◎柿Persimmon・Kaki かき
昔からの言い伝えで「柿が赤くなると医者が青くなる」といわれるぐらい栄養価値の高い食材として親しまれています。そんな柿の雑学、栄養などに迫ってみることと致しました。
カキ属としては温帯地方に分布する数少ない植物ですが柿の種類は非常に数多く存在していますね。奈良時代(710年~794年)に中国大陸から桃や梅、杏子などとともに渋柿が渡来し、野生化する中で甘柿が生まれたと言われ甘柿はわが国特有のものです。日本原産の甘柿は16世紀頃にポルトガル人によってヨーロッパに渡り、後にアメリカ大陸に広まっていきました。
柿の語源・由来として秋の紅葉の色と柿の実の色のアカキ(赤黄)、赤い実がなる木なのでアカキ(赤木)、実が堅いことから カタキ(堅木)、つやつやして輝いているカカヤキ(輝)、カキにあたる朝鮮語kamから転じた説など多くの説がいわれています。日本古来の植物で「柿」という文字も日本でつくられた国字です。
中国語で シー柿 shi、 シーズー柿子 shizi、学名をDiospyros kaki といいます。
柿という名前が日本の文献に初めて出てきたのは、平安時代の弘仁6年(815年)、嵯峨天皇の時代に編集の「新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)」といわれます。目録だけの抜き書きであって本文は残っていないようですが、所々にその残滓(ざんし)が認められ、その中に、「歌人・柿本人麻呂は家に柿の木があったことからこの姓を名乗った」という記述があります。このことから、約1200年前には柿の木の存在が認められていたことになります。
大陸には甘柿は存在せず秋になると、たわわに実る甘柿は日本古来のオリジナルの果実といわれます。日本から1789年にヨーロッパへ、1870年に北アメリカへ伝わったことから学名にもkakiの名が使われているのです。
英語で柿を表すPersimmonの語源は、アメリカ合衆国東部のインディアンの言語であるアルゴンキン語族で「干し果物」を意味する名詞「ペッサミン」であり、先住民がアメリカガキ Diospyros virginiana の実を干して保存食としていたことに基づくとしています。国別生産量でこのうち、70%以上を中国が、続いて、韓国、日本、ブラジル、イタリア、イスラエルの順で栽培生産しています。
日本では沖縄県を除くほぼ全都道府県で栽培・出荷していますが、青森と北海道は寒冷すぎるので甘柿は育たず渋柿がごく少数出荷されているに過ぎません。甘柿の温暖地栽培で次郎、富有、御所(径5cm)など、渋柿の寒冷地栽培で平核無[ひらたねなし・径7cm]、会津身不知〈あいづみしらず・径7cm〉、百目〈ひゃくめ:径5cm〉などに大別しています。0~15℃で2~3ヶ月の保存が可能です。
甘柿は渋柿の突然変異種と考えられており、日本特産の品種といわれ未熟時は渋いのですが熟すに従い渋が抜け、甘みが増してきます。鎌倉時代前期にあたる1214年(健保2年)に現在神奈川県川崎市麻生区にある王禅寺山中で偶然に発見されています。
昔からの言い伝えで「柿が赤くなると医者が青くなる」といわれるぐらい栄養価値の高い食材として親しまれています。そんな柿の雑学、栄養などに迫ってみることと致しました。
カキ属としては温帯地方に分布する数少ない植物ですが柿の種類は非常に数多く存在していますね。奈良時代(710年~794年)に中国大陸から桃や梅、杏子などとともに渋柿が渡来し、野生化する中で甘柿が生まれたと言われ甘柿はわが国特有のものです。日本原産の甘柿は16世紀頃にポルトガル人によってヨーロッパに渡り、後にアメリカ大陸に広まっていきました。
柿の語源・由来として秋の紅葉の色と柿の実の色のアカキ(赤黄)、赤い実がなる木なのでアカキ(赤木)、実が堅いことから カタキ(堅木)、つやつやして輝いているカカヤキ(輝)、カキにあたる朝鮮語kamから転じた説など多くの説がいわれています。日本古来の植物で「柿」という文字も日本でつくられた国字です。
