・n-3系脂肪酸n-3 polyunsaturated fatty acid/omega-3 fatty acid えぬ3けいしぼうさん .
n-3系脂肪酸n-3 fatty acid,ω(Omega)-3 fatty acid えぬさんけいしぼうさん
油は一般的にはトリアシルグリセロールというグリセリンに脂肪酸が3分子結合した形をしています。脂肪酸は簡単に言うと、油の部品ともいえ、多くの種類があり、それぞれに特性があります。
ω-3もn-3も同じ意味です。オメガとは、ギリシャ語アルファベットの中で一番最後の文字であり脂肪酸の端から数えて3番目の炭素に二重結合があるということを意味しています。右端からのオメガ(ω)炭素から3番目だからオメガ3と呼ばれます。
生理学系ではオメガ3系脂肪酸が右側の炭素からカウントω側からの炭素から数える習慣があるので、生理学者はオメガ3と呼びます。一方で化学系ではその反対側のカルボニル炭素-C(=O)-から カウント左から数える習慣によります。
炭素の数は脂肪酸の種類によって様々ですから、一般にn個炭素があったときn個目の炭素(結局ω炭素のことですが)から3番目の炭素は左から数えるとnから3を引き算した数、つまりn-3番目の炭素ということになります。ですからn-3系脂肪酸と化学者は呼ぶのです。
α-リノレン酸C18:3は、炭素(C)が18個でω側より数え最初に3番目、さらに9、1番目の3ヵ所に不飽和結合(二重結合)があります。
n-3系(ω-3系)脂肪酸は、植物油に多いαーリノレン酸、魚油に多くみられるEPA,DHA,DPAなどが含まれます。日本人の平均的摂取量は、n-3系脂肪酸のうちαーリノレン酸が60%、魚油のEPA,DHA,DPAで40%程度摂取しているといいます。
虚血性心疾患の予防に関与し食事摂取基準としての18歳以上の目標量を2.66~2.0g/1日以上と設定しています。
人体に対する疾病の罹患に対する根拠(エビデンスEvidence)の報告が無いことから上限値は設定していません。
n-3系脂肪酸としC18:3(αーリノレン酸:all-cis-9,12,15)、 C18:4(オクタデカテトラエン酸)、 C20:4(イコサテトラエン酸)、 C20:5(EPAイコサペンタエン酸・エイコサペンタエン酸:all-cis-5,8,11,14,17)、 C22:5(DPAドコサペンタエン酸:all-cis-7,10,13,16,19)、C22:6(DHAドコサヘキサエン酸:all-cis-4,7,10,13,16,19)が知られる。C16:3(ヘキサデカトリエン酸)、C18:3(オクタデカトリエン酸)、 C18:4(オクタデカテトラエン酸)、 C20:4(エイコサテトラエン酸)、 C24:6(にしん酸テトラコサヘキサエン酸:all-cis-6,9,12,15,18,21)のn-3系脂肪酸と植物に多い抗酸化成分を摂取することは、認知症のリスクを減少させるといわれています。
魚油Fish oilは油の多い新鮮な鰯、さばなどの魚を煮て圧搾し得られています。不飽和脂肪酸を80%と多く含みます。人の体質と異なる油で排出されやすく健康食品(EPA、DHA)の原料にもしています。
エイコサペンタエン酸・EPA(Eicosa Pentaenoic Acid)は鮭生100gで脂質8.4g、脂肪酸6.31g(EPA492mg、DHA820mg)を含み健康食品の飲料とし100ml当たりEPA600mg、DHA260mg含有の製品が登場しています。
ドコサヘキサエン酸DHA(Docosa-Hexaenoic acid) は鯖、ブリ、いわし、さんま、鮭など青身の魚に1.8g~0.8g/100g中と特に本鮪脂身(とろ:2.9g/100g中)には多く含まれます。ドコサは22の意味、ヘキサは6の意味で、つまり、炭素数が22で二重結合を分子内に6個有するということです。
DHAがαーリノレン酸(アブラナ科のナタネ油、くるみ油などに多く含む)より人体で合成されること分かっています。必須脂肪酸リノレン酸よりEPA(エイコサペンタエンサン)を経て合成され生理機能物質を作り出します。
n-3:n-6=1:4とされることが望ましいとしています。100g中でブリ生1.7g、まいわし生1.3g、真サバ生0.7gと多く含みます。
亜麻仁油の脂肪酸組成は飽和脂肪酸9%、n-9の脂肪酸21%、n-3系の脂肪酸57%、n-6系の脂肪酸13%で、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の割合が1:2:7程度として示されています。
荏胡麻油にαーリノレン酸(人体で合成されない必須脂肪酸:血流を良くし動脈硬化、心疾患、アレルギー予防、体内でDHAの合成に関与)を多く含みn-3系脂肪酸として注目しています。
胡麻の脂肪70%(リノール酸42.0%、αーリノレン酸[体脂肪の蓄積を防ぐ]9.1%、オレイン酸[体脂肪の蓄積を防ぐ]10.2%)を含んでいます。
菜種油100g中にオレイン酸55.2g[n-9]・リノール酸20.5g[n-6]・リノレン酸10.2g[n-3]を含みます。
油は、人の体内でグリセリンと脂肪酸に分解して吸収されています。現在、脂肪酸の取り方に関し、飽和脂肪酸(S):一価不飽和脂肪酸(M):多価不飽和脂肪酸(P)=1:1.5:1に、n-6系脂肪酸:n-3系脂肪酸の割合は 4:1になるような食生活の摂取バランスが勧められています。
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