
その時はやってきた。
ずっと来て欲しくないと願っていたが、容赦なくやってきた。
2013年10月3日(木) 18:00
前田智徳の引退試合の日。
ここ数日会社で色んな人に言われていた。
『3日行くん?』
もちろん、今日も『行くんじゃろ?』
何人も何人も聞かれた。
でもオイラはチケット入手できていなかった。
テレビ中継もない。
だから家でラジオ観戦だ。
ファンからは『神』と呼ばれた天才打者の最後が、ライブで映像が見れなかったのが残念だ。
正直言って、試合展開はほとんど耳に入ってなかったかもしれない。
鈴木(誠)と下水流がプロ初スタメンだったこと、下水流が初打席初ヒットを放ったこと。
そして福井が4失点して降板したこと・・・・
それ以外は本気で記憶にない。
ただ、前田が出てくる場面を待っていただけだったのかもしれない。
2位の可能性もあったし、何より5割フィニッシュのために負けられない試合だった。
でも、昨日までブログに書いてきた『前を向いて突き進め!』と言う気持ちがなかった。
ただ前田智徳と言う男の引退試合、最終打席をしっかりと記憶に残したかっただけだった。
もちろん、勝って前田を送りたかった。
その気持ちも事実。
なんとも複雑な気持ちでラジオに耳を傾けていた。
試合は進み8回裏1アウトの場面。
打席には梵。
その時、ネクストバッターズサークルには背番号1の姿。
ついにその時はやってきた。
梵が倒れ・・・2アウトランナーなし。
『小窪に代わりまして・・・・』
『バッター、前田 背番号1』
球場全体から地鳴りのような声援が上がり、バッターボックスに向かう前田を包み込む。
オイラはこのアナウンスですでに泣いていた。
いや、正確に言えばアナウンサーが『ネクストには背番号1、前田の姿が』と言った時点からだ。
球場内は例えようのないくらいの大声援。
そして始まる応援歌。
この瞬間、球場にいるファンや監督、そしてナイン、テレビで観戦しているファン、パブリックビューイングで観戦しているファン、ラジオで観戦しているファン、
すべての心は一つになっていたと思う。。
初球は見送ってワンストライク。
2球目を打ちに行き、ファールとなって2ストライク。
そして3球目。

バット・・・・いや、振り下ろした刀はボールを捕らえる。
三遊間間を抜けるヒット・・・・・・と思いきや、ボールはピッチャーの小熊が伸ばしたグラブに収まってしまった。
ピッチャーゴロだった。
球場中にため息が流れたがそれも一瞬。すぐに大拍手に包まれた。
恐らく、かなりのファンが涙を流しながら拍手で前田と言う男を見送った瞬間だったろう。
ご他聞にもれず、オイラもラジオの前で涙を流しながら拍手を送った。
でも、それで終わらなかった。
9回表には、前田はグラブを持ちライトの守備へ!!!
前田智徳、自身最初で最後のズムスタでの守備だ。
そんなことを考えたらまた涙が出てくる。
中日打線はライト狙いのバッティングだ。
前田に最後の守備機会を・・・・との考えからだろう。

前田の守備でアウトを取ることはできなかったが、森野の2ベースの際にクッションボールを処理した。
ズムスタで打席に立ち、初めて外野の守備について芝生を踏みしめる。
そして守備機会もあった。
満足だったことだろう。
前田出場の余韻覚めやらぬ中試合終了となった。
そして引退セレモニーへ。
特設ステージに上がった前田が最後の挨拶。

『24年間、いつも温かい声援をいただき、ありがとうございました。
故障だらけの野球人生でしたが、球団オーナーをはじめ、監督さん、
スタッフのみなさん、裏方のみなさん、みなさんに手助けしていただいて、
そして励ましていただき、そして支えられながら、ここまで乗り切ってくる
ことができました。
この広島で、そして広島東洋カープで、一途に野球ができたことを誇りに思います。
そしてどんなときも支えてくれた両親と家族に、本当にありがとうと言いたいです。
カープは16年ぶりにAクラスに入ることができました。
監督さんをはじめ、コーチの方、裏方さんが力を合わせて、若い選手を、
そしてベテランをうまく指導して、ここまで来れたと思います。
自分がこの中にいないというのは、非常に悔しいですが、この節目を、
これから強いカープとなって、未来のカープが明るいことを願って、
今日をもって引退します。
そして高木監督をはじめドラゴンズの皆さん、今日はありがとうございました。
ドラゴンズの来年の巻き返しと、チームのドラゴンズらしい野球を期待しています。
最後にもう一度、今日まで応援してくれたファンの皆さん、そして今日まで支えてくれた
すべての方に感謝いたします。
長い間、本当にありがとうございました』
涙が止まらなかった。
前田は『広島東洋カープで一途に野球ができたことを誇りに思います』と言ってくれた。
われわれファンは、そのまま前田にお返しする。
我々ファンは前田智徳と言う選手を
一途に応援できた事を誇りに思います!
と。



挨拶終了後に球場を一周しファンへ直接挨拶。

その後は、後輩達の手で胴上げだ。
5回ほど勢いをつけ・・・・背番号1に合わせて

最後の一回は空高く舞い上がった。
前田は胴上げ後、その場にうずくまり両手で顔を覆った。
万感の想いだったのだろう。
昨日の試合で、侍は静かに刀を置いた。
もう球場で『バッター・前田智徳!背番号1』のコールは聞けない。
そのコールを聞いて盛り上がることもできない。
ファンが一体となって、応援歌を歌うことも出来ない。
ヒットを打って、ベース上で小首を傾げる前田は見れない。
寂しさしかない。
でも・・・・
『前田智徳』と言う選手がいたことだけは
絶対に忘れない!!!
絶対に忘れない!!!
【通算成績】
2,188試合 7,008打数 2,119安打(生涯打率:.302)
295HR 1,112打点 68盗塁
ベストナイン獲得4回 ゴールデングラブ賞獲得4回
2,188試合 7,008打数 2,119安打(生涯打率:.302)
295HR 1,112打点 68盗塁
ベストナイン獲得4回 ゴールデングラブ賞獲得4回
♪狙い絞って振り抜け 速く鋭い打球を
♪飛ばせ!明日へ未来へ 輝け!前田!
♪飛ばせ!明日へ未来へ 輝け!前田!
24年もの間カープの為に
一途に頑張ってくれて
本当に・・・・
本当にありがとうございました!!!
そして、お疲れ様でした。
一途に頑張ってくれて
本当に・・・・
本当にありがとうございました!!!
そして、お疲れ様でした。
今日からは肩に背負った重い荷物を降ろして、ゆっくりして下さい。
そしていつの日か、再びカープのユニフォームに袖を通してくれることを願っています。

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