・分類法Taxonomy ぶんるいほう
動物や植物の科学的分類の仕方がここ20年ほどで大きく変わっているようです。20世紀末には遺伝子そのものを参照する分子遺伝学の手法が取り入れられ、多くの分類群において大きく見直しが迫られていました。特に被子植物においてAPGIV(2015年)を奨励しています。
したがって、このような体系は今後も変更を余儀なくされることが予測できます。
生物の進化系統に基づいた分類法が台頭し、遺伝子解析技術の発展も加わって教科書などで、なじんできた分類法は大きく変革を迫られているようです。
20世紀後半からのタンパク質のアミノ酸配列、核酸の塩基配列決定法の技術、そしてそのデータを用いて系統の類縁関係を推定する解析手法の進展があります。
特に、これまで他のグループに所属させることができないために一括りに分類されていた、原生生物や藻類、一部の菌類につき系統が大幅に見直ししています。
学問上は二界説(動物界・植物界)ないし原生生物界を加え三界説、五界説(菌・原生生物・モネラ[原核生物を含む]・植物、動物)は既に誤解したと言っても過言ではないとさえいわれています。
従来の界、門、綱との整合性は今後の課題であり、この分野は現在さらに進展しつつあるため、今後も大小の変更があり得えます。
1860年にヘッケルが原生生物界を見出し、さらに五界説(1977年)、八界説では生物を古細菌界、真正細菌界、アーケゾア界、原生 動物界、クロミスタ界、植物界、菌界、動物界と分類しています。
一方、原核生物の研究が進み細胞核の有無、細胞の基本構造の違いに比べ、従来の界の違いは表層的として、1990年にウーズは、原核生物を真正細菌と古細菌に分割し、また階級名をドメイン(2005年)としました。
そして生物全体は、真核生物、真正細菌、古細菌に分かれ、界より上の分類ドメイン(界よりも上の最も高い階級)が現れるに至っています。
それぞれの時点において、記述が他の書籍等と異なる場合があり、どちらが正しいのかとの思いがありますが、結論付けるには困難な場合があり、混在してあることをご了承ください。
知られていない生物を含めた種は、世界で500万~3,000万種、知られる種で200万種で、その内訳は哺乳類で約6,000種、鳥類は約9,000種、昆虫は約95万種、維管束植物は約27万種とさえいわれます。日本の既知の生物種数は固有種の比率が多く9万種ほど、陸棲(りくせい)哺乳類、維管束(いかんそく)植物の約4割、爬虫類の約6割、両生類の約8割が固有種といわれます。分類していないものも含めると30万種を超えると推定しています。しかしながら人間行動・活動によって更に自然淘汰により絶滅の危機に瀕(ひん)しているものがあり、既知の哺乳類、鳥類、両生類の10~30%に絶滅のおそれがあるといわれます。
それぞれの知られる種にはリンネCarolus Linnaeus/Carl von Linneによって体系化した学名Scientific Name(属名Ggeneric name+種小名Specific epithet+時には命名者または属名+種形容語[細菌])がつけられています。学名の前半は属名で、類縁関係が近い種をまとめています。
さらにこの分類を階層的に小分類>中分類>大分類、その他と体系付けすることで、多くの生物グループ同士の類縁関係、さらに進化の過程を明らかにしようとするものです。
古くは、アリストテレスの分類、リンネ(1735年)の分類はリンネは種の学名に二名法(属名と種小名の2語で表す)を採用し、分類を体系づけました。
また、属・種の上位分類として、綱・目を設けて、階層的な分類体系としています。しかし、リンネはクジラを魚類に分類、また植物をおしべの本数を元に分類し現在の分類ではこの分類手法は使われていません。
近年ではドメインDomain、界Kingdom、門Phylum、網Class、目Order、科Family、属Genus、種Speciesと分類しさらに必要に応じて亜門Subdivision/Subphylum、亜綱Subclass、亜目Suborder、上科Superfamily、亜科Subfamily、族(連)Tribe、亜族(亜連)Subtribeなどを例外的に用いていることもあります。
ドメインは、真核生物[動物界・植物界・菌界]、細菌(真正細菌)、古細菌の分類となります。
門は、動物学と細菌学ではphylum、植物学、菌類学ではdivision/divisioと使い分けられています。
中間的分類が必要な場合には上位の分類には、大(magn-)・上(super-)を、下位では亜(sub-)・下(infra-)・小(Parv-)などの接頭語を各階級の頭につけています。
subfamily(亜科)とgenus(属)の間をさらに細分する必要があればtribe(動物では族、植物では連)を使われています。
subgenus(亜属)とspecies(種)の間をさらに細分する必要があるときは、section(節)を使います。
20世紀後半からのアミノ酸配列、核酸の塩基配列決定法の技術、系統の類縁関係を推定する解析手法の進展に伴い、従来の生物系統分類法は大きな変革を迫られています。
特に、原生生物、藻類、一部の菌類につき系統が大幅に見直されつつあるようです。従来の界、門、綱との整合性は今後の課題として残されています。
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