「そんなことはどうでもいい!」
夫が言った。
所詮、夫婦なんて他人だ。
婚姻届という紙1枚で、お互いに縛られた間柄でしかない。
他に行くところもないからここにいる。
ここにいる限りは少しでも居心地よく居たいと思う。
会話がないのも寂しいと思うから何かしら話す。
そんな時に放たれたこの言葉。
「そんなことはどうでもいい」
・・・
共通の趣味もなければ、遊びにも興味のないつまらない男。
結婚前からデートで連れて行かれる場所と言えば趣味の家庭菜園で手掛けていた借りた畑。
映画を観に行ったこともなければ、カラオケに行くとかもなかった。
夫と付き合う前に付き合ってた元彼とは真逆の性格。
元彼はと言えば遊び人で、仕事帰りに待ち合わせて飲みに行ったり休日には街に繰り出し買い物したり映画を観たり、ドライブに行ったりテーマパークでデートしたりした。
元彼と一緒に居たらさぞ楽しいだろうと思う半面、苦労するだろうということが目に見えていた。
結婚するなら真面目で堅実な人の方が良いに違いない!
そう思い込んだ私は元彼と別れて、この人との結婚を選んだ。
時々、私は物凄く後悔する。
こんな奴と一緒にならなければ良かった…と。
本当に面白くない
あんたが私の話しに興味ないように、私だってあんたの畑の話しなんてどうでもいいんだ!
大根の出来が良かろうが悪かろうが、私には全然興味ないんだから。
だからといって、「そんなことはどうでもいい!」なんて口が裂けても言ってはいけない言葉だと思ってた。
それを言っては何も話せない。
夫婦の会話だってなくなる。
お互いにどうでもいいような事しゃべっても意味ないでしょ?
そして私は本の世界に逃避する。
夫の話しに上の空で相槌うちながらね…
熟年離婚ってこういう些細な事の積み重ねが溢れたら突き付けられるもんだってことを世の団塊世代の夫たちは自覚するべきだと思う。