2025/2/5
・ある初音ミクが自らの表現に限界を感じて若い人間の歌い手たちに教えを乞う話。
・初音ミクのことはほとんど知らない。どちらかと言うとゆっくりボイス派(たぶんそんな派閥対立はない)。
・SNSで結婚したと言い張る人を見て、みんなの共有財産に対してひどいことをするなあと思ったくらい。
・本作では、さまざまな初音ミクとボーカロイドたちが人間たちと交流しながら、人に届く音楽を模索する。
・初音ミクの協力者たちが各所で活動する群像劇のような見せ方。
・人数が多いわりにアニメにしか登場しないようなステレオタイプが多く、発声や会話のテンポがなかなか肌に合わない。
・ただ、そこに初音ミクの更に人工的な会話が加わることでかなり緩和される。むしろ、聞こえ感がおもしろくなる。
・ただ、初音ミク以外のボーカロイドは聞いてられないくらい人工的で、歌のための人工音声だから仕方ないんだけど、もうちょっと見せ方がありそうな気はする。
・特に説明もなく、生身の人間が架空空間を行き来してボーカロイドのキャラクターたちと交流する見せ方はおもしろかった。
・象徴的にそういう見せ方にしているだけで、同じようにボーカロイドに影響を受けて音楽活動を始めたり、楽曲を作ったりしている人は現実にもたくさんいると思う。
・夢やぶれて絶望している人間に歌声が届かず、初音ミクが落ち込んでしまうという理屈。
・ただ、大体の夢は破れるものだし、次のステップに進むための絶望という面もあるんだから、無理に元気づけようとしなくていいのではないかと思う場面が多かった。
・受験でイライラしている女の子も無理に関わろうとしなくていいと思う。
・自分の声が届かないというなら、本当にどうしようもない絶望は他にある。
・たぶんミュージカル系のアニメでよくあることなんだろうけど、終盤のライブシーンでアニメとしての動きが急によくなる。
・初音ミクの気持ちを汲んだ生身の人間たちがすばらしいパフォーマンスをする。
・結局、人間素晴らしい(=人工音声の限界)でまとめられたように見えるけど良いんだろう。詳しい人には何か別の見方があるんだろうか。
(札幌シネマフロンティア)