教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

両国高校言語能力向上拠点校発表会に参加

2015-01-20 | 研修・セミナー・講演など
1/19に、両国高校(中学併設)の言語能力向上拠点校授業公開および発表会が行われ、参加してきました。


英語、国語、生物、情報の授業見学のあと、全般的な取組や中学3年生で行われる海外研修や質疑応答が行われました。

この質疑応答の中で、言語能力の向上や生徒が主体的に活動していくことに対して、以下の工夫をしていることが目を引きました。
なお、下記の実践は全校あげてということではなく、ある教科・科目や担当者による工夫となります。
ただ両国高校ではこうした実践が先生どうしの自主的勉強会でシェアされており、広がっていることも特徴です。

1.恥を書き、失敗することを推奨
 英語の授業などでは、たくさん失敗することを意識した授業づくりが行われていました。
 また、失敗してもリカバーして再挑戦できる機会が与えられており、そうしたことで生徒はスパイラルに成長していくのだと思います。

2.自分で考えるためにはしっかりした知識習得も必要
 生徒主体のアクティブラーニング型授業ではともすると生徒が活発に活動することのみに目が行きがちです。
 しかし、討論でも何でも、しっかりした基礎知識なしには進んでいかないのもまた事実であり、こうした基礎知識、基盤となるものをマスターすることも大事になってきます。従って、アクティブの裏にある地道な基礎学習をどう定着させていくかもカギです。
 英語では文法の学び方をパートに分けて生徒に資料をつくらせ、その優秀なものをコピーして配ることなどを通し、生徒自身の手で基礎学習が進むように段取りされていました。なお、ここでの教師の登場は、例えば生徒が作成した資料の間違いを指摘するなどがあるそうです。

 座学中心だと一度ついていけなくなると取り戻すのが大変ですが、アクティブラーニング型だと教え合いなどの場面も多く、度胸で取り戻せる場面が増えるとのことです。知識取得とアクティビティは両輪でありバランスが大事。

3.誰かのために何かをする
 授業のアクティビティに、「誰かのために何かをする自分」という要素を入れるとのこと。
 そして能動的に動いた時に知識は定着していくということ。
 そして、その活動を通して壁にあたるけれど、それを乗り越えさせていくということ。
 教師は問題の解決方法を提示し、教えすぎないこと。
 

4.ペア・グループ活動の工夫
 同じペア・グループで固定化しない。
 両国高校の席配列は男女の列が交互に並んでいます。
 これによりペア学習の時に、男→女 女→男 に教え合いがされるという構造です。このことで微妙な緊張関係を生んだり、プライドをくすぐっています。
 グループも3~10分で入れ替わったり、男女のペアもフォークダンスのように次々に入れ替わったりします。

 昨今、LINEでのいじめや集団に溶け込めないコミュニケーション不全の問題が言われていますが、このように多様なグループ編成を教員側がリードすることによって、いわば強制的にさまざまな生徒と対話する機会が授業中に増えることは、こうしたコミュニケーション不全の防止にも大いに役立つのではないかと感じました。


5.大学入試などへの対応
 問題や解答解説を生徒に出させて、グループで話し合ったり、生徒の中で解説担当を決めてグループに戻して教え合うなどの活動も展開が可能。
 どれが優れているか、なぜ優れているか、こうしたことを教師の視点・観点で話してあげたりアドバイスすると効果的と考えられるとのことでした。

今回の発表会および質疑応答だけでも、今後の学校での学び方について大きなヒントを得ることができました。
ありがとうございました。




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