遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

湊寛監督『新根室プロレス物語』

2024-01-09 00:44:51 | 映画を見てきた

2024/1/7

・プロレスのインディー団体、新根室プロレスの休止と再開を追ったドキュメンタリー。

・他に見なきゃいけない映画は結構あるような気もするけど、SNSの告知を見てすぐチケットを購入。

・最初に創始者であるサムソン宮本選手と所属選手の紹介。

・リングネームのほとんどが何かのパロディ。不穏さと語感の良さで「MCマーシー」と「ロス三浦」が好き。

・所属選手のほとんどがプロレスとは無関係の仕事をしている。

・「メガネのプリンス」というキャッチフレーズのTOMOYA選手は建築業。メガネ屋ですらないのか。

・団体のモットーは「無理しない、ケガしない、明日も仕事だ」。興行も必ずこの言葉で締めくくられる。

・作中、何度も何度も同じフレーズが出てくる。

・憧れではなく共感。華やかなメジャー団体とは異なる、インディーらしい地に足の着いた掛け声。

・新根室プロレスを全国区にした、アンドレザジャイアントパンダ選手も、こういう雰囲気の団体だからこそ起用できたんだと思う。

・序盤はサムソン宮本選手が中心。玩具店経営。別に顔真似しているわけじゃないだろうけど口元が猪木っぽい。

・入場でロープに引っかかってしまうコミカルな動きが面白いけど、お約束にしては難易度が高そう。膝とか首とかやらかしそうでハラハラする。

・味のプロレスさんの四コマ漫画がスクリーンいっぱいに出てくる斬新な映画表現は初めて見たかも。

・団体において、いかに彼の存在が大きいかが語られた後で、新根室プロレスに試練が訪れる展開。

・大砂厚選手の家。見てはいけないものを見てしまったような気持ちになる。仲間たちは動じるでもなく、食事を置いて少し世間話するだけ。不思議な関係性。

・所属選手は若いころにイケてなかった人ばかりらしい。

・鴻上尚史さんの本で、役者の存在感は「その人の耐えてきた量」だと書いていた。正直、言葉の意味は消化できていないけど、もしかしたら関係あるのかも。

・終わってしまったかに見えた人たちが再び立ち上がる、ドキュメンタリーらしからぬ泣ける構成だった。

・特にサムソン宮本の最期の仕掛けが見事としか言いようがない。死せる孔明だった。

・ナレーションにプロレス好きのヤスケンが入っていたのも、ちょっとしたボーナスポイントだった。

※パンフがとても充実している。おすすめ。

(シアターキノ)

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ポール・キング監督『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

2024-01-06 23:01:48 | 映画を見てきた

2024/1/3

・チョコレート職人で魔法使いのウォンカが、街の実力者であるチョコレート業者からの妨害を乗り越えて、自身のチョコレート工場を建てる話。吹き替え。

・同原作の別の映画作品は未見。先に見てからの方がいいタイプの作品だとは思うけど、そんなこと言ってたらどんどん先延ばしになってしまう。

・しっかりティモシー・シャラメの演技を見るのは初めて。非現実感を違和感なく体現している。

・リアリティラインが低く、話の自由度が高すぎて、作り手のセンスに身を任せるしかない。

・ウォンカとヌードルがたくさんの風船を持って屋根で踊っているシーンが白眉。

・一芸のある弱者が力を合わせて苦境を乗り切ろうとする話は好きだけど、自然にやるのは難しい。

・芸人がまるで役に立っていないのも、バランス取りの一つなのかも。そりゃそういう人だっている。

・文字を学ぶことが複数の役割を持っているのがうまい。

・チョコレートが、甘味であり、魔法を媒介するものであり、資産でもあるというところまではわかるけど、人を殺すための手段にしているところはよくわからない。他にいくらでも方法があるだろうに。異物混入。

