2022/4/15
・ある演劇祭に演出家として参加した男が、稽古期間中の様々な出会いやトラブルを経て、妻の死にきちんと向き合おうとする話。
・地方の主催者が、おそらく文化事業的な感じで東京の演出家を招いて公演を行う。
・自分もあまり経験があるわけじゃないけど、おそらく内部はこんな雰囲気だろうと思える程度に生々しい。
・お仕事映画としても楽しめると思う。絵的に地味な読み稽古で映画のシーンを作れるのがすごい。
・演出家の家福は西島秀俊さんが演じる。特に話の方向性が見えない序盤は、彼の存在感が頼もしい。
・舞台上で不調になり変な間ができても実力のある舞台俳優らしくギリギリ乗り越える…という演技。大変。
・劇中の上演予定作品は『ワーニャ伯父さん』。
・家福の演出は、外国から俳優を招いて、それぞれの母語で会話をする形式。
・最初は意義がわからなかったけど、会話から言葉を抜き取ったときに何が残るのかを検証する感じ、なのかな。
・手話の話者が入っても違和感なく成立するのがすごい。
・舞台用の発声があるように、舞台用の手話ってあるんだろうか。なんとなく映像サイズに見えた。
・正しくない人の描写なのはわかるけど、オーディションのあれは別のことでやってほしかった。兆候はあったんだから演出家が止めなきゃいかんと思う。他の描写をきちんとやってるだけになおさら。
・屋外での読み合わせのシーンが楽しい。映画ならではの絵の美しさもあったし、演じていた二人の間で本当に演劇らしい何かが起きていたようにも見えた。
・三浦透子さんが演じる運転手のできるスタッフ感。寡黙で腕があって無茶ぶりにも対応している。
・だからって、演出家のメンタルケアのために広島から北海道までの運転をお願いするのはどうかしている。
・終盤のほうになると、できるスタッフを通り越して、彼にとっても、作品にとっても、とても便利な存在になっていた。せめてそれなりのギャラを貰ってほしい。
・上十二滝村って地名があんまり北海道っぽくないような。色々検索すると元は中頓別町だったらしい。
・『パターソン』の時も思ったけど、映画のなかだと、安全に自動車を運転するという行為だけで、結構な緊張感が生まれる。
・何気にワンコ映画でもある。フリスピー投げてもらえるところ好き。
・中盤くらいまでは映画と演劇がいい緊張感で両立していたけど、最後のほうは急激に小説というか、村上春樹っぽさが前面に出てきた感じだった。
(ユナイテッドシネマ札幌)
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