月に一度、私はU子さんの整体に出かけます。
U子さんは 86才。
自立心のあるシャキッとした方で、週に2度、デイサービスに通っています。
私はボランティアのつもりで、U子さんの体のケアをしていました。
先日、U子さんが、突然こんなことを言うのです。
「私ね、この家を売って、息子と東京で暮らすことにしたわ。
それが息子の希望なので、「いいわよ」って決めたの」と。
200坪余りの、広くて手入れの行き届いたこの家。
50年以上も住み慣れ、親しいご近所もいるこの家。
この家から出て、U子さんは東京に住むという。
「ええっ、私、さびしい!!!・・」
思わず私は、U子さんの手に自分の手を重ねていました。
そのとき、私は、気づいたのです。
U子さんは、いつも、私の訪問を喜び感謝してくれます。
感謝の笑顔と言葉で、私はゴキゲンになり、
U子さんの面倒を見て上げているんだ、と自惚れていました。
~~しかし、そうではなかった。
実は私が、U子さんから、喜びを頂いていたのだ、と。
喜びがあるために、U子さんを毎月お訪ねしていたんだ、と。
U子さんが東京に行ってしまったら、
その喜びを頂くことは出来なくなる。
それは、すっごく、さびしい!!!・・・
私はその時、もう一つ、気づきました。
私が整体という仕事を辞めない、その理由を・・。
私は、先月、古希を迎えました。
ふつうなら、引退の年齢です。
でも、整体の仕事は、まだ続けていきたいと思っている。
その理由は何か・・・、
お客様の痛みや辛さを治したときの、満足感・・。
自分の技術で難しい疾患を治した時の、達成感・・。
お客様から「ありがとう」と言われた時の、誇らしい気持ち。
~~それかなあ、と。
でもそれは、思い上がった自惚れだと悟ったのです。
お客様から「ありがとう」と言われたとき、
私は最高に幸せな思いを、お客様から頂いていたのでした。
それが生き甲斐となっていて、
私は整体の仕事を辞めたくないのだ、と悟りました。
「ありがとう」は、私がお客様に言うべき言葉だったのよ。
U子さん、「ありがとう」
・・・・でも、やっぱ、さびしいな~。
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