901iSシリーズでは唯一、歴代のiモードの音声端末では初のフルブラウザ搭載機となるNEC製の「N901iS」(機種別記事一覧参照)。載っているのはACCESS製の「NetFront」だ(5月9日の記事参照)。ザウルスなどのPDAにも搭載された実績があり、組み込み機器向けブラウザとして定評がある。
Macromedia Flashなどには対応しないが、そもそも携帯電話の小さな画面では無理も多く、Flash自体PC向けではバージョンアップも割と頻繁なので、ブラウザ機能としての対応は無理があるのだろう。
フルブラウザの見やすさを意識したためか、液晶ディスプレイは「N901iC」の2.3インチから2.5インチに拡大。QVGAより25ピクセル縦長のQVGA+液晶はN901iCから継承されたものだが、サイズが大きくなったため視認性は向上している。
ブラウザのレンダリングモードは2種類とシンプル。PCでの閲覧と同様にレンダリングを行い、上下左右のスクロールでWebページ全体を閲覧するモードと、横スクロールが不要なサイズに画面を再構成するモードだ。後者では横に長いグラフィックなどはディスプレイに収まるように縮小表示されるが、前者では画像を縮小表示する機能はない。
フルブラウザの利用にあたっては、NEC製FOMAに搭載されてきたニューロポインタが役に立つ。画面にカーソルが現れ、決定キーを上下左右にずらすことで、PCのマウスのような操作性を実現する。スクロールにもリンクのクリックにも利用できるため、PCでのブラウジングにかなり近い感覚で操作できるのだ。これまでニューロポインタの必然性を感じたことはなかったが、フルブラウザの利用については、方向キーより利便性が高い印象を受けた。
なおフルブラウザでダウンロード可能なファイルサイズは300Kバイト、アップロード可能なファイルサイズは80Kバイトとなる。端末のカメラで撮った写真をブログなどにアップできるのも便利。圧縮率を高めに設定すれば、VGAサイズの画像もどうにかアップロードも可能だ。
従来のケータイ向けフルブラウザと異なるのが、複数のページを同時に展開できる点だ。いわゆるタブブラウザ的な機能で、複数のページ間はメニューで任意のページを選択可能。左ソフトキーを押せば順に切り替えることもできる。ページの切り替えはほぼ瞬時に行われ、ストレスを感じさせない。
N901iSのフルブラウザは、auの「W21CA」やjigブラウザなど、先行したケータイフルブラウザにはない魅力を備えている。レンダリングモードが少ない点には少々不満も感じるが、ニューロポインタによる快適な操作や擬似タブブラウザ機能は魅力的だ。
半面、気になるのはやはり定額サービスである「パケ・ホーダイ」が適用されないことだろう。FOMAで使えるjigブラウザは「パケ・ホーダイ」で利用でき、auのW21CAも定額料金は上がってしまうがダブル定額が適用される。
定額制の適用や画像圧縮プロキシの提供など、パケットを節約してより積極的にフルブラウザを利用できるサービスの展開に期待したい。
“疑似タブブラウザ”が便利──「N901iS」のフルブラウザを試す
FOMA初のフルブラウザ搭載という点では評価できるが、auがパケット定額で利用できるのにDoCoMoのフルブラウザはパケット定額対象外なのが、やはり痛い。
さらに気になるのはアップロードのファイルサイズがたったの80KBと小さい点だ。せっかくのメガピクセルカメラがこれでは生かせない。auがメールに添付できるファイルサイズを拡張しているだけに物足りなく思えてしまう。