・独特すぎる世界観でも話の筋はとても分かりやすい。誰が見てもそうそう展開迷子になることはないはず。

・船のウォンカ席と北極行き、ダイナマイトという徹底ぶり。悪党が心底悪党で、すがすがしい。

・動物園と金庫の門番ふたりの間で、心底どうでもいい奇跡が起こっていて笑った。

・ウンパルンパが電動ベッドみたいで寝起きしている間も笑った。緩急って大事。

・音楽パートになると吹き替えの違和感が強くなってしまうものの、一定の水準で最後まで見せ切っていた。字幕版も見てみたい。

・悪党が「いつかは捕まるが、今はそのときではない」と、ダメなトップガンみたいなことを言っていた。

・キリンを運ぶシーンで「ハングオーバー」の完結編を思い出したのは自分だけではないはず。 

・クリーニング屋の悪党二人。見た目が変わり果てても気にせず抱き合っていた。クソみたいな二人だったけど、お互いへの愛だけは本物なのかも。

(TOHOシネマズ)

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八鍬新之介監督『窓ぎわのトットちゃん』

2024-01-04 00:01:57 | 映画を見てきた

2024/1/2

・徐々に戦争一色に染まっていく世の中を背景に、後の黒柳徹子である少女トットちゃんがトモエ学園に転入し疎開先に向かうまでの話。

・見ている人の評判が軒並み良い。特に『この世界の片隅で』と比較している人が多いらしい。

・原作の『窓ぎわのトットちゃん』はたぶん読んだことがない。読んだとしても内容は忘れている。

・体調の問題なのかもしれないけど、序盤は話に入っていけず。

・つやつやした顔つきと、子供らしさを強調したような喋り方が、自分には苦手だった。

・ただ、黒柳徹子なら実際に小さいころからあんな話し方だったような気がしないでもない。

・トモエ学園の学校としての位置づけはよくわからないけど、少人数で通常の学校にはうまくなじめない生徒が集まっている感じ。

・wikiによると、日本で初めてリトミック教育を実践的に取り入れたことで有名な学校らしい。

・おそらく小さな子供のいる大人だったら、ほんとにハラハラするようなことばっかりやっている。

・基本的に自伝なので唐突に人が死ぬ。作中の匂わせはあるんだけど、人が死ぬのに理由はない(というか、見えない)という現実。

・戦時中の様子で勘違いしがちなのは、昔だからあんな貧相な恰好をしているわけではないこと。

・下手したら今よりも華やかな恰好してたような人たちが、わけのわからない国家の倫理観を押し付けられてああいう風になったということ。

・お父さんは音楽家としての魂を売らなかったけど、裏返せば、おかしいと思いながら魂を売ってしまった人も多くいたはず。

・なので、あの風景は未来の自分たちかもしれない。

・そんな中でもトットちゃんは彼女らしく明るく元気で、はっきり言って浮世離れしている。

・彼女が変わらなくても、時間がたつにつれ、どんどん戦時色の強い背景になっていく。

・遺骨を抱えた女の人とか、ホラー系のゲームみたいな差し込まれ方だった。

・変わらぬ彼女と日本の社会がどんどん人間らしさを失っていく様子を対照的に見せるような作品だった。

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クリス・バック、ファウン・ヴィーラスンソーン監督『ウィッシュ』

