・食事摂取と薬理Dietary intake and pharmacology しょくじせっしゅとやくり
食事は、日常的に、毎日食べられている行為であり食べることは健康維持に欠かせない存在です。しかしながら、多忙な毎日から、不摂生な生活が続くと、未病から、普段の食事だけでは、改善の見込みの無いような病気を引き起こすことがあります。
そこで、古代より民間薬、漢方で薬理作用があると思われる薬草を煎じたり、乾燥させ用いてきました。
薬といえばほとんどが薬草や生薬が主だった時代に世界で初めて合成の薬として、現在でも多く用いている歴史的なことです。西洋医学で、合成品として開発し解熱鎮痛に用いていたアスピリンは、もとを辿(たど)れば、柳の樹液です。そこから精製度の高いものが生まれ、合成品が多く製造するようになっていったのです。
漢方では数千年もの歴史の中に育てられ歴史に甘んじて成分分析の分野に遅れを取ってしまったのかもしれません。現在では有効成分が知られるようになり漢方について見直が進んでいます。
さらに近年では薬膳(1980年代)によって食事の大切さを認識するに至っています。
最近では、薬用植物のエキスとしたもの、ビタミン、ミネラルの粉末、カプセルとしたものが健康食品として出回っています。これらは、食品といっても、考えも無く摂取、服用すると過剰症を起こすことの数多くの報告があります。 そこで食事摂取基準においても耐容上限量というものが定められるに至っています。
ということで、ビタミン、ミネラレを中心に、食事からの耐容上限量と、一部薬理作用量とを比べてみることとしました。
食事の耐容上限量は、日常的に食べても差し支えの無い量です。生理作用とし、健康が維持できる量のことでもあります。耐容上限量以上に日常的に摂取していると、過剰症の心配が懸念されます。
薬理作用量は、極端に必要な成分が不足して食事からの耐容上限量以上に摂取、服用し、不足分を早い機会に補おうとするものです。おもに病状に必要な成分、精製した高い濃度の成分だけを投与しています。
症状、病気が治(おさ)まったら、早くに、早急にその量の減量、もしくは中止すべき量です。長期に継続していると、今度は過剰症を引き起こすことになりますので特に充分な注意が必要です。
ビタミン
◇ビタミンA:成人1日の推定平均必要量450~600μg
推奨量650~900μg(人参760μg[カロテン9100μg]/100g)、耐容上限量2,700μg(3mg)/1日、薬理作用として6~30mg/1日、 治療の目的には、通常成人、1日0.3~10g(ビタミンAとして、3,000~100,000ビタミンA単位Retinol Activity Equivalents[RAEμg])を3回/1日に分けて経口服用する。
ビタミンB群
◇B1:成人の推定平均必要量0.8mg~1.2mg、 推奨量0.8mg~1.4mg/1日(インスタントラーメン1.46~0.21mg/100g)、栄養機能食品としての上限が25mg 薬理的に5~200mgを皮下、筋肉、静脈内注射、点滴、経口投与する。
◇B2:推定平均必要量0.9mg~1.3mg、推奨量1.1~1.6mg/1日(豆苗0.30mg・さんま0.26mg/100g)、栄養機能食品としての上限が12mg、薬理作用として10~200mg/1日
◇B3[ニコチン酸、ナイアシン]:推定平均必要量8mg~15mg、推奨量10~15mg(鯖10.4mg/100g)、耐容上限量ニコチンサンアミドのmg量250mg~300mg、ニコチンサンのmg量60mg~85mg、栄養機能食品としての上限60mg、薬理作用として20~200mg/1日
◇B6:推定平均必要量1.0mg~1.4mg、推奨量1.2mg~1.4mg(豚もも肉皮下脂肪なし0.4mg・アジ0.4mg・さば0.51mg/100g)、耐容上限摂取量40mg~55mg、栄養機能食品としての上限が10mg/1日、薬理作用として20~500mg/1日
◇B12:推定平均必要量2.0mg、推奨量2mg~2.4μg/1日(鯖10.6μg/100g)、栄養機能食品としての上限60μg、薬理作用として20~200μg/1日
◇葉酸:推定平均必要量200μg、推奨量240μg(ほうれん草210μg/100g)、耐容上限量900μm~1,000μg、栄養機能食品としての上限が200μg、薬理的に内服薬フォリアミン(葉酸):5mg
