子供の時間はゆっくりと流れ、大人の時間は早く過ぎる。その理由は解明されている。
人は何か事があると、最良の対処方法を求め、脳内の記憶に検索をかける。子供は蓄積データがまだ少ないこともあって、一応全部の経験・記憶を参照するので時間がかかる。つまり、時間が長く感じられる。
一方、大人は膨大な経験データがあるにも関わらず、いちいち検索をかけなくても、自分にとっての決定策が既に脳内のROMに書き込まれていて読み込みが迅速 —— つまり、これが人生の時間を早く感じる理由だ。
子供は早く大人になりたいと願うが、時間は遅々として進まない。なのに老人は、人生は短いと嘆く。
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大事に読んだ思い出のある、この『林静一作品集』の初版発行日を見て愕然とするじゃないか!