寝そびれたかも知れない
今思えば、あの時寝てしまえばよかった。 思い付きで始めたヴァレリーのノート整理 ...
卒業式か...
裏書きがないので、何時撮った写真かは疎覚えでしかない。 高校を卒業して間もない頃か...。あるいは成人式の頃かも知れない。 線路際の道のようだが、どこか場所も思...
わずか五分、六分だというのに
人気のない、むしろ謎めいた海へ行くのだと、水口イチ子が旅の計画を話したのは、去年の夏が、まだ至るところに踏みとどまっていた頃のことだ。 ...
サッサと寝てしまえばよかった
さっきまでの睡魔は、今夜もまた、どこへ行ってしまったのか。 逢いたい女の...
表紙の裏に
日曜の午後。 庭先の読書にイチ子がなつかしい本を持ち出していた —— 背ヤケしたカバーのト...
古い時間を旅する
『名鉄名古屋から知多新線で行く夏の海』 壁にとても古いポスターが貼ってある。 日盛りの海岸に海水浴客、夜空に散る花火を背景に赤い電車。 実はポスターで隠された壁...
CBS EVENING NEWS
高層階 —— 眼下に街の灯り。 今夜、今年最後の『冬の夜』になるかもしれない。 【The Sherrys - At The Hop】...
喧嘩すらしなくなった
口数も減って、この頃は、喧嘩すらしなくなった。 【Yerin Baek - See ...
春ひらく
小津安二郎のトーキーによる戦後の全作品のシナリオに関わった脚本家・野田高梧(のだ・こうご 1893 ~ 1968)の著作『決定版 シナリオ構造論』について。 ...
書くことの向こう岸
人は、 なんのために書くのか。 人は、 誰のために書くのか。 稗田阿礼...