・雨水 うすい
二十四気(節気)の2節目で太陽黄経を24等分した太陽が1等分点を通過するごとに一つの節気の日付を決めるようにした定気法の暦で立春の次に来る2月19日頃、陰暦で正月中(旧暦1月内)太陽黄経(たいようこうけい)330度(立春:太陽黄経315度)陽気がよくなり、雪や氷が溶けて水になり、雪が雨に変わる頃です。
雪が溶け始めるころということになります。
暦便覧(太玄斎たいげんさい:1787年著)には「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」と記しています。2月ということもありまだ肌寒い季節です。
実際は積雪のピークを迎えているわけですが、それゆえ、この時節から寒さも峠を越えたことを告げているのでしょう。三寒四温をこの頃より用いています。農業との関係が深いことからこの時期は農作業の準備の目安としています。
南北に長い日本列島では、この時期は、まだ真冬の寒さから抜け切らず雪深い地域から本当に雨に変わっている地域もあります。ですが、立春より春は近づいています。2月はよく降雨ないし降雪の見られる季節です。降雨、降雪の季節なので春に向かっているといっもまだ寒いです。
二十四節気を3つの候と七十二候分け、気候の様子をあらわしています。
立春の略本暦(日本)宣明暦(中国)
◇雨水
初候
日本:土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)雨が降って土が湿り気を含む
中国:獺祭魚(だっさいぎょ) 獺(かわうそ)が捕らえた魚を並べて食べる
次候
日本:霞始靆(かすみはじめてたなびく)霞がたなびき始める
中国:鴻雁来 雁が飛来し始める
末候
日本:草木萌動(そうもくめばえいずる)草木が芽吹き始める
中国:草木萌動 草木が芽吹き始める
二十四節気は黄経を15度ごとに分割して、太陽の中心がその角度に達する毎に、その角度に該当する二十四節気に入った節入り(せついり)といいます。
黄経(こうけい)は春分点を0度として、東回りで太陽の通り道の黄道上の見かけの運動方向と同じ方向に向かって値を増やして春分点に戻る360度まで数えます。夏至の点は黄経90度、秋分点は黄経180度、冬至の点は黄経270度となります。
2024年まで雨水は2月19日です。天文学ではその瞬間であり、および啓蟄(けいちつ: 太陽黄径345度)までの期間(2020/2/19~3/5)のことをいいます。 立春から数えて15日目頃からです。
黄経は、地球上の場所を表すのに「北緯35°、東経135°のように経緯度を用いることがあります。地球のような「球体」の表面の位置を示すのにこの経緯度を使った座標(極座標)を用いるのが便利です。
空にはたくさんの星や月や太陽が見えます。
こうした様々な星の位置を表すにもやはり座標が必要になります。そして空は昔から天球(てんきゅう)という言葉があるように、一種の球体としてとらえ、その球体の上に見える星々の位置を表すには地球上の位置を表すのと同じ、経緯度を用いた極座標が適し実際に使われてきました。
ただ地球上の経緯度と違って、天球上の経緯度の表し方にはいくつかの系統があって、用途によって使い分けられています。
その一つが黄道座標で、主に月や太陽、それに惑星の位置を表すのに用いられます。
暦の上での二十四節気の節入りの位置を示す「黄経」という言葉は、この黄道座標の経度方向の値ということで、「黄経」です。黄道座標は天球上を太陽が一年かけて移動してゆく道筋、黄道を基準として作られた座標です。
この黄道は地球から見れば太陽の動く道筋で、逆に太陽から見れば太陽の周りを地球が一年かけて巡ってゆく道筋にあたります。要するに地球の軌道面を表しているのです。
基準となる黄道は黄道座標における緯度方向の成分である黄緯は 0°としています。太陽はこの黄道を巡るように見えますから、太陽の黄緯はいつも0°です。
よって、太陽の位置を表すのに黄道座標を用いれば、その位置はいつも経度方向の黄経だけで言い表せて大変便利で昔から使われているのです。
◇黄道と黄道十二獣帯
昔から太陽の位置を表すのに黄経を使っていましたが、現在のように、「今日の太陽黄経は××°だ」と、いえるようになるのに大昔は、現代のような装置が作られる前には、太陽が昇る直前や沈んだ直後の空をみて太陽がどの星座にあったかを確認して、太陽の位置を知ったのです。
このため、星座はたくさんある中で、黄道に沿って存在する12の星座は特に重要な星座で、黄道十二星座とか黄道十二獣帯と呼ばれてきました。獣帯というのは、その十二星座のうちの多くが動物の名前を持っている星座だからです。
おひつじ、おうし、ふたご、かに、しし、おとめ、てんびん、さそり、いて、やぎ、みずがめ、うお座の十二星座です。星占いにも用いています。昔の人たちは太陽がどの星座にあるかを知ることで、その日がどの季節なのかということを知りました。
そしてその人が生まれた時に太陽があった星座がその人の運命を握る星座だと考えて、誕生星座の考えが生まれています。
現在、黄道十二獣帯の星座は、昔は暦の役割を果たしていたのです。
現在でも太陽の位置で暦と季節を結びつけることは行われているわけですが、現在では星座を使うことから座標値を使うようになっています。
星座はその大きさがまちまちで、精密な位置を表すには不向きであり天文学、暦学の進歩により、おおざっぱな星座による位置の表し方からより正確な座標値を用いるようになっていったのです。
そして現在、2月19日13:57太陽の中心の黄経330°となる日は暦の上の雨水の日となります。
昔ながらの星座による表し方をすれば、太陽はうお座にあるということになります。
春分 2020年 3月 20日 ( 3月21日 おひつじ座)
穀雨 2020年 4月 19日 ( 4月20日 おうし座)
小満 2020年 5月 20日 ( 5月21日 ふたご座)
夏至 2020年 6月 21日 ( 6月22日 かに座)
大暑 2020年 7月 22日 ( 7月23日 しし座)
処暑 2020年 8月 23日 ( 8月23日 おとめ座)
秋分 2020年 9月 22日 ( 9月23日 てんびん座)
霜降 2020年 10月 23日 (10月24日 さそり座)
小雪 2020年 11月 22日 (11月22日 いて座)
冬至 2020年 12月 21日 (12月22日 やぎ座)
大寒 2020年 1月 20日 ( 1月20日 みずがめ座)
雨水 2020年 2月 19日 ( 2月19日 うお座)
人は寒いと感じながらも、植物は春を感じ取り、蕾が膨らみかけています。
二十四節気・五節句(中国で作られた暦)では十分に季節の変化を読み取れないため、その補助をする為に考えられた雑節は明治20年に始まった日本独自の暦です。
雑節はより農作業と照らし合わせ節分、社日(しゃじつ)、彼岸(ひがん)、八十八夜、入梅、半夏生(はんげしょう)、二百十日、土用と季節の移り変わりの変化をあらわしその目安を示す日としています。
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