2023-12-23 20:33:26 | 映画を見てきた

2023/12/22

・魔法使いの治める国に住む少女アーシャが、王に捕らえられた「人々の願いの力」を解放する話。

・国民は成人すると国王に自らの願いを差し出す。国王は毎月一人の願いを選んで大衆の前で叶える。

・この魔法使いの国王が、欧米のリアリティーショーでよく見かける圧の強いタイプの審査員みたい。

・一見、いいことをしているようにも見えるけど、願いを差し出した国民は、その願いを忘れてしまうから、国を支配するための仕組みでもある。

・外から見ているとこんな危なっかしい仕組みもないんだけど、内側から見るとわかりにくい。

・観たのは字幕版。小さな島国の一少女の歌がとにかく上手い。声質から違う。

・ただの状況紹介なのに、最初のロサス王国を紹介する歌からすごい物語が始まった感じがする。

・国王の正体を知って、追い込まれたアーシャが星に願いをかけると、星の化身みたいな何かが現れる。

・この星の化身、見た目が他となじんでない感じがするのと、ヒロインにとって都合が良すぎるので、あまり好きになれない。

・ヒロインを取り巻く若者たちがほどほどの存在感でよいバランス。口が悪いだけで結局いいやつだった彼と、ステルス性能を持つ彼女が好き。

・ニワトリのシーンは笑った。

・どんなに窮地に陥っても、スターが超自然的なパワーを発揮するか、ヒロインが歌えば何とかなる。

・特に歌が強い。悪役の国王がどんなに強い魔法を使っても、歌の前では力負けしている。

・脚本家がちまちま知恵を絞って強力な魔法を考えても無意味。かなしい。

・普通なら通らないけど、実際に音楽がすごいので通ってしまう。これで通るから話のスピード感もすごい。

・歌こそ真の魔法である(しかもそれは実在する)という作り手側の確固たる信念を感じる。

・ただ、本質的に音楽と悪は対立しないので、音楽が戦意高揚のプロパガンダに使われることだってあるし、結構あぶなっかしいテーマ性をはらんでいる。

・国王がヴィラン化する過程に説得力がある。守る意識が強すぎて、少しでもそれを脅かす存在があると、極端に攻撃的になる。

・完全に悪党扱いされていたものの、出発点は使命感や臆病さだったと思う。なので、何かしらの救済がほしかったけど、甘いんだろうか。

(TOHOシネマズすすきの)

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金子修介監督『ガメラ2 レギオン襲来』(轟音上映)

2023-12-01 13:52:11 | 映画を見てきた

2023/12/1

・巨大怪獣ガメラと人間たちが宇宙から飛来してきた怪獣レギオンを撃退しようとする話。

・TOHOシネマ、轟音上映初体験。せっかくなのでワイドコンフォートシートを選択。轟音効果は結構感じた。

・最初の舞台は札幌市。すすきの。まさに今見ている映画館の建物(当時はロビンソン。懐かしい)が粉々にされていて楽しかった。

・ここまで一地方都市にスポットを当ててじっくり描いている映画は多くないと思う。

・たしかに「TOHOシネマズすすきの」でのこけら落とし的な上映にはふさわしい(ただ仙台の人は複雑かも)。

・レギオンは札幌→仙台→東京と移動していく。だんだんスケールが大きくなっていように舞台を整えられていく。

・前作では若干のチープさが客側の安心感につながると思ったけど、今回は身近な場所が舞台になって、臨場感強め。

・いつもお世話になっている地下鉄で、運転手さんが襲われているのを見ると必要以上に悲しくなる。

・地下鉄が一世代前の型で懐かしい。

・すすきのと、青少年科学館や支笏湖との距離感おかしい感じもするけど、あまり気にならない。

・よく怪獣映画は人間ドラマとの相性が悪いという話を聞くけど、人間側のドラマは必要なくて、ありえない事態に遭遇した責任ある人々の関係性をきっちり描いていれば、十分なんだと思う。

・前回は人間たちが完全に足を引っ張っていたけど、今回はかなり人間側も貢献していた。

・行動している人たちに頭の悪い人がいない。意見が対立することはあっても、それぞれ理解できる範囲。

・ありえない事態に対して、必死で頭を使ったり、時には体を張って、しっかり事態終息に貢献している。

・「終わったらおごらせてください」という、ちょっとした掛け合いも好き。

・それはそれで大事ではあるものの、何事にも時間と手間のかかる人間の社会的な生き物らしさとは一線を画す、ガメラの存在が気持ちいい。

・有事のとき、大通公園はああいう風に使われるんだということを視覚的に見ることができた。

・なぜ生体兵器なのに亀をモデルにしてしまったのか。

・どうしてガメラは人類の味方をするのかという、見る側も気になる疑問に対して、学者が解釈を提示して終わるところ、無駄なエピローグもなく切れ味がよかった。

(TOHOシネマズすすきの)

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宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』

2023-08-25 00:17:47 | 映画を見てきた

※これから見る予定のある人は先に読まないのがおすすめ。

 

2023/8/24

・公開から時間がたって徐々に内容が耳に入ってくるようになってきたので、追い立てられるように見に行く。

・火事で母親を失った少年眞人が、不思議なアオサギに誘われて、神隠しにあった義理の母親を探す話。

・タイトルが今まで見てきた映画作品の中で一番面白くなさそう。ジブリじゃなきゃ見なかった。

・戦時中、本土決戦前の日本から始まるので、『風立ちぬ』のような淡々とした話なのかなと見ていたけど、おばあちゃんたちが出てくるあたりから楽しくなってくる。

・遠くにモゾモゾした何かが見えてくる初登場シーンからすでにおもしろい。

・おばあちゃんが多すぎる。7人の小人みたい。

・せっかく豪華な声優たちなので、全員の若いころの姿を期待したのは自分だけではないはず。

・で、アオサギが喋り出すあたりから加速がついてくる。

・眞人の表面上の凛々しさと愛嬌がないところ、好奇心と冒険心、その時代の少年らしさがあって好き。

・アオサギがハチドリみたいに羽ばたいていた。ブーン。

・子供を運んでくるというペリカンが実は子供になる前の何かを食べていたこと、オウムが賢くて社会性が高いところ、空気読まずフンをするところ、何気に鳥描写の気が利いている。

