遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

神戸常盤女子高校『653-0824』(春フェス2023年度)

2024-07-29 13:36:47 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2024年上演5神戸常盤女子『653-0824』

2024/7/26

放課後の教室、校内ファッションショーに向け、生徒たちがウォーキングの居残り特訓しているうちに、一人が外国人技能実習生と付き合っていることがわかって言い争いになる話。

服飾系の話が昨年の春フェスから三作品目。

流行っているのか、前年の鶴岡中央『明日は救世主』の影響があるのかないのか。

ちゃんと演劇的に演出されたランウェイを見たいと思っていたのでよかった。

最後のほうに出てくる先生もかっこよかった。

高校生がああいう現場たたき上げ感のある先生を演じるのは大変だと思う。

異性装やトランスジェンダーの話にはならず、本作ではストレートな民族差別が題材。

差別意識と嫉妬がミックスしている友達。

迷惑な友達には違いないが、100%悪意とも言えず、単なる悪役を作らないようにする工夫を感じる。

観てるだけでイライラしてくる生徒たちから、だんだん愛嬌を感じるようになっていく話運びはうまくいっていたと思う。

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茨城県立下妻第一高等学校『TABOO』(春フェス2023年度)

2024-07-28 00:59:00 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2024年上演3茨城県立下妻第一

2024/7/25

高校の演劇部が、過労起因で療養している顧問の先生を題材にした作品を作って、葛藤しながら稽古を進めていく話。

あえて前説から始めるドキュメンタリー調の語り口が新鮮。

現実にもそれなりに似たような状況がありそうで、ちゃんと「どこまで本当なんだろう」と思える程度に臨場感がある。

忌憚のない言葉選びも強く印象に残る。

高校生に「教師は忙しすぎる」という内容の作品をやらせる構図はスリリングではある。

ただ、作中では学校という業界全体がダメなのか、この職場限定でダメなのかがよくわからない。

極端と思われるやりとりもあるので、たぶん後者だ思う。そうであってほしい。

真に受けるのもそれはそれで教師に対して失礼な感じもするので、そこまで普遍的な話として捉えるべきではないのかもしれない。

当然、高校生である彼ら彼女らに、慢性的な人手不足を解決する策はない。

それでも、第一歩として現状に「NO」を示すのは大事なことだと思う。

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北海道余市紅志高校『被服室の変』(春フェス2023年度)

2024-07-26 17:22:00 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

 

北海道余市紅志高校『被服室の変』

2024/7/25

学校祭準備中、課題作成に取り組む男子生徒と、脚本を書きたい演劇部の女子生徒が、たまたま同じ部屋を割り当てられて、世間話を始める話。

知り合いの男女ではあるが、恋人ではないし、恋人になりそうもない、友達ですらない、お互いに対してそこまで関心の無い者同士の気の抜けた世間話が楽しい。

女子のほうの、プロの俳優だったら逆にできないような、独特のイントネーションもだんだんクセになってくる。

舞台上で実際にカタカタとミシンを操作している様子が斬新。

男子が延々と服飾の課題をやっていることで、どういう方向の話かはわかる。

無意識の差別表現や、おそろしくへたくそな寸劇(でもシュールでちょっと笑った)で不和がウヤムヤになっていく様子に不快感がなく、シンプルでスマートにまとめられていた。

実際、彼が演劇部に入ったら、今の悩みについては結構克服できそうな感じはするけど、別のストレスは増えるんだろうなと思う。

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埼玉県立芸術総合高等学校『Midnight Girlfriend』(春フェス2022年度)

2024-07-25 11:41:29 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2023上演④ 埼玉県立芸術総合高等学校「Midnight Girlfriend」

2024/7/24

中世の貴族風の男女が、幾多のすれ違い、障害を乗り越え、恋を成就させる話。

例によって録音環境の影響か聞き取れないセリフ多く、細かいことはわからない。

いきなりロミジュリ風のバルコニーが出てきてびっくりする。

象徴的な場所、ドア、廊下、高級そうに見えるソファと椅子。

デザインだけではなく、演劇としての機能性も高い舞台美術。

加えて他校と一線を画する衣装の作りこみ。

だてに校名に「芸術総合」をうたっていない。

演技はだいぶん様式的で、型にはまった演技は好き嫌いのわかれるところだけど、演技の質だけでもしっかり作品の世界観が構築できているのは大きい。

演者からも様式をつかいこなしてやろうという意思を感じるし、良い意味で個性の範囲だと思う。

今時その最後はどうなのと思わなくもないけど、話の組み立て方は良さそうだし、良い環境で観たかった。

カーテンコールをしっかりやるのも、作品の味になっていた。

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石川県立金沢商業高校『子どものままでいて』(春フェス2023年度)

2024-07-23 00:27:32 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2024年上演1石川県立金沢商業

2024/7/24

演劇部の照明担当と脚本担当が、父親の介護で部活に来なくなった佐藤さんと語らい、そのエピソードを作品に反映させようとする話。

最初の場面は、(たぶん)テクリハの作業中、調光卓の前。

照明担当が、様子を見に来た佐藤さんと話をしている。

演劇部が出てくる作品はたくさんあるが、照明担当を中心に据えるのは渋い。

演者とは違うスタッフ目線での会話が生々しい。こういう会話、たしかに様々な調整室的な現場で行われている。

会話のテンポも配慮されていて聞き取りやすい。

中・後半は父親の介護とヤングケアラーの話。

アスベスト被害という言葉は久しぶりに聞いたような気がする。

石綿健康被害救済法の成立が2006年。思ったより最近だった。

法律ができたから話題にのぼらなくなったとも言えるけど、恥ずかしながら、もう過去のものだと思っていた。こういうことは他の分野でたくさんありそう。

そういう気づきを与えてくれる作品だった。

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山形県立鶴岡中央高等学校『明日は救世主』(春フェス2022年度)

