◎香辛料Spice,Condiments こうしんりょう
食欲増進に用いられ種類により異なりますが主に熱帯から温帯地域に成育し特有の香り、辛味、刺激のある香辛料が多くあります。植物の葉茎、蕾、花、種子、果実、樹皮、根茎などから得られ、これらを、そのまま又は乾燥させ特有の刺激性の辛味と香味を利用し料理の味を引き立てます。欧米では、生のものをブーケガルニ(芳香材料の束)としての利用をしています。
日本で薬味として用いられている葱(ねぎ)、山椒、山葵(わさび)の類も香辛料といわれるものです。乾物では、古くから利用するものに七味唐辛子が知られています。それらは魚、肉類の臭み消し(嫡臭[ちゃくしゅう]作用)、香りづけ(賦香[ふか]作用)、辛味、薬味、抗菌、着色に利用され消化吸収促進に関与し食欲を増進させます。
主に利用される部位別では、
◇葉茎ではローリエLaurel(ローレル・ロリエ・月桂樹)、セージ、タイム、バジル、セロリ、ローズマリー、パセリ、エストラゴン、薄荷Peppermint、オレガノ、シソ、木の芽、蓼(たで)Water pepper、ガーデンクレス、ディル、マジョラム
◇蕾にはクローブ(丁子)、ミョウガ、サフラン(雌しべ)
◇果実の胡椒、コリアンダー、オールスパイス、唐辛子、柚子、八角、ヒハツ(未熟)
◇種子ではカルダモン、ナツメグ(肉荳蒄にくずく)、芥子Mustsrd、メース、キャラウエイ(ひめういきょう)、アニス、クミン、蓼、ガーデンクレス、ディル、マニゲット
◇樹皮を利用するものに、シナモン[肉桂]
◇根茎では、にんにく、生姜、玉葱、わさび、うこん、シナモン
等があり、植物の種類により含む成分が異なりますが、一般に脂肪を燃焼させ、抗酸化作用があります。
●主な特殊成分を含む香辛料
臭み消し カルボン:キャラウェイ メントール:ハッカ オイゲノール:オールスパイス ピペリン Piperine (アルカロイド):胡椒 チャビシン・シャビシンChavicin(アルカロイド):胡椒 セリネン:セロリ シネオール:ローズマリー ナツメグ パセリ エストラゴン ローリエ セージ クミン タデ ガーデンクレス ディル マジョラム
香りづけ(賦香[ふか]作用) ジンギベレンZingiberene:生姜 カンフェン:アニス シネオール:ローレル・セージ ゲラニオール:ローレル ツヨン(ケトン類):セージ ボルネオール:セージ ジテルペン:山椒 リナロール:ローレル・タイム・アニス カルバクロールCarvacrol:タイム シトロネオール:山椒 サンショオール:山椒 オイゲノール:シナモン・クローブ・オールスパイス メントール:薄荷(ハッカ) チモール:タイム カルバクロール:タイム 桂皮アルデヒド:シナモン ピネン:ナツメグ・タイム・胡椒・セロリ・セロリ・アニス・ミョウガ d-リモネン:柚子・キャラェイ・胡椒 シトラール:柚子 メントール:ハッカ ピペリン(アルカロイド):胡椒 チャビシン(アルカロイド):胡椒 セリネン:セロリ サフラナール:サフラン アビオール:パセリ エストラゴン 八角 タデ オレガノ ヒハツ マジョラム マニゲット ローズマリー
辛味 ジンゲロンZingeron:生姜 ショウガオールShogaol生姜 シニグリンSinigrn:黒辛子・ワサビ シナルビンSinalbine:白辛子 カプサイシンCapsaicine:トウガラシ ジテルペン:山椒 ゲラニオール シトロネオール:山椒 サンショオール:山椒 アリシン:にんにく シンナムアルデヒド:シナモン チャビシン・シャビシンChavicin(アルカロイド):胡椒 タデオナールTadeonal:蓼 パラドール:マニゲット 八角 クミン ガーデンクレス
