・キムチとキムジャン文化(Kimjang:Making and Sharing Kimchi in the Republic of Korea) きむちときむじゃんぶんか
和食とともに韓国の「キムチとキムジャン文化」がユネスコ(UNESCO:国連教育科学文化機関)の世界無形文化遺産への登録をしています。
カスピ海に面するアゼルバイジャンAzerbaijanで開かれた「第8回無形文化遺産委員会2013/12/2-7日」で2013/12月5日の発表でした。
よく知られるキムチは、唐辛子やニンニクなど様々な香辛料、塩辛で野菜を漬けた「漬物の総称」のことで、特に白菜のキムチは有名です。一冬分のキムチをまとめて漬け込む作業を「 キムジャン」といいます。
キムジャン文化とは、キムチを漬けこむ行事・習慣を指していう言葉です。韓国では、本格的な長く厳しい冬が来る11-12月に、家族総出で集まって一斉にキムチを漬けこむ越冬の準備の風習があり、韓国の冬の風物詩となっているのです。社会的な分かち合い、家族の協力関係の増進、キムジャン文化の伝承によって、韓民国すべてを団結させるという特徴を持つとしています。
単なるキムチだけでは商用に利用されるとのいきつつもあったようです。
無形文化遺産とは、人類が守り保存していく遺産として、口承伝統、伝統芸術行事、民族活動、儀式・祝祭行事など、無形で、庶民の生活と密接な関連があり、子孫に受け継がれる各種伝統文化の表現形式のことです。
一方、キムチは具体的な食べ物であり、今までに、具体的な食べ物が無形文化遺産に登録された例はないといいます。
トルコの伝統料理ケシケキは、伝統に則(のっと)った料理として小麦の処理の仕方の一つ一つの過程は伝統的な歌や踊りと共に行われ、儀式の一部となり登録です。
キムチが駄目ならキムジャン文化といったところでしょうか。
韓国半島全域において行われるキムジャンの起源についてはあまり知られていませんが、文献上では高麗時代の李奎報(りけいほう1168-1241)の書いた詩に「大根を醤油または塩に浸ける」という内容がキムジャンの最初の姿のようです。
キムチの起源は、野菜の塩漬けの意味で沈菜(チムチェ)の塩漬けで水分が浸み出て野菜が塩水の中で漬かる様子からヂムチェ→キムチェ→キムチとして定着していきました。
朝鮮時代(1392年~1897年)の中頃になると、唐辛子が伝来し18世紀の農書「増補山林経済」では、大型で結球型の白菜が中国から、伝来は19世紀末です。唐辛子などの香辛料、調味料の入ったキムチが作られるようになっていきました。とはいえ、この当初は糸唐辛子にして飾りとして使う程度でした。やがて唐辛子入りのキムチやコチュジャン(唐辛子味噌:大豆みそ・麦芽粉・もち米麹・唐辛子粉)にへとの記述が見られています。18世紀後半にはアミの塩辛を加熱し、漉した汁に白菜、大根、🥕人参、🧅玉葱、長葱、唐辛子、🧄大蒜、生姜、海鮮などを薬味(薬念ヤンニョム)として混ぜて漬ける方法が、書物「京都雑志」への記録をきっかけに、旨味のある塩辛入りのキムチに発展していったのです。
このことから今日のようにキムチを大量に初冬に浸けた記録は以外にも新しく19世紀の文献に本格的に登場しています。キムジャンが浸透し粉唐辛子の使用により保存性がより高まり、キムジャン文化が浸透して全国的な冬の風物詩として定着していくこととなりました。
零下にもなる寒い韓国の冬では、外の土の中にカメをうずめることで、キムチの発酵にとって一定の最適な温度が確保でき、長期保存が可能であったのです。現代では保存庫として、キムチ冷蔵庫がその威力を発揮しています。古漬けのキムチを「ムグンジ(묵은지)」といい数年もの、ないし数十年もののムグンジ(熟成白菜キムチ)が存在し、高級食材として重宝していることがあります。熟成の進み具合によりコッチョリ(浅漬けキムチ)、センキムチ(常備菜の熟成度のキムチ)、ムグンジ(古漬けキムチ)の3種類に分かれ、酸味の強いムグンジは、煮物や鍋などの料理に用いられます。
白菜が主ですが、他にも大根(カクテキキムチ)、胡瓜(オイキムチ)、キャベツ(ヤンベチュキムチ)、からし菜(カッキムチ)など多くの野菜がキムチとして漬けられています。
キムジャンといって、越冬前に各家庭、一族、地域で総出で一斉に一冬分のキムチ漬けを行います。11月~12月にかけて、冬の一大行事なのです。白菜などの野菜が山積みになる市場では、人々の活気に包まれます。大家族が同じ屋根の下に暮らしていた時代は、山積みの白菜をキムチにしていました。現代では核家族化が進み、そのキムチの漬ける量は減少しつつあります。とはいえ、キムジャンは今も初冬の年中行事としてなお根付いて自然環境を乗り切るにふさわしいキムジャン(韓国のキムチ漬け)文化は今日も続けられているのです。
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