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2010/9/6
映画を人に紹介するときは、「コメディ」とか「泣ける」とか、レッテルを貼ったほうがすすめやすい。
そういう意味で、この映画は人にすすめにくい。
大笑いできるわけでもないし、泣けるわけでもない。ハラハラドキドキもそんなにしない。
かと言って、駄作というわけでは全然ない。ただ「いい」と言うしかない。
最初は悪いやつだと思っていた松重豊の刑事もそんなにイヤなやつではない。瑛太はさわやかでかっこいいが、最後まで続かない。笑福亭鶴瓶と八千草薫の関係は恋愛の二、三歩手前まで進むが、それ以上は進まない。とにかく、レッテルを貼りにくい。
善悪のような二項対立をひたすら拒否する。真実はグレーゾーンの中にしか存在しない。そういう意味でリアリティがある。そう感じながら見ていると、最後の最後でリアリティを拒否して終わる。
ひねくれているとも言えるし、誠実とも言える。
「どんなにリアルに作っても、所詮映画ですから」と言われているようで、すがすがしい。
また、たいていの人は笑福亭鶴瓶が、偽者の医者の役を演じているという情報込みで、映画を見始める。
「なりすまし」はコメディの重要な手法のひとつだけど、この映画では笑いの手段として使っていない。
コメディで作る場合でも、見ているほうは面白いけど、当事者の立場になったら悲惨な状況になることが多い。
「ディア・ドクター」では、その悲惨な目にあっている人たちに寄り添って、見ている人に感情移入させるように作っている。感情移入させられると、人は笑えない。情緒は笑いの敵と言っていたのは、たしかベルグソン。正しく引用できているかしら。
追い詰められる笑福亭鶴瓶に、共感はできても突き放して笑うことができない。応援したくなる。
それでも、彼がその意思を全うすることはできない。
ネタバレではなく、始めからそれが分かるような構成になっている。確認作業のように物語を追うことが、なぜかおもしろい。
「そんなことがあったんじゃしょうがないよねえ」と思ってしまう。
最後に突き放されるまで、どこまでも寄り添ってくる。
不思議な後味。
たいして騒ぐことでもないのですが、現在ガリガリ君の製造が追いつかず、入荷は9月の半ば。と、ツルハの貼り紙を見てショックを受ける。
連休あたり「ディアドクター」を借りてきたいと思います。先入観なしで見てみたい。西田美和監督の「ゆれる」は、ご覧になってますか?
「ゆれる」は、見ておりません。「ディア・ドクター」がよかったので、近々見てみようと思います。なんだか売る気のまったくないタイトルで期待できます。
村山由佳は「野生の風」「青のフェルマータ」が好きでした。「天使の卵」は、むかしオーディオドラマでやっていたのを聴いたことがあります。
極楽湯は一度行ったんですが、壺湯はいいかんじですよね。そのときは折り合い悪く非常に混雑していたので印象良くないです(笑)。
そうそう。「ディアドクター」見終わったら、「ほぼ日」の西川美和監督インタビューもオススメします。