中国語で シー柿 shi、 シーズー柿子 shizi、学名をDiospyros kaki といいます。
柿という名前が日本の文献に初めて出てきたのは、平安時代の弘仁6年(815年)、嵯峨天皇の時代に編集の「新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)」といわれます。目録だけの抜き書きであって本文は残っていないようですが、所々にその残滓(ざんし)が認められ、その中に、「歌人・柿本人麻呂は家に柿の木があったことからこの姓を名乗った」という記述があります。このことから、約1200年前には柿の木の存在が認められていたことになります。
大陸には甘柿は存在せず秋になると、たわわに実る甘柿は日本古来のオリジナルの果実といわれます。日本から1789年にヨーロッパへ、1870年に北アメリカへ伝わったことから学名にもkakiの名が使われているのです。
英語で柿を表すPersimmonの語源は、アメリカ合衆国東部のインディアンの言語であるアルゴンキン語族で「干し果物」を意味する名詞「ペッサミン」であり、先住民がアメリカガキ Diospyros virginiana の実を干して保存食としていたことに基づくとしています。国別生産量でこのうち、70%以上を中国が、続いて、韓国、日本、ブラジル、イタリア、イスラエルの順で栽培生産しています。
日本では沖縄県を除くほぼ全都道府県で栽培・出荷していますが、青森と北海道は寒冷すぎるので甘柿は育たず渋柿がごく少数出荷されているに過ぎません。甘柿の温暖地栽培で次郎、富有、御所(径5cm)など、渋柿の寒冷地栽培で平核無[ひらたねなし・径7cm]、会津身不知〈あいづみしらず・径7cm〉、百目〈ひゃくめ:径5cm〉などに大別しています。0~15℃で2~3ヶ月の保存が可能です。
甘柿は渋柿の突然変異種と考えられており、日本特産の品種といわれ未熟時は渋いのですが熟すに従い渋が抜け、甘みが増してきます。鎌倉時代前期にあたる1214年(健保2年)に現在神奈川県川崎市麻生区にある王禅寺山中で偶然に発見されています。
このことから、柿生の地名の元となり、古くから地域の人々の生活を支えてきました。後に木のある王禅寺は、徳川家の領地となったことから「いなだ子ども風土記」によると、家康が領地の見回りに来た時に、一人の農夫に柿の名を尋ねたが名前がないため、家康は土地の名前を採り王禅寺丸柿と名付け、後に元禄時代の頃になって禅寺丸柿と呼ばれるようになったと伝えられています。
江戸時代の1648年頃から王禅寺近隣地域に栽培の広がりをみせましたが小ぶりで種が大きいのが特徴的なことから昭和40年代半ばには市場から一旦姿を消しました。しかし、地域の人々の熱意と努力で「柿生禅寺丸柿保存会」が結成され、その希少価値から人気が復活のきざしがあるようです。禅寺丸が、日本初の甘柿と位置づけられています。
甘柿は、紅色に熟せば常に甘みを持つ完全甘柿(富有【径10cm:250-300g果肉が柔らかい】、次郎【径10cm:250-300g果肉はやや固め】)と、種の有無・多少により成熟時に渋が残ることがある不完全甘柿(禅寺丸、筆柿100g、西村早生200g、黒柿 )に分類しています。渋が残ることがあることから、不完全甘柿を渋柿の一種に含めることもあります。
甘柿は、紅色に熟せば常に甘みを持つ完全甘柿(富有【径10cm:250-300g果肉が柔らかい】、次郎【径10cm:250-300g果肉はやや固め】)と、種の有無・多少により成熟時に渋が残ることがある不完全甘柿(禅寺丸、筆柿100g、西村早生200g、黒柿 )に分類しています。渋が残ることがあることから、不完全甘柿を渋柿の一種に含めることもあります。
完全甘柿の代表的な品種の富有は岐阜県瑞穂市居倉が発祥で原木が残っているといいます。次郎は静岡県森町に住んでいた松本次郎吉に由来しています。不完全甘柿の代表的な品種は、上記の禅寺丸や愛知県が発祥の筆柿などがあります。
