元外務省佐々江賢一郎前駐米大使(公益財団法人「日本国際問題研究所」の現理事長兼所長)が今月5日に都内の日本プレスセンタービルで開かれた「第16回安全保障シンポジウム」(NPO法人ネットジャーナリスト協会主催、読売新聞社後援)の基調講演の中で以下の様な発言をなさったのだそうだ。
「文在寅大統領が2045年の南北統一を目標にしているが、日本として最も望まないのは統一した韓国が核を保有し、反日的に中国の拡張政策のパートナーとして存在すること」であるから「そうならないように手を打つべきことは手を打つ必要がある」「日韓関係でも日本は韓国を投げ出さず、韓国の気持ちにある程度合わせる努力は無駄ではない」など。
この発言は果して実際のところ、日本の安全保障のための発言といえるだろうか。
佐々江氏の発言は日本の安全保障のための発言というよりも、高純度のフッ化水素の日本からの輸出制限によって事実上半導体産業が崩壊しつつある韓国に対して、これまで同様「日本が韓国を投げ出さずに韓国の気持ちにある程度合わせる」などと、恰も韓国側の発言を聞いているかの様で、日本の国益や日本の安全保障を考えての発言というよりも彼の国への「助け舟」のような意味合いの発言ではないだろうか。
参考:
可能性の話としてはゼロではないとはいえ、そもそも1948年に南北朝鮮が分断国家としてそれぞれ連合国軍総司令部やソ連の占領下から独立して、すでに70年余となってもいまだに統一できない理由を考えれば、「核保有国の統一韓国」なるものが生まれるはずがないのでそのような議論は無駄でしかない。
「核保有国」で300兆円分の鉱物資源をもった「日本には二度と負けない」統一韓国(もしくは統一朝鮮)は文在寅とジム・ロジャーズが絵に描いた餅でしかない。
「外務省」が「害務省」と揶揄されてきたのもこれら人物が特に半島や中国などに対して日本の国益を損なう土下座外交をしてきたことを指しているのだ。この挙句が「千年被害者」の「慰安婦」であり「徴用工」裁判なのに、おひとよしなのか馬鹿なのか売国奴なのか。
韓国の日韓GSOMIAの破棄は北朝鮮が韓国に対して要求したものであったともいわれているが、日本からの「ホワイト国除外」(注)の撤回を要求するための材料として、韓国がとった駆引きのようなものでもあったわけだが、GSOMIAは韓国にこそ必要ではあっても日本にとってはどうでもよく、韓国が破棄しようがどうしようが対北朝鮮、対中国戦略上の影響はそもそもない。
■統一韓国は北の体制崩壊が前提
経済格差が52倍といわれる南北朝鮮の統一は合理的に考えれば、北朝鮮の体制崩壊が前提となるため、第二次朝鮮戦争か北朝鮮内のクーデターでも起こらない限り事実上不可能である。
統一の前提は北の崩壊なのだが、崩壊させるためには
①国連軍が北の核関連施設を全て爆撃破壊し尽くす「鼻血作戦」を決行する
→北の反撃でソウルが火の海となってしまう可能性があるし、戦後の朝鮮は今以上の強烈な反米国家となってしまうので、北の鉱物資源開発などを行って儲けたい戦争屋のユダ金は望ましくないと思っている。だから現在のトランプ政権はのらくらと北朝鮮を攻撃できずにいるのだ。
②北朝鮮内部でクーデターが起こる
→これは38度線が崩壊して韓国が2500万人の貧しい北朝鮮の人々を養うことが前提となるために韓国が全く望んでいない未来だと思うし、日本海を渡って北の難民が大量に日本に押し寄せてくる可能性があって、日本も望んでいない。但し、北の工作員が炭疽菌などの生物化学兵器をもって上陸することも可能性としてあるわけで、日本には上陸させずに追い返すだけのこと。
■南北朝鮮がドイツのように統一出来ない理由
