NHKエンタープライズから発売されている DVD「パリ白熱教室」を買って視聴してみました。
このところ、資本主義の今後をめぐる議論が活発化していますが、それは実体経済を離れた世界的な貧富の格差や経済活動が環境に及ぼす影響が、もはや後戻りできない段階に進んでいるというのがあると思います。
そんな折、DVD「パリ白熱教室DVD3枚組6話セット)」を見つけて購入しました。
過去300年の資料調査により明らかになった所得や資産の格差・不平等について、パリ経済大学のトマ・ピケティ教授が授業で学生に語ります。
19世紀初頭、経済格差は主に個人が持つ資産の圧倒的な格差として表れていたと言います。もちろん労働賃金格差はあったわけですが、給与所得の格差は資産格差に及びもしない規模だったわけです。2つの世界大戦を経て、そうした資産が崩壊したことから、こうした格差は一旦はなくなります。しかし、現在はまた資産+所得 双方ともに格差は19世紀に迫ろうというほど開いているということ。
また、資産を持つほど高い教育を受けられるために、それがまた格差を呼ぶこと。多くの国で最低賃金が物価に連動して高くなるということがなく変わりがないこと。逆に会社役員などの高額報酬は増加の一途にあること。タックスヘブン(租税回避)などにより不透明なお金の流れも増しています。
このような世の中にあって、ピケティ氏は、累進課税制度を今以上に進めることや、教育の保証、税の透明化などを主張します。所得税や相続性はどういった背景でいつ頃からどの国で導入が始まったかなども詳しく解説されています。税制は身近な問題ながら、難しそうと敬遠してしまいがちです。しかし、世界の一流の講義を聴くことで、「なるほど、そういうことか、そうなっていたのか」という理解が進みます。
資本主義による格差拡大や環境破壊につながる問題については、あらたなモデル提案の時期を迎えていると思うのですが、まずは、歴史を振り返り、何が起きていて、自分たちはどういう仕組みの上に暮らしているかという基礎理解をすることが第一歩だなと思います。そういう意味で、よい教材でした。