元にも、水口イチ子が取材先のアフリカのどこぞの国から送ってくれた木製のペーパーナイフがある(握りの部分にしゃがみ込んだヒヒだかオラウータンだかゴリラだかが彫られている)。

 そのペーパーナイフは、メキシコ南部からペルーにかけて自生するバルサ材から削り出したような軽さで使い勝手はいいが、バルサよりも遙かに堅くて強度がある。正しい原材名は、ふたりとも未だに知らない。

 


【Ian & Sylvia - Four Strong Winds】

 

 

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