深く感心したように大きくうなずくのだった
七月。 ローマの裏街。 数日、世話になることになったペンショーネの女将が、夕...
水平線の向こう側
湿った大気が重い...。 梅雨明けまで、あと半月。 高気圧は、 今はまだ水平線...
勉強なんかしてる場合じゃない
高校のプール開放は今年は8月25日まで。例年どおり水泳部が、終日、プールサイドで生...
フランクフルトまで
イチ子のフライト業務 ----- 昨日はフランクフルトまで。 「フランクフルトって、どこ...
H. G. ウェルズの『透明人間』
関前の叔父さんからH. G. ウェルズが書いた『透明人間』の原書を借りる。 帰り道、夏の雨に降られた。 傘のないわたしが、どうやってその本を濡らさずに済ませたか。 ...
昨夜は濡れて帰った
アメリカ西海岸で生活すると、すぐに独特な風土に気付く。 まず、その日の天気図の配...
夏の制服
梅雨明け十日の飾り立てた陽射しが、突然、午後の校庭で立ち止まる。 夏の制服が、いよいよ眩しい。 日向と日陰の狭間で、焼けたセメントの臭いの風がわずかに動く。 イチ...
照れ臭くって描けるもんか
夏休み。 水泳部でプール当番中の水口イチ子がフェンス際を歩いていたぼくを見つけ...
きみがするとおり
朝。前夜に残った味噌汁にミルクを入れる。きみの得意なスープだ ----- 少量の塩と胡椒...
昭和二十年八月十四日
三式戦闘機から五式戦闘機に機種改編された途端、戦隊は、特攻の護衛を主務として薩摩...