渋柿は、実が熟しても果肉が固いうちは渋が残る柿です。種のない平核無(径7cm:200g)は新潟県を発祥としています。刀根柿(とねがき)は奈良県天理市の刀根淑民(とね よしたみ)氏の農園で栽培していた平核無(ひらたねなし)が1959年に伊勢湾台風の影響で被害が大きくなり、隅の一本から自生した枝梢(ししょう)に、もう一度平核無を接ぎ木し、成長し早生種(わせしゅ)として突然変異したもので、1980年(昭和55年)に品種登録しています。
「桃栗三年柿八年」 と言われ、種まきから最初の結実までの期間は長く、ことわざでは8年とも言われていますが、接ぎ木の技術を併用すると実際は4年程度で結実するといわれています。
諺(ことわざ)に「柿が赤くなると医者が青くなる」と言うことわざは、ビタミン類とミネラルが多く栄養的価値が高く医者いらずで医者に通(かよ)う人が少なくなることより重宝していたようです。
「瓜は大名に剥かせよ。柿は乞食に剥かせよ」では瓜は実の中心部が最も甘みが強く、皮を厚く剥きますが一方柿は皮のすぐ下が最も甘みが強いため極力皮を薄く剥くことからとしています。
「瓜は大名に剥かせよ。柿は乞食に剥かせよ」では瓜は実の中心部が最も甘みが強く、皮を厚く剥きますが一方柿は皮のすぐ下が最も甘みが強いため極力皮を薄く剥くことからとしています。
「柿の木から落ちると3年しか生きられぬ」と言われこれは戒めの言葉で 柿に登る時は、柿の木は折れやすいので気をつけろという意味としています。
「青柿が熟柿(じゅくし)弔う」は、青柿もいずれは熟柿になることから、弔う者も弔われる者も大差はないという意味となります。
「柿根性」は、渋柿は焼けばすぐに渋(しぶ)がとれ、干し柿にすると一晩で甘くなることから、 いっけん頑固そうに見えても、変わりやすい性質のことをいいます。
「桜折る馬鹿柿折らぬ馬鹿」は、桜は、枝を折ると木が弱り、柿は、枝を折ると翌年は枝が茂って実が多くなることから枝を折ったほうがよいということです。
俳句では「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺 ・正岡子規」がよく知られています。2005年に【柿の日】として制定していますが、1895年の10月26日から正岡子規が始めた奈良旅行で、この句を詠んだことから制定の由来になっています。
柿は、植物界Plantae 、被子植物門 Magnoliophyta、双子葉植物綱 Magnoliopsida、 カキノキ目 Ebenales、カキノキ科 Ebenaceae、 カキノキ属 Diospyros、種spp・ form ・cultivarに分類しています。カキノキ科は、2属500種ほどが世界の熱帯・亜熱帯を中心に分布しており大部分がカキノキ属で、もうひとつの属についてはよく知られていません。
また大部分が常緑樹で、温帯産の落葉樹カキ(柿)などは例外的なもののようです。カキノキ科の主要な果物は柿とマメガキ(主に柿渋の採取目的)の2属で、果物の属としての広がりがありません。果実が食用にされるのはカキのみといわれ、柿渋、材木としての利用が多いようです。柿は植物名ではカキノキが正しいとしています。
樹高5~ 15mの落葉樹、枝が折れやすく樹皮に特有の亀裂(きれつ)が見られています。葉は互生し、楕円形で先端は尖り、雌雄異種、雌雄同種があり花の外側につく3~7つに裂けている萼(がく)はヘタで雌雄同種の雌花は点々と離れ1か所に1つ黄白色のものが咲き、柱頭が4つに分かれた雌しべがあり、周辺には痕跡的な雄しべがみられます。雄花はたくさん集まって付きます。
樹高5~ 15mの落葉樹、枝が折れやすく樹皮に特有の亀裂(きれつ)が見られています。葉は互生し、楕円形で先端は尖り、雌雄異種、雌雄同種があり花の外側につく3~7つに裂けている萼(がく)はヘタで雌雄同種の雌花は点々と離れ1か所に1つ黄白色のものが咲き、柱頭が4つに分かれた雌しべがあり、周辺には痕跡的な雄しべがみられます。雄花はたくさん集まって付きます。
