知ってか知らでか
オセロゲームでは『隅を取るのが有利』とあの頃既に知っていたから、ぼくはイチ...
腰越、午前九時
八月、腰越の午前九時 —— 窓越しに、吹きはじめた風が既に熱そう。 「シー・ブリーズとかサマー・ブリーズとかって、どんな風のことをいう...
目が離れない
日曜。 雨の昼下がり。 待ち合わせ中。 サインボードの波。 とあるブライダルのコピーから目が離れない。 『キスは うまくなる でも 恋はうまく ならない』...
初午(はつうま)
昼もだいぶまわった頃、初午だから佐助稲荷に散歩がてらお参りに行こう、とイチ子に誘われ、多少重い腰を上げることになった。 ...
ワーズワース
「毎年成人の日ぐらいに咲くウチの水仙がね、今年はやっと今頃になって蕾を膨らま...
鉛筆
人生は鉛筆のよう。使って先が丸くなっても、削れば気分一新。 しかし、削っ...
河津桜
河津桜
サラマンカの手帖から
夏休み中の課題のひとつが読書感想文。本の分野やその長短などに条件はない。た...
たんぽぽのお酒
夜半の東京の雪は、夜が明けたら消えてしまったが、春はこうして近づいてくる。 ...
暑い日である
海が近い鎌倉の古くからの住宅のほとんどは、潮風やそれが運んでくる砂を避けるために海岸通りから少し距離を置き、周囲を灌木の林で囲んで建てられているのが普通であった。砂...