「アゴラ」の加藤成一氏が述べている「南北朝鮮が統一出来ない本当の理由」は非常に明快だし、まさにこの通りだと思う。
東西ドイツにイデオロギーの差はあったとしても東ドイツには金王朝のようなものがなかったし、東西ドイツの経済格差は南北朝鮮ほどひどくなかったということである。
①北朝鮮の「主体思想」が最大の障害
「統一朝鮮」が実現しない最大の障害は、北朝鮮の「主体思想」である。北朝鮮では1972年の憲法改正で、マルクス・レーニン主義に代わり、「主体思想」(注)が公式の国家思想と位置付けられた。
「要するに、『主体思想』は『北朝鮮共産主義思想』であり、金日成主席を絶対化する『個人崇拝』のイデオロギーとして、共産主義独裁政権に対する一切の批判を排除しその後の金正日政権、金正恩政権に継承されているもの」なのだ。
「従って北朝鮮は正統性の根拠である「主体思想」を放棄しないし、北朝鮮にとっては、「統一朝鮮」の実現のために、金日成主席以来の国家の根本思想である「主体思想」を放棄することはあり得ない」
同時に「主体思想」は、金正恩政権の正統性を担保する唯一の思想的政治的根拠であり、核心的利益であるから、これを放棄することは、北朝鮮の体制崩壊を意味する。
一方の韓国は自由民主主義政治体制であるが、「統一朝鮮」の実現のために、国家の根本思想である「自由民主主義思想」を放棄して、「北朝鮮共産主義思想」である「主体思想」を受け入れることは到底あり得ない。
②南北の経済格差
現在の韓国のGDPはロシアのGDPに匹敵し、2018年の名目国民総所得は北朝鮮の実に52倍である(韓国中央銀行発表)そうだ。
「南北のイデオロギー的政治的障害を克服するための『一国二制度』」を採用したところで、体制崩壊を招く前に経済格差が急速に薄まらない限り、北から南への脱北者が現在以上に加速化して事実上の北朝鮮の体制崩壊に繋がるためにそもそも一国二制度など成立し得ない。
経済格差は生活の質ばかりでなく文化の多様性、価値観の違いを生んできたことで、北朝鮮は韓国の文物が北に入ってくるのを極度に嫌っている。
■「韓流ドラマ」を厳しく取り締まる北朝鮮
2013年頃北朝鮮で「韓国ドラマや聖書」を見たという理由で北朝鮮の市民80人が公開処刑されるという事件があった。
処刑は北朝鮮各地の7都市で実施され、1カ所当たり10人前後の住民が、「北朝鮮当局が禁止する韓国ビデオの闇取り引きと視聴、聖書の所持、売春などの容疑」で、ある都市では、スタジアムに集められた1万人の目前で銃殺が行われ、住民の話では、処刑された人は身元がわからなくなるほど機関銃でずたずたに撃たれ、人々は恐怖に震えながらそれを見たそうで、処刑された者の家族や、容疑が軽微な連座者は、収容所に送られたり辺境地に追放措置されたとされる。
■韓国人を歓迎しない北朝鮮
最近の話題では、サッカーの2022年W杯アジア2次予選の北朝鮮対韓国戦が10月15日に平壌の金日成競技場で行われて0―0で引き分けたとされるが、このときの韓国代表選手が受けた仕打ちが話題になっていた。
サッカー男子の平壌での南北対決は29年ぶりだったにも関わらず、試合は無観客、韓国側は取材団の派遣や生中継を要請したが、北朝鮮側から返答はなく実現しなかったばかりか、そもそも韓国の選手は平壌で行われる試合に参加するために38度線を通ることも許されず、仁川空港から北京経由での平壌入りを強いられ、その際に北京で選手は全員、携帯電話を韓国大使館に預けさせられ、また、トレーニングウエアやソックスなど韓国から持ち込んだものを北朝鮮に置いてきてはいけないという説明も受けたのだそうだ。