日本では5月の終わり頃から6月にかけて白黄色の地味な花をつけます。黒檀(こくたん)の木質は特に堅く高級な木材として知られています。果実は柿(かき)と呼ばれ、やがて緑色から秋には橙色に、形は平らで四角形、卵形、球形、円錐状のものがあり10~11月にかけて果実が成熟し種子は褐色をしています。果実を採取し生食用とし市場に多く出回り旬となります。
そのまま食べるほかサラダ、柿なます、干し柿、あんぽ柿(やわらかめの粉を吹かないもの)、ジャム、柿羊羹とし加工もしています。
渋柿は、干し柿、吊るし柿としてのある風景は晩秋の風物詩となっています。
柿の葉は揚げ物、柿の葉寿司、お茶、柿の葉酒に用いられます。
そのまま食べるほかサラダ、柿なます、干し柿、あんぽ柿(やわらかめの粉を吹かないもの)、ジャム、柿羊羹とし加工もしています。
渋柿は、干し柿、吊るし柿としてのある風景は晩秋の風物詩となっています。
柿の葉は揚げ物、柿の葉寿司、お茶、柿の葉酒に用いられます。
苦味(タンニン:殺菌作用)を呈します。柿の葉寿司は、塩、酢、柿の葉の殺菌作用を利用し、新鮮なサバ、秋刀魚を〆て用い作られ1日、2日の常温保存ができ昔から携帯食としてきました。
ケルセチン(ポリフェノールの一種)の抗酸化力、血圧低下作用を有しています。柿の葉茶には、「プロビタミンC」といわれる状態で含まれているので熱に強く破壊されにくくビタミンCの補給によいといわれています。生薬(柿蔕:してい)として咳止め、止血にも利用してきました。
栄養価値の高い食材でもあるのですが、不消化物の粗繊維、粗たんぱく質が多く主体としており消化が悪く、身体を冷やすといわれ多食を避けたほうがよいともいわれています。過食は慎(つつし)みましょう。
特徴は、 果実の皮をむき、干しガキにしたものを柿餅(しべい)、根を柿根(しこん)といい、止血の目的で吐血、下血に用います。
干し柿(柿餅)の表面に出てくる、白い粉末は甘く、これを集めたものを柿霜(しそう)といい、これを加熱して、あめのようにしたものを柿霜餅(しそうべい)といい、のどの痛み、咳止めに用いられます。干柿にみられる表面の白い粉マンニット(ブドウ糖、果糖)が、粘膜を潤し、咳止め、気管支炎の予防によく利用しているのです。
柿の色を出しているのはフラボノイド、アントシアン、カロテノイド(リコピン、ルチン、クリプトキサンチン500μg%、βーカロテン420μg%)により、リコピンが多いとあざやかにみえます。
渋みの主体シブオール(フェノールカルボン酸、タンニン)は、渋柿で1~2%、甘柿のゴマは、タンニン細胞の変化したもので0.01~0.08%含みます。柿の渋みタンニンは、水溶性で甘柿は成熟するに従い不溶性に変化して甘くなるのですが渋柿は成熟してもそのまま残っているのでお湯(40~45℃で一昼夜)、アルコールに漬け、エチレンガス(樽さわし法)を利用、干し柿にして渋みを抜いています。
褐変の原因になるポリフェノールオキシダーゼをあまり含んでいないので皮をむいて多少の保存が可能です。
柿渋を日本酒の清澄剤(せいちょうざい)、渋紙に使用しています。
100g当たりで甘がき生エネルギー60kcal、水分83.1g、タンパク質0.4g、脂質0.2g、炭水化物15.9g、灰分0.4g、ナトリウム1mg、カリウム170mg、カルシュウム9mg、マグネシュウム6mg、リン14mg、鉄0.2mg、亜鉛0.1mg、銅0.03mg、マンガン0.50mg、ビタミンA:70μg(カロテン420μg)、ビタミンD:(0)、ビタミンE:0.1mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.03mg、ビタミンB2:0.02mg、ナイアシン0.3mg、ビタミンB6:0.06mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸18μg、パントテン酸0.28mg、ビタミンC70mg、食物繊維1.6gを含みます。
