過去の【ブロガー殺人事件】各話は コチラ→→→☆
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
本部に帰った後、赤賀はMr.ブーこと咲村へのアポを取ろうと、本人に電話をかけた。
咲村によると、仕事の関係上会える日は限られると言う。
結果、翌日の10時なら時間が取れるとなった。
ただ、その日は夜勤のため、1時間程度にしてほしいとの事であった。
そして、赤賀は再び電話を取った。
相手はカツヤ丸こと岩津だ。
岩津は自営業と言うことで、時間的には融通がきくという。
なので、Mr.ブーのあと午後2時から会うことにした。
改めて赤賀はこの二人のアリバイを思い出していた。
Mr.ブーはあの日、自宅で野球を見ていた。
ただし、奥さんと娘は実家に戻っていた。
あの日、もし咲村がどこかに行ったとしても、誰も知らないのだ。
その代わり、階下の住人が【叫び声が聞こえていた】と証言している。
家にいたのか?それとも・・・
岩津は当日は夜釣りに出かけていたという。
自分の船で自分一人で海に出たということだ。
このアリバイは、ほぼ無いと言ってもいいのだ。
一人で出かけ、一人で釣りをした。
誰か一人でも同行していれば、確固たる証言になるんだが、
誰一人同行しておらず、ずっと一人だったらしい。
ただ、岩津の奥さんによれば、当日は確かに夜釣りに出かけて、
帰ってきたのが日付けの変わった午前2時頃だったと言う。
咲村と岩津、二人のどちらも当日は一人で行動している。
証言する者はいるが、確証では無い。
怪しいと思えば、二人とも怪しい。
そうでは無いと思えば、そうでは無い。
赤賀は電話をかけながら、どっちなんだと自らに問いかけていた。
赤賀が岩津との電話を終え、受話器を置いたと同時に石原が駆け寄ってきた。
『警部、女将こと北川とのアポを取りました』
『流石だな』
今回は石原の働きに、いつも以上の頼もしさ・安心さを感じ取れる。
『北川とは、明日の20時に、北川の店【旬味 喜多川】で会えるようにしました。
コレで明日はMr.ブー、カツヤ丸、さらに女将とも会うことになった。
本来、容疑者に会うのに電話などでアポを取って向かうことはしない。
アポを取ることで、容疑者が危機感を感じてしまうからだ。
下手をすると、そのまま逃げ出しかねない。
ただ今回は違うことをしてやろうと思っての行動だった。
それが吉と出るか凶と出るか・・・
答えは犯人を逮捕した時にわかるはず。
赤賀は自分にそう言い聞かせ、タバコに火をつけた。