漫画の背景は一枚物のイラストの背景に比べるとはっきり言って殆ど読者には見られません。と言うか正確に言うとそれほど注目して見られるものではなくスルーされやすいものでしょうか。あくまで漫画は読者が主人公や周りのキャラが行動するのを目で追い、セリフを読んでページを流していくので背景は添え物的なものと言っても良いのかも知れません。かと言って背景が全く無いのも漫画とは言えません。それでは舞台がどこなのかも分からないし、時の流れや物語の進み方も全く分からなくなります。なので矛盾した言い方ですが背景は漫画の重要な要素ともなります。
キャラだけで背景が描かれてないと真っ白な画面になって手抜きだと言われますし、一方背景を描き込みすぎるとうるさくなって画面は真っ黒。キャラが目立ちません。けっこう面倒くさいものです。(笑)
最近はデジタル素材として背景の線画などを売っているところもありますし、クリスタなどのソフトでは写真を取り込んで線画を抽出して漫画の背景に出来るようにもなってます。背景がやたらリアルな漫画も多いですよね。それは大概がこういうもので描かれてます。
それは時間の短縮にもなるし、便利で良いのですが逆に絵柄との整合性が問われるようにもなります。私のような古い絵柄のギャグ漫画調のキャラと超リアルな劇画調背景では全く合いません。
私は自分で撮った写真をPCに取り込んでトレースして背景を描きます。絵柄的に超リアルなのは合わないし、漫画チックに一部を省略したり、絵の中に余韻を持たせるようにします。上の絵は自分で撮った銀座の写真をベースにトレースして描きました。全部線画として抽出したらもっと速く簡単に超リアルな和光堂が描けますがそれだと絶対自分の絵と合わない。(笑)
そこそこリアル、でも超リアルでもない、バランスを取るのが大変。さらに写真だと端っこの方がレンズの関係で歪みますがそこは肉眼で見ながらアナログ的に修正して描く。単純にトレースせず位置をずらして描いたりします。
なんだかんだ文句言いながらも描いてるときは楽しく描いてますけど。でも本音を言うと背景は自動で描いてくれるソフトがあったら嬉しい。(笑)