渋抜き柿100g当たりでエネルギー63kcal、水分82.2g、タンパク質0.5g、脂質0.1g、炭水化物16.9g、灰分0.3g、ナトリウム1mg、カリウム200mg、カルシュウム7mg、マグネシュウム6mg、リン16mg、鉄0.1mg、亜鉛Trmg、銅0.02mg、マンガン0.60mg、ビタミンA:50μg(カロテン300μg)、ビタミンD:(0)、ビタミンE:0.2mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.02mg、ビタミンB2:0.02mg、ナイアシン0.3mg、ビタミンB6:0.05mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸20μg、パントテン酸0.27mg、ビタミンCビ55mg、食物繊維2.3gを含含みます。
干し柿100g当たりでエネルギー276kcal、水分24.0g、タンパク質1.5g、脂質1.7g、炭水化物71.3g、灰分1.5g、ナトリウム4mg、カリウム670mg、カルシュウム27mg、マグネシュウム26mg、リン62mg、鉄0.6mg、亜鉛0.2mg、銅0.08mg、マンガン1.48mg、ビタミンA:240μg(カロテン1400μg)、ビタミンD:(0)、ビタミンE:0.4mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.02mg、ビタミンB2:0mg、ナイアシン0.6mg、ビタミンB6:0.13mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸35μg、パントテン酸0.85mg、ビタミンCC2mg、食物繊維14.0gを含みます。
甘柿でビタミンCは、70mg/100g中と多く含みます。カテキンやプロアントシアニジンProanthocyanidinなどの抗酸化成分も豊富に含まれています。ヘタを柿蔕(してい)といい、古くからしゃっくり止、鎮咳に利用してきました。
以前には農家の庭先に柿の木は飢饉の備えとして多く植えられていたようです。中国、韓国では、干し柿か、過熟の甘くなった汁気の多い柿をストローで吸うとか、柿酢、干柿のシロップ漬けなどとして利用しているようです。ビタミン、ミネラルの給源として好ましいのですが、不消化物を主体としているので食べ過ぎには注意しましょう。栄養バランスの取れた食生活が望ましいのです。
ケルセチン(ポリフェノールの一種)の抗酸化力、血圧低下作用を有しています。柿の葉茶には、「プロビタミンC」といわれる状態で含まれているので熱に強く破壊されにくくビタミンCの補給によいといわれています。生薬(柿蔕:してい)として咳止め、止血にも利用してきました。
栄養価値の高い食材でもあるのですが、不消化物の粗繊維、粗たんぱく質が多く主体としており消化が悪く、身体を冷やすといわれ多食を避けたほうがよいともいわれています。過食は慎(つつし)みましょう。
特徴は、 果実の皮をむき、干しガキにしたものを柿餅(しべい)、根を柿根(しこん)といい、止血の目的で吐血、下血に用います。
干し柿(柿餅)の表面に出てくる、白い粉末は甘く、これを集めたものを柿霜(しそう)といい、これを加熱して、あめのようにしたものを柿霜餅(しそうべい)といい、のどの痛み、咳止めに用いられます。干柿にみられる表面の白い粉マンニット(ブドウ糖、果糖)が、粘膜を潤し、咳止め、気管支炎の予防によく利用しているのです。
柿の色を出しているのはフラボノイド、アントシアン、カロテノイド(リコピン、ルチン、クリプトキサンチン500μg%、βーカロテン420μg%)により、リコピンが多いとあざやかにみえます。
