自由と平和、生存と共生のために

「誰もが人間らしく生きられるためには」という視点から、さまざまな社会問題についての情報をお届けします。

多文化共生の教室を舞台にした映画

2020-10-19 22:16:40 | 共生・反差別
「フリーダム・ライターズ」(リチャード・ラグラネベーズ監督、2007年)
 アメリカのロサンゼルス郊外、人種・民族間の差別、対立や暴力が渦巻く地域の高校。生徒たちも差別や対立の中で荒れた日々を過ごしています。新任の先生は生徒たちに日記帳を配り、自分の本当の思い、気持ちを書き記すことを提案します。その後も、先生と生徒たちにはさまざまな苦難が待ち受けていました。実話に基づく作品です。
「フリーダム・ライターズ」 (CINEMA WERDE)

「フリーダム・ライターズ」予告編




「パリ20区、僕たちのクラス」
(ローラン・カンラ監督、2008年)
 フランのパリ、移民の多い地域の公立中学の現実を描いた作品です。あるクラスの「国語」の授業の風景を追いかけています。多様な文化的背景で育ってきた個性的な子どもたちの学びの場をどのように形作っていけばよいのか、観る者を考えさせます。教師役は原作の著者、生徒役は縁起経験のない子どもたちです。
「パリ20区、僕たちのクラス」 公式サイト

「パリ20区、僕たちのクラス」 予告編


「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」
(マリー・カスティーユ・マンシオン・シャール監督、2016年)
 この作品もフランスのパリ郊外、多様な民族の生徒が通う高校が舞台です。歴史の授業を担当した教師は、ナチス支配下の強制収容所生存者を招いて、生徒たちに体験を語ってもらいます。学習意欲に乏しかった生徒たちが、その語りを聞いて変化していきます。こちらも、実話に基づく作品です。
「奇跡の教室」 公式サイト

施設コンフリクト問題

2020-10-17 19:17:17 | いろいろ
 社会福祉施設などを設置しようとしたとき、地域住民から反対の声が上がる事例が数多く報告されています。障害者施設、高齢者施設、保育園、児童養護施設などの例があります。
 施設利用者への誤解や偏見が要因の一つとして指摘されています。
障害者施設の場合、「障害者は凶悪な犯罪を起こしやすい」と思い込んでいる方からの反対が起きています。児童養護施設の場合は、虐待を受けた子どもへの偏見などがあるようです。
 障害者の特性への理解、施設利用者と地域住民との接触や交流の機会の確保などが必要だと思います。
 ノーマライゼーションの理念の理解も重要です。障害者基本法は「全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」と規定しています。

障害者施設が近隣住民の猛反発で建たない問題  障害者.com

南青山の児童相談所建設に反対の声。各地で続く建設断念に子どもたちへの偏見  島沢優子

「難民鎖国」の酷い現実

2020-10-17 17:46:32 | いろいろ
 UNHCRの報告書によると、2019年末現在、世界の難民は2600万人、国内避難民は4570万人。地球規模の大きな社会的課題です。

 日本でも毎年、約1万人の人びとが難民としての認定を申請していますが、認定されるのはわずかです。昨年も10375人が申請しましたが、認定されたのは44人でした。
 出身国で迫害されるおそれがある人の滞在を認めるのが難民認定です。迫害を裏付ける客観的な証拠のハードルが高過ぎるなどの問題点が指摘されています。
 多くの難民申請者が刑事施設のような入国管理局施設に収容されます。認定されなかった人たちは、迫害が待ち受ける出身国へ送還されることにおびえながら暮らさなければなりません。

 日本国憲法は前文で「全世界の国民」が「恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」と宣言しています。憲法の理念からも、難民を積極的に受け入れ、生存権などを保障する態勢をつくることが求められます。


なぜ日本は難民をほとんど受け入れないのか
 BBC News Japan

NPO法人難民支援協会

『難民鎖国ニッポンのゆくえ』 根本かおる ポプラ社(ポプラ新書)


学術会議委員任命拒否事件に広がる抗議

2020-10-15 20:51:21 | 自由
 菅政権による学術会議委員任命拒否に対して、研究者団体などから抗議の声が上がっています。その一部をご紹介します。

国内95学会、日本学術会議の新会員候補者任命拒否で声明(大学ジャーナル)


菅首相による学術会議会員の任命拒否に対する憲法研究者有志の声明



日本学術会議第 25 期新規会員任命に関する緊急声明
(日本教育学会)


「全員を任命すべきである――政府の日本学術会議会員任命拒否をめぐって」
(日本ペンクラブ声明 )


映画人有志が「日本学術会議への人事介入に対する抗議声明」発表
(シネマトゥデイ)



軍事研究がもたらす悲劇

2020-10-15 19:40:28 | 平和
「マンハッタン計画」と科学者たち
 アメリカで原爆開発計画(マンハッタン計画)が始まったのは、ドイツが核兵器を開発することの危険性を科学者らが警告したことがきっかけでした。しかしその後、アメリカ政府は、ドイツにもはや原爆開発能力はないことがわかっていても、戦後の対ソ連政策に利用するために、原爆の開発を推進しました。科学者レオ・シラードは他の科学者の署名も集めて、日本への無警告の原爆投下をやめさせようとしました。しかし、「ヒロシマ」「ナガサキ」の惨劇は起きてしまいました。

『届かなかった手紙 原爆開発「マンハッタン計画」科学者たちの叫び』 大平一枝  KADOKAWA

アラン・チューリングの自死
 第2次大戦時、ドイツ軍の暗号システム「エニグマ」の解読にイギリスの数学者アラン・チューリング(1912~1954)が成功。その結果、イギリスはドイツに対して優位に立つことができました。戦後、暗号解読の事実は国家機密とされ、チューリングも監視対象にされました。彼は同性愛者であることを理由に逮捕され、獄中で自死しました。軍事研究の暗い側面を象徴する事件です。

映画「イミテーション・ゲーム」(モルテン・ティルドゥム監督)
チューリングによる「エニグマ」解読とその後を描いた作品です。
「イミテーション・ゲーム」公式サイト

 学術会議委員任命拒否事件の背景には、軍事研究を拡大推進したいという政府の思惑があるのでしょう。軍事研究の危険な姿を知る必要があると思います。