思い出話をしよう。 いつが夏の終わりか知るよしもなく、気付けば、蹌踉と日暮れの秋風の道を...。 そんなことがあってから私は用心深くなって、日ごと、人がコーヒーに入れる砂糖の数まで数えるようにしてきたが、その為にかえって、恋人の心変わりを早めたかもしれない。 ロダン美術館の秋の庭に木の葉を踏みながら、彫刻相手の独り言して、つまるところ恋は戻らない、灰色の空模様だというのだ。 【独り言 / 堀内茂男】