渋みの主体シブオール(フェノールカルボン酸、タンニン)は、渋柿で1~2%、甘柿のゴマは、タンニン細胞の変化したもので0.01~0.08%含みます。柿の渋みタンニンは、水溶性で甘柿は成熟するに従い不溶性に変化して甘くなるのですが渋柿は成熟してもそのまま残っているのでお湯(40~45℃で一昼夜)、アルコールに漬け、エチレンガス(樽さわし法)を利用、干し柿にして渋みを抜いています。
褐変の原因になるポリフェノールオキシダーゼをあまり含んでいないので皮をむいて多少の保存が可能です。
柿渋を日本酒の清澄剤(せいちょうざい)、渋紙に使用しています。
100g当たりで甘がき生エネルギー60kcal、水分83.1g、タンパク質0.4g、脂質0.2g、炭水化物15.9g、灰分0.4g、ナトリウム1mg、カリウム170mg、カルシュウム9mg、マグネシュウム6mg、リン14mg、鉄0.2mg、亜鉛0.1mg、銅0.03mg、マンガン0.50mg、ビタミンA:70μg(カロテン420μg)、ビタミンD:(0)、ビタミンE:0.1mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.03mg、ビタミンB2:0.02mg、ナイアシン0.3mg、ビタミンB6:0.06mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸18μg、パントテン酸0.28mg、ビタミンC70mg、食物繊維1.6gを含みます。
渋抜き柿100g当たりでエネルギー63kcal、水分82.2g、タンパク質0.5g、脂質0.1g、炭水化物16.9g、灰分0.3g、ナトリウム1mg、カリウム200mg、カルシュウム7mg、マグネシュウム6mg、リン16mg、鉄0.1mg、亜鉛Trmg、銅0.02mg、マンガン0.60mg、ビタミンA:50μg(カロテン300μg)、ビタミンD:(0)、ビタミンE:0.2mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.02mg、ビタミンB2:0.02mg、ナイアシン0.3mg、ビタミンB6:0.05mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸20μg、パントテン酸0.27mg、ビタミンCビ55mg、食物繊維2.3gを含含みます。
干し柿100g当たりでエネルギー276kcal、水分24.0g、タンパク質1.5g、脂質1.7g、炭水化物71.3g、灰分1.5g、ナトリウム4mg、カリウム670mg、カルシュウム27mg、マグネシュウム26mg、リン62mg、鉄0.6mg、亜鉛0.2mg、銅0.08mg、マンガン1.48mg、ビタミンA:240μg(カロテン1400μg)、ビタミンD:(0)、ビタミンE:0.4mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.02mg、ビタミンB2:0mg、ナイアシン0.6mg、ビタミンB6:0.13mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸35μg、パントテン酸0.85mg、ビタミンCC2mg、食物繊維14.0gを含みます。
甘柿でビタミンCは、70mg/100g中と多く含みます。カテキンやプロアントシアニジンProanthocyanidinなどの抗酸化成分も豊富に含まれています。ヘタを柿蔕(してい)といい、古くからしゃっくり止、鎮咳に利用してきました。
以前には農家の庭先に柿の木は飢饉の備えとして多く植えられていたようです。中国、韓国では、干し柿か、過熟の甘くなった汁気の多い柿をストローで吸うとか、柿酢、干柿のシロップ漬けなどとして利用しているようです。ビタミン、ミネラルの給源として好ましいのですが、不消化物を主体としているので食べ過ぎには注意しましょう。栄養バランスの取れた食生活が望ましいのです。
ご愛読戴きましてありがとうございます。よりよい情報をお届けしてまいります。
[初版2019,11,16]