過去の【ブロガー殺人事件】各話は コチラ→→→☆
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午前8時。
Mr.ブーこと咲村、カツヤ丸こと岩津、さらに女将こと北川、この3人に会いに行く前に、赤賀と石原は捜査本部で確認作業をしていた。
Mr.ブーは家で野球を見ていた。
証言出来る者はいないが、階下の住人によれば、叫び声は聞こえていたと言う。
カツヤ丸は夜釣りに行っていた。
だが、誰の証言もない。
女将もMr.ブー同様、当日は店が休みだったため自宅で野球を見てと言う。
こちらもカツヤ丸と同じく、誰の証言もない。
『ヨシさん、どう思う?』
赤賀は石原に問いかけた。
『そうですね・・・・・・』
『女将とカツヤ丸、この2人に関しては今の段階でアリバイが全くない・・・』
『とは言えMr.ブーに確固たるアリバイがあるとは言い難い・・・』
『だからと言って、3人の誰かがクロと決めつける決定的な何かが無い・・・』
『非常に難しく扱いにくい、そう感じます。』
赤賀が思ってる通りの答えだった。
ベテランの石原ですら、難しいと思う。
もちろん、これまで簡単なヤマなど数えるほどしかなかったが、
それでも難しいと思わせるのが今回の事件なのだ。
そう考えていたら更に石原が
『赤松の言っていたオカンも気になりますし・・・』
と言う。
そうだった。
赤松刑事が『オカンの微妙な表情の変化』に気づいていたんだった。
アリバイが不確定なMr.ブー、カツヤ丸、女将。
加えて、あの日だけ車ではなく新幹線で出かけた滝和丸、そしてオカン。
3人に絞られたと思っていた容疑者は、気づけば5人になっていた。
ここが今回の事件で『難しい』と思わせる最大の要因だった。
普通は捜査が進むにつれ容疑者が絞られて行くのだが
今回は捜査が進むにつれ、容疑者が増えて行くのだ。
赤賀にしろ石原にしろ、こんなパターンは初めてだった。
そんな中でも、Mr.ブー、カツヤ丸、女将の3人が最重要人物に変わりはない。
その3人に今日直接会って話が聞ける。
何かしらのキッカケでも掴めれば・・・
赤賀は、それこそ雲を掴むような気持ちだった。
『ま、まずは最重要人物の3人に会ってから・・・だな』
赤賀は自分に言い聞かせるかの様に、石原に話した。
2人が本部を出ようとした時。
『警部!』と呼び止める声がした。
赤松刑事だった・・・