2024-07-22 23:24:33 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2023上演③ 山形県立鶴岡中央高等学校「明日は救世主」

2024/7/23

ヒーロー的なものにあこがれる男子高校生が、文化祭発表用に男子用ドレスを着せられてランウェイに臨むまでの話。だと思う。

ジェンダー観、いじめ、ウクライナ情勢、ちょっと節操無い感じもするけど、色んな問題に目を向けている。

ウクライナ情勢で声を上げるのはアリだと思うけど、本作では、自分の足元の見えていない理想主義者として描かれている。

個人のリソースには限りがあるので、個々で興味のあることに声をあげるのは別にいいと思う。共感が得られるかは次の話。

いじめられていた子は、あそこまで言えたならホントにあと一歩だったのに勿体ない。

衣裳をすごく頑張っている。見せ場なので、もうちょっとしっかりランウェイ見たかった。現場だと見え方違うのかな。

演技の思い切りの良さはわかるし、テンション芸として笑えるところもあるけど、この年の作品は一律、結構な割合でセリフが聞き取れない。

録音環境が残念。

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香川県立高松桜井高等学校『Gifted』(春フェス2022年度)

2024-07-19 22:18:39 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2023上演① 香川県立高松桜井高等学校「Gifted」

2024/7/19

先天的に優秀な生徒が、安易なネット利用で大失敗している同級生たちを見て、友だちについて考えてしまう話。だと思う。

滑舌なのか会場なのか録音環境なのか、だいぶん会話が聞き取りにくい。

加えて専門用語が多く、動きが少ないため、あまり話についていけなかった。

とりあえず、登場人物が全員ケンカごしで会話している。

むかしむかし、寝室で毎晩両親が延々喧嘩していて眠れなかった幼児期の気持ちを思い出した。

彼女を引き立たせるためなのか、彼女以外の登場人物が全員一般的な高校生よりもかなり頭が悪そうに描かれている。

学校の先生も相当ひどい。セキュリティ上、生徒にパソコン渡したら絶対ダメだと思うんだけど、意外とそういうことやっている学校あるのかな。

ギフテッドってもう少し限定的な分野で天才なんだと思っていたけど、本作のヒロインは結構なんでもわかる。千里眼。

ウクライナの話題を出してみたり、近未来に対する悲観的な予想など、時事性も意識した作品だった。

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精華高等学校『鵲の橋で二度と会わない』(春フェス2021年度)

2024-07-17 08:37:00 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

精華高等学校『鵲の橋で二度と会わない』

2024/7/14

夜の廃屋で関係性の定まらない高校生の男女二人などが語らう話。

夜の廃屋という組み合わせが持つ雰囲気に、場所、話題、二人の声質、うまく調和していて、名前の話、恋愛の話、かつての友人の話、対立要素がほとんどない会話なのに、しっかり緊張感が続く。

強いて言えば、一時間近くにおよぶ会話の積み重ねの果てに二人の淡い関係性がどこに行きつくのかという部分だけど、少なくとも見ている間は大きい要素ではない。

抑制のきいた掛け合いは玄人好み。

袖を使った唯一のギャグはおもしろかったけど、この雰囲気でよくこのギャグだけ残したなというくらいミスマッチではある。

装置の建て込みもしっかり雰囲気を出している。

全体として、夜と廃屋の掴みどころのないソワソワワクワクする感じをしっかり抽出し、いい感じの温度感に仕上っていた。

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福島県立あさか開成高等学校 『いとしのレイラ』(春フェス2021年度)

2024-07-16 22:16:00 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

「2022上演8」福島県立あさか開成高等学校 『いとしのレイラ』

2024/7/14

援助交際グループに入っている女子高校生レイラが、同じ学校の男子に、お金を払うから友達になってほしいと頼まれる話。

コロナ禍の影響で大阪大会では映像参加。

「援助交際」という言葉を久しぶりに聞いた。

露悪的な女子グループ描写は「女子同士はギスギスするもの」とか「女の敵は女」という古めのテンプレ表現に見えるので、どういう風に受け止めればいいのかよくわからない。

ヤンキー漫画を見るような感覚で見ればいいんだろうか。

高校演劇の往年の名作とされる『チェンジ・ザ・ワールド』のオマージュ的な作品らしい。※

登場人物の行動や、エピソードのつなぎかたにちょいちょい違和感がある。

同世代の高校生が見たら、ちゃんと受け止められるものなのかな。

盗んだお金を受け取り続けることは、ちゃんと善意の第三者扱いしてもらえるんだろうか。 

※ ↓ 参照しました。

大事なことなので2度言いました。「高校演劇2021 第16回春季全国演劇研究大会 3日目」

 

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作新学院高等学校『Passion』(春フェス2021年度)

2024-07-15 06:29:00 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

作新学院高等学校『Passion』

2024/7/14

男女2グループが一緒に修学旅行の計画を立てているうちに、女性が直面する社会的な負荷があらわになっていく話。

序盤の会話。ありがちな言葉選びが少なく、内容はどうでもいいのに聞き続けられる。

世の中の男性から女子高校生がどう見えているのか、直接的に語られている。

短い時間でエピソードを詰め込み過ぎな感じもするけど、個人ではなくて、社会を描こうとすると必要なのかもしれない。

だいぶん物事をわかっていなさそうな彼は、姉の存在がなかったら、一生こういう問題に気づくことはなかっただろうし、実際そういう人は多いんだと思う。

なので、設定上の都合の良さは感じるものの、「いつかわかりあえる」という希望を語るのも、あるべき立ち位置ではある。

高校演劇だと展開上の都合で使われがちな恋愛の要素を、茶化さずに表現として見せているのも好き。

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