2021年4月から、「生きるための哲学講座」をオンライン上で主催しています。
なぜ、いま、哲学なのか?
企業にしろ、政治にしろ、個人にしろ、これからは「なんのためにどこに向かって」が一層問われてくる時代となると実感しています。
なぜなら、そうしたものが希薄であったりぶれていると、人々はついてこないし、自分自身も自信を持って日々前に進むことができなくなります。
しかし、何の思考の枠組みもなくこれにのぞむのは現実難しいものです。そこで哲学です。
古今東西の哲学者・思想家に思考の枠組みを学ぶ。守破離ではないですが、自分オリジナルな思考の枠組みをゼロから構築するのではなく、すでに先人が築いてきた智慧を使う戦法です。
さて、6月はフロイト。
フロイトは精神分析医の草分けとして有名ですが、哲学者・思想家としての功績は何でしょうか?
このセミナーを行うにつれ、わかってきたこと。それは無意識という概念、あるいは人間が意識せずに抱えているトラウマ・本性・抑圧された情動などについてタブーをおそれず扱ってきたことにあるのだということです。
人間の行動や普段の生活習慣、癖などには、自分では意識していないものの、その人オリジナルな行動パターンを感じるものです。その裏には、表面だけを観察していてもわからない何かがあるのではないでしょうか?
例えば、ゴミ屋敷に住んでいる住人がいるとして、外部から強制的に片づけをしても、また繰り返してしまう。世間の常識からしたら、なぜ汚れた環境に身を置いても普通でいられるのだろう?とか、せっかく片付いてもなぜ繰り返してしまうのだろうという疑問が残ります。しかし、本人にはそうせざるをえない、自分でも説明がつかない心理的な事情があるに違いないわけです。それは孤独な環境であったり、整理しようにもなぜかできない理由があるのかもしれません。
これは一例でしたが、私たちは、人の行動に腹を立てたり、強い違和感やイライラを感じることは日常的にあるわけですが、そこに本人すら言語化できない無意識の世界が介在していること、またそれに思いを巡らせるプロセスを入れることにより、例えその解釈が正確でないにしても、双方に心理的な余裕が生まれる可能性はおおいにあるわけです。
そこに気づかせてくれるきっかけをつくったという点で、フロイトの功績は評価できると感じています。
来週でフロイトの探求も最終回。セミナー参加者の皆さんからどんな問いが発せられ、どんな対話が展開するのかが楽しみです。
なお、生きるための哲学講座 シーズン2(7月ー9月実施)についてのご案内はこちらです。
https://resast.jp/events/550657