・大叔父の価値観はいろいろ考えがいのあるところだと思うけど、とりあえず生態系の問題的にはアウト。

・ヒミ様。出てくる作品を間違えたのかと思うくらい、かわいいしかっこいい。

・とは言え、実際母親は非業の死だったので、眞人にとって都合の良すぎる存在になっているのは気になる。

・彼の夢だったとも言えそうだけど、同行者がいるのでちょっと苦しい。

・義理の母親の葛藤を描いているのはよかったけど、やっぱり女性を聖なる存在として描きがちなのは仕方ないところなのか。

・よく老年の映画監督が攻めた表現を好むのはガマンができなくなったからだと思っているけど、本作は作家性も残しつつ、エンタメとしての気配りと抑制が利いている。

・ここまでちゃんとエンタメとして作るなら、もう少しタイトルを練ってもよかったんじゃないかとは思う。


※おばあちゃんの人数が記憶違いだったので直しました。すみません。

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ジェームズ・ガン監督『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』

2023-05-26 12:21:39 | 映画を見てきた

2023/5/26

何かと訳アリな寄せ集め集団「ガーディアンズ」が、瀕死の仲間を救うため、銀河を完璧な世界に作り直そうとする敵と戦う話。

完全を目指す敵と、欠点の多いガーディアンズとの対立が象徴的。

内臓っぽい星。機能性と悪ふざけが絶妙なバランスの肉襦袢。

重要な情報がガチャポンみたいな仕掛けで出てくる。

主人公チームはかなり人数多いのに、それぞれの見せ場がきっちりある。

チームが横一列で並んで歩くシーンも、音楽との組み合わせも相まって、何度見ても楽しい。

最後の人選も絶妙で、一区切りがついたうえで、次作への期待も高まる。

楽しい楽しいとつぶやきながら帰宅した。

前作、前々作は見ているものの、だいぶん忘れているし、アベンジャーズ関係は見ていないので、ところどころわからないところもあった。

字幕の影響もありそうなので、吹替えも含めてあと3回くらい見たい。

(ユナイテッドシネマ)

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阪元裕吾監督『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』