抗菌 アリシン:にんにく アホエン:にんにく カンフェン:ナツメグ ローリエ チモールThymol:タイム カルバクロールCarvacrol:タイム ボルネオール:タイム メントール:ハッカ オイゲノール:オールスパイス カプサイシンCapsaicine:トウガラシ ピペリン(アルカロイド):胡椒 チャビシン(アルカロイド):胡椒 タデオナールTadeonal:タデ カルバクロールCarvacrol:オレガノ ピペリン:ヒハツ マジョラム
着色・彩り クルクミン:うこん クロロフィル:木の芽
薬味 クエン酸:柚子 レモン汁 ネギ ニンニク 海苔 生姜 大根のすりおろし 七味唐辛子 ワサビ 辛子 ミョウガ しそ等
ブーケガルニ(芳香材料の束、袋つめ) ローリエ・タイム・パセリの茎・タイム・にんにく・たまねぎ・エストラゴン・クローブ
食欲増進 ナツメグ トウガラシ パセリ アニス クミン(カレーの香り成分) にんにく マジョラム
抗酸化作用があるものとして
オイゲノール:オールスパイス ポリフェノール類、食物色素、βカロテン、ビタミンC、Eなどがあります。
七味唐辛子は、唐辛子(赤粉)、胡麻、麻の実、粉山椒、陳皮(ちんぴ)、あおのり(又はシソの葉)、ケシの実の7種が混合されたものです。
寛永年間(1625年)に医者、薬問屋の集まっていた所で日本橋薬研堀(やけんぼり:現在の両国橋周辺)の、からしや徳右衛門が、漢方薬を食べ物に利用できないかと考えられていた時に、考案したもので人気のある、生を乾燥させた唐辛子、焼き唐辛子、こしょう、さんしょう、陳皮、けし、麻の実を混ぜ合わせて売り出したのが始まりといわれています。 その独特の香味と程よい辛味が江戸っ子の嗜好に叶いました。一説には、七味といわずに、ナナイロということもありますが、シチミが正しいといわれます。1625年に江戸で考案され1655年京都にもたらされ、さらに1720年信州へ伝わり、現在の東京浅草寺門前「やげん堀」、京都清水寺門前「七味家」、長野善光寺門前「八幡屋磯 五郎」が日本3大七味唐辛子と言われ有名でよく知られます。焼き唐辛子の代わりに青海苔とか生姜、黒胡麻が使われたりしてそば、うどん、やきとり、味噌汁に欠かせない薬味、香辛料となっています。発汗を促し風邪の予防になります。
胡椒Pepper
コショウ科、原産地はインドですが北米、南米でも栽培されています。常緑つる性、高さ5~8m、葉が先が尖った卵形、5、6月に穂状で下垂(かすい)する白い花を咲かせます。
実が房状にえんどう豆ほどになり緑から深紅色に、熟すと黄色になります。香辛料中最も消費量が多く未熟、完熟の果実より黒、白の胡椒を製造しています。
日本でのコショウの消費は白胡椒が多く、赤く熟した実を発酵させながら軟らかくなった果皮、果肉を除いて乾燥させたものですが辛味、香りは黒胡椒ほど強くありません。
黒胡椒Black pepperは、蓄肉の煮込み料理に主に使われています。
白胡椒whaite pepperが洋風のスープ、煮込み、カレー、サラダ、魚、肉、ピクルスに色彩を大切にするサラダ、スープ、マヨネーズ、ホワイトシチュー、白身魚料理に使われます。
香味、辛味成分アルカロイド(ピペリンPiperine、チャビシンChavicin)を含み魚、肉の消臭、防腐、抗菌作用があり食欲増進に用いられています。
中国の香辛料五香(ウーシャン:主に山椒、八角、陳皮、ういきょう、シナモン)の材料が用いられ、桂皮酒としています。
香辛料といわれるものは、香りと辛味のあるもので主に欧米では抗菌作用があるものとして胡椒のように乾燥させ粉末としたものが多くあります。日本でも、薬味として抗菌として刺身のツマなどに用いられてきたものも香辛料ともなり用いられます。それぞれの植物が備え持った抗酸化物質で抗放射性物質対策としても見直されています。
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