On the Corner

めぐりあいつむぎつづれおる日々を生きていく中で感じたことを

イリアス-1

2010-09-11 15:52:15 | Stage&Music


9/5(日)12:00~ ル・テアトル銀座

前日に開幕したばかりの「イリアス」、友人の強運のおかげで
最前列鑑賞でした。

「イリアス」=「トロイアの詩」、なんとも肩のこりそうな…と言っては
失礼ながら、ギリシャ12神が何度系図を見ても頭に入らない私としては
かなりの難関と思っていたお芝居だったのでした。
(苦手なものだから、直前まで予習しなかったし・笑)

でも、「シアターガイド」などでふふふん、と情報を入れていたところ
案外、このお話は簡単なつくりらしいことが判明。


(1)ギリシャ軍最強の戦士アキレウスが、ギリシャ軍総大将アガメムノンと、
捕虜の女をよこせよこさないで激しく言い争い。

(2)アキレウス、怒り心頭。戦いをストライキ。

(3)ギリシャ軍知将オデュッセウスや僚友パトロクロスが何度言って
聞かせても、聞く耳持たずのアキレウス。たて琴なんかをつまびいちゃう。

(4)しびれを切らしてアキレウスの代わりに彼の鎧をつけ出陣した
パトロクロスが敵のトロイア軍王子ヘクトルによって、無残に殺されると…

(5)アキレウス、怒り大爆発。復讐のため戦線復帰。

(6)ヘクトルを討ち、遺体をなぶる。

(7)息子を殺され、心痛のトロイア王プリアモスが、アキレウスに
「私達は大事なものを失った同士だ」と涙ながらに訴える。アキレウス同情。

(8)ヘクトルの遺体はトロイアに返還され、葬儀中は休戦となる。


これを軸に、3時間さまざまな人間模様が織り成されるという…
ギリシャ軍3000人とかの壮大なスケール、戦いの場面が中心となる話を
男6女7の13人のキャストにより目の前に披かれます。
コロスのみなさんがこなす、神々から戦士から一般市民には拍手喝采。

膨大でいてシンプル、ただ見入っているだけで、するすると想像力をかきたてる
「ことば」による演出は圧巻だったと思います。
「語り」の力は演劇の原点、という軸に向かって結集されているのが
非常によくわかりました。

視覚でも、ギリシャ軍は赤、トロイア軍は青、コロスは白、とシンプル。
預言者新妻さんの黒も素敵だったな。

なんというか、ムダがない。

神々と人とが近くて、陽が沈めば戦いは終わる、なんとも原始的というか
本来はそういうものだったんだなーなんてことも思いつつ。

今回は平幹二郎さんがやっぱりの存在感。
70を越えた御身とは思えない大きな小さな動き、声の張り方の豊かさ。
さすが舞台で鍛えてきたひと、オーラがすさまじかった。

そしてうっちー。
もう足から腕から、緊迫したシーンでは小さな筋肉の動きまで見えるの。
戦線離脱しているときに「アキレウスは戦えずに鬱々としている」というセリフが
あったくらいだから、もうまるごと戦士になっておりました。
足…白かったけど…

「怒り」のアキレウス、手のひらにぐー…っと徐々に力が入っていく、
からだ全体で怒りをためこみ、さけぶシーン。

そして戦うべき相手をさだめ、息で小さくスーッ、スーッと獣のように
威嚇するかのごとく、ゆっくりと、客席後方からヘクトルに歩み寄るシーン。

説得力ある、内野アキレウスの熱を、堪能したのでした。
眼光に、あまりするどさを感じなかったのは、まもなく命が終わると
知っている人間だったからなのかな…

しかしながら、アキレウスとヘクトルの一騎打ちは、思わず身構えるほど
盾も槍も剣も飛んできそうで!
殺陣だ、ってわかっていても、何かもう一歩間違えたらふたりとも
ものすごい大怪我しそうだもの。
それくらいに、命をかけている迫力戦が目の前に繰り広げられたのでした。
内野さんも池内さんも足や腕にアザ、それがまたリアルだった。

次回は千秋楽♪

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