2023-03-27 23:28:50 | 映画を見てきた

2023/3/27

・殺し屋協会に所属する若手の女子殺し屋コンビ、ちさととまひろが、その立場を狙う殺し屋兄弟に襲われる話。

・前作ですっかりキャラ立ちしている女子二人に対して、新顔のむさくるしい殺し屋兄弟。

・話はこの殺し屋底辺兄弟にずいぶん寄り添って作られている。

・のちのち殺される敵役だろうに、こんなにひたむきな連中でいいんだろうかと心配になってくる。

・オープニングの乱闘。アパート内の狭すぎる空間で殺陣とも言えないような泥臭い乱闘が展開する。

・そのあと、銀行強盗と戦う、ちさととまひろも楽しい。

・今どき銀行強盗もないだろうとも思うけど、殺し屋にボッコボコにされる役割としてはちょうどいい。

・変に人間性を出されると生々しくて見てられない。

・なぜか「花束みたいな恋をした」の話題が出てくる。

・実在作品を作中に出すのは、実在感というか、それこそ生々しさが増すから、意図がよくわからない。

・普通の人たちとの対比…というには微妙だし。

・着ぐるみ同士の小競り合いが地味に楽しい。一応、頭が取れないように気にしているし、二人の関係性の範囲で戦っているのがおもしろい。

・ちさととまひろのもちょもちょした会話がかわいい。中身があんまりないのに間が持つ。

・自分の感覚だと、ちさとの演技は感情過多に思えるけど、殺し屋が感情を制御できているほうがおかしいとも言えるし、多少いびつな方がいいのかもしれない。

・将棋のルールを知っていたのが意外。

・お金よりも約束をやぶったことに怒る。

・死体の処理、あんなに雑でいいものなのか。

・処理班まわりのサブストーリー楽しい。ポイントごとの出番できっちり話ができている。

・サブマシンガンっぽいもの乱射しているのが唐突すぎて笑った。どういう精神構造しているんだ。

・ついに二組が戦うシーン。もうとにかく爽やかなんだけど、殺し屋特有の感覚のズレみたいなものも残す。すごいバランス感覚。

・まひろの動きのキレが完全にアスリートのそれ。アクション俳優として安心して見ることができる。

・最後のシーン、まひろが持っている本が気になってしまい、せっかく会話が頭に入ってこなかった。

(札幌シネマフロンティア)

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立川譲監督『BLUE GIANT』

2023-03-06 15:44:31 | 映画を見てきた

2023/3/6

・世界一のジャズプレイヤーになるために上京してきた青年が、凄腕ピアニストと即席ドラマーと組んで、日本最高のクラブ「SO BLUE」でのライブを目指す話。

・原作は未読だけど、前評判がとてもよかった。音楽、上原ひとみも後押し。

・最初のうちは何の話をしてても語尾にだべだべ付いてて、ここまで露骨な話し方するもんかと心配になる。

・仲間集めから始まって、トラブルとステップアップ、最後に感動的なライブと、エンタメとして強い構成。

・原作マンガの再現ではなく、原作マンガが表現しようとしていたジャズなるものを、アニメ表現で目指す感じ。

・このへんは『THE FIRST SLAMDUNK』のアプローチと似ている。

・「抜群にうまいわけではないが、大きな可能性を感じさせる演奏」を再現するのは大変そう。

・実際できているのかどうかを判別するのは大変だけど、映像効果が補助してくれる。正攻法ではないかもしれないけど、せっかくのアニメなのでアリだと思う。

・CGとCG以外のところがきっぱり分かれていて、ちょっと落ち着かない。

・ステージ上の人が特別に見えるというのは舞台表現ではよくあることなので、そういうもんだと自分の頭の中で調整しながら見る。

・実際、主人公がステージで演奏を始めると、別人になる。明らかに「特別な人間である」という説得力がある。映像効果もあるけど、姿勢や動きもあるのかな。

・たぶん原作ではもっと丁寧に書かれているんだろうなと思われる人がちょこちょこ出てくる。

・長期連載のマンガを2時間におさめるのは大変。原作ファンは嬉しいだろうし、本作に関しては未読の自分も原作を追いかけたくなった。

・素人を加えることで、かえって調和が生まれるという表現は見事。どのジャンルにも通じる話。

・中盤から後半にかけてのライブの畳みかけ。音楽も映像も熱量がものすごい。

・ピアニスト雪祈の話し方。何を話しかけられても真っすぐ返してこない言葉の選択が面白い。

・エンタメ作品として最も効果的な範囲におさまる大怪我に、観客として少し後ろめたい気持ちになる。

・この音量とこの大きさで見てこそという感じ。これこそ映画館で見なきゃダメなタイプの作品だった。

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S.S.ラージャマウリ監督『RRR』(無発声応援上映)

2023-01-28 22:19:11 | 映画を見てきた

2023/1/28

衝動的にチケットを購入して上演直前に到着。

本編には間に合ったものの、とても凝っていたらしい会場ディスプレイを見ることができず。

あとでSNSを見ると、うちわを作ったり、ナートゥのあのポーズ決めたり、みんな楽しそうだった。うらやましい。

応援上映は、いい掛け声が入ると盛り上がるものなんだけど、今回は無発声応援上映。

熱いシーンで思い思いに、ペンライトを点灯させたり、タンバリンや鈴を鳴らす。

鳴り物もいいけど、釘をばらまくシーンで、鈴を持っている人が「しゃらららーん」と優しい音を出していた。

自転車に乗る人間としては、あのシーンがRRRのなかで一番嫌いだけど、この応援の寄り添い方は見事だった。

ナートゥは一緒に踊りたくなるし、実際に踊ってる人を見たくもなる。

発声はダメでも、踊るのはアリなのではないかと客の気楽さで妄想する。

あと、いいシーンは普通に見ちゃう。

大体全部おもしろいけど、二回見ても、やっぱりジェニーの扱いはもうちょっと何とかならないのかなと思ってしまった。

(サツゲキ 1/27)

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