◇パントテン酸:目安量 4~5mg(鶏レバー10.2mg/100g)、栄養機能食品として上限30mg、薬理作用として20~4000mg/1日
◇ビオチン[ビタミンBw・ビタミンB7・ビタミンH]:目安量50μg/1日(鶏レバー210μg/100g)、栄養機能食品として上限500μg、 薬理的に医薬品として0.5~50mg/1日
◇ビタミンC:推定平均必要量85mg、 推奨量100mg/1日(柿70mg/100g) 栄養機能食品としての上限1000mg、薬理的治療1,000mg~5,000mg
◇ビタミンD:目安量5.5μg/1日(さんま19μg/100g)、耐容上限量100μg、 栄養機能食品としての上限5.0μg、薬理的治療5~40μg
◇ビタミンE:目安量6.0~6.5mg(アーモンド31.2mg/100g[可食量10~20g]西洋南瓜5.1mg)、耐容上限量650mg~900mμg 栄養機能食品としての上限150mg、薬理作用として100~1,200mg/1日
◇ビタミンK:目安量 150μg(納豆870μg・ほうれん草270μg/100g)、上限量は設定していない。薬理作用5mg~15mg
ミネラル
◇ナトリウム:過剰摂取が多い傾向です。ナトリウムで推定必要量600mg(食塩で1.5g)、目安量は、特に設けられていません。目標量(食塩で7~8g)以下
◇カルシウム:推定平均必要量500mg~650mg、推奨量650~ 800mg(牛乳110mg・野沢菜漬物130mg/100g)、耐用上限量2,500mg 栄養機能食品としての上限が600mg、薬理作用として600~1,500mg/1日
◇マグネシウム:推定平均必要量220mg~310mg、推奨量270~370mg(玄米110mg、精白米23mg/100g)、通常の食事以外からの耐用上限量350mg、栄養機能食品としての上限量300mg、薬理作用として300~750mg/1日
◇マンガン:目安量3.5mg~4.0mg(玄米2.05mg・精白米0.80mg/100g)、耐容上限量11mg
◇銅:推定平均必要量0.6mg~0.7mg、推奨量0.7~1.0mg(牛レバー0.5mg・牡蠣0.35mg・枝豆0.41mg/100g)、耐容上限量10mg、薬理作用として10mg~/1日
◇亜鉛:推定平均必要量6.0mg~8.0mg、推奨量7~10mg(牡蠣13.2mg)、耐容上限量35mg~45mg、薬理作用として50~200mg/1日
◇ヨウ素:推定平均必要量95μg、推奨量130μg(カットわかめ8500μg・生わかめ1600μg/100g)、耐容上限量3mg(3,000μg)
◇セレン:推定平均必要量20μg~25μg、推奨量 25~30μg(マイワシ54μg/100g)、耐容上限量330μg~460μg、薬理作用として50~200mg/1日
◇クロム:目安量 10μg(カットわかめ10μg・干ひじき24μg・さんま2μg/100g)、上限量は特に定め無し。は厚生労働省ではサプリメントからクロムを大量に摂取することは控えるよう勧めています。
◇鉄:推定平均必要量5.0mg~9.0mg、奨励量7mg~10.5mg(豚肝臓13mg/100g)、耐容上限量40mg~50mg、薬理作用~500mg
◇リン:目安量として800~1,000mg(豚肉:160mg/100g)、耐容上限量3g(3,000mg)
◇モリブデン:推定平均必要量20μg、推奨量20~30μg(茹で小豆98μg、乾燥小豆210μg/100g)/日、耐容上限量450~550μg/日
◇カリウム:目安量として2~4g(バナナ360mg/100g)、目標量2,600mg~3,000mg、上限量Na(3.94gで食塩10g):K(2g~4g)比で2:1以下
日本人では、不足することが、少ないといわれているのは、ヨウ素、セレン、リンがあげられます。
クロムの食事摂取基準(2010年:推奨量25~40μg 2015年:目安量10μg)に大きな誤差が見られています。
栄養機能食品の上限量は、日常的に摂取してもさほど害が無いと思われる量です。耐容上限量以上に、また薬理作用のある量を日常的に、摂取、服用すると過剰症の危険がありますので、サプリメントの摂取については、くれぐれも注意書きを遵守(じゅんしゅ)し、過剰摂取には気を付けましょう。
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