選手らは試合や練習などの公式日程以外は外出を許されず、宿泊先の高麗ホテルに「缶詰め」となり、持って行った食べ物は、事前に届け出をしていなかったという理由で全て没収されてホテルで提供される食事だけを取った、などと報じられていた。
■韓国関連のものを毛嫌いする金正恩委員長
北朝鮮の朝鮮中央通信によれば、10月23日南北経済協力の観光事業が中断している金剛山観光地区を金正恩委員長が視察し、韓国側が建設した施設を撤去するよう指示した際に「建築物に民族性が全く感じられない。(北朝鮮の)国力が弱い時に他人に依存しようとした先任者たち(自分の父親である金正日委員長などを指す)の政策が間違っていた」と、南北協力を推進した故金正日総書記を批判。
「見るだけでも気分が悪くなるみすぼらしい南側の施設を、南側と合意してすべて撤収し、現代的な施設を新たに建設すべきだ」と強調したそうだ。
(注)「主体思想」
元朝鮮民主主義人民共和国の首相 で初代北朝鮮最高指導者の金日成主席(金正恩氏の祖父)が提唱した北朝鮮及び朝鮮労働党の政治思想。朝鮮人民が国家開発の主人公であり、国家には強力な軍事力と国家資源が必要であると説かれ、「思想における主体」「政治における自主」「経済における自立」「国防における自衛」の確立を目指す立場が「主体思想」なのだそうだ。
(注)輸出管理上のカテゴリー「ホワイト国」(旧名称、現:グループA)から日本が韓国を除外した経緯
今年の7月10日、生物・化学兵器を含む大量破壊兵器製造に転用可能な物資をシリアやイランなど北朝鮮の友好国に不正輸出したとして、韓国政府が複数の韓国企業を行政処分していたことが日韓双方で報じられ、その後日本側は韓国向けの輸出規制強化の背景として、「輸出管理上の不適切な事案」を指摘した。
韓国側は世界貿易機関(WTO)の物品貿易理事会で「貿易をゆがめる措置だ」などと撤回を求めたものの、多数の企業が不正輸出を企図し、摘発されている事実は、韓国における戦略物資の不正な国際流通に対する甘い認識を浮き彫りにしたと指摘されていた。
韓国内の不正輸出企業への行政処分の状況は、韓国で貿易管理を担当する産業通商資源省が作成した「戦略物資無許可輸出摘発現況」から判明したそうで、文書には2016年1月から今年3月までの間に142件が処分対象となった事実が記載されており、北朝鮮との友好関係にある国々への主な不正輸出では、化学兵器原料に転用できる「ジイソプロピルアミン」がパキスタンに、サリン原料の「フッ化ナトリウム」がイランに、生物兵器製造に転用可能な「生物安全キャビネット」がシリアに、致死性ガス原料の「シアン化ナトリウム」が赤道ギニアに-といった事例が明記されていたのだそうだ。
韓国の国会議員が自国の産業通商資源省から入手したリストによれば、2015年から2019年3月まで、韓国から戦略物資が無許可で流出した不正輸出案件は、何と156件もあったと記されており、不正輸出されたのは、いずれも、NSG(核兵器製造・開発・使用に利用可能な物品を統制する多者間国際体制) 、AG(生物化学兵器製造・開発・使用に利用可能な物品を統制する多者間国際体制)などを通じ国際社会が厳しく統制・監視している物資だったそうで、韓国の輸出管理は「ザル」だったのである。
引用:
誰かがこんなことを書いていました。日本が半島の人々に謝ることがあるとすれば戦争で負けたことだと。日中戦争や太平洋戦争がなかったら、今でも台湾や朝鮮半島の人々は日本国民だったのかもしれませんしその方が少なくとも今よりは彼らも幸せたっだのかもしれませんし。
ですが21世紀の今日では国境線の変更は2度とあってはならないし、彼らの根底にある「恨」にはほとほと日本人も嫌気がさしましたから、むこう100年か200年くらい「非韓三原則」で静観するほかありませんね。