(TOCANA3/21,2015より抜粋)
http://tocana.jp/2015/03/post_6023.html
■謎だらけのパワースポット「押戸石の丘」に行ってみた
※写真はすべて筆者撮影
・古代人のカレンダーだった!?
筆者はこれまで、“聖地巡礼”と称して国内外で数百カ所の神社仏閣や教会を訪ねてきたが、2005年8月、「押戸石の丘」にも足を運んでいる。
阿蘇北外輪山の標高845mにある巨石群、「押戸石」――。
実際に訪れてみると、これらの巨石群が古代の人々によって“意図的に”配置されたことが分かる。
たとえば「はさみ石」と呼ばれる夫婦岩のような一対の岩では、夏至には岩の間から太陽が昇り、冬至には太陽が沈むという。
このような例は日本各地にあり、古代の農耕行事に必須な情報を得るためのカレンダー的役割を果たしていたと考えられる。
・方位磁石が狂う!?
「押戸石の前では方位磁石が狂う」と言われている。そのため、筆者も持参した方位磁石で試したところ、確かに正しい方角を示さなかった。
しかしこの現象は、オカルト的な分析を持ち出すまでもなく、単に巨石に磁気を帯びた磁鉄鉱などの成分が含まれているということで
説明がつくかもしれない。
岩石や洞窟の 壁面に刻まれた文字を「ペトログラフ(またはペトログリフ)」と呼ぶが、押戸石にはペトログラフとしか思えない文字の
ような線が刻まれているとの指摘がある。しかも、この押戸石のペトログラフは「シュメール文字」が刻まれたものではないかというのだ。
シュメール文字といえば、紀元前2600年ごろから古代 メソポタミアのシュメール人たちが使用していた楔形文字だ。
日本のペトログラフ研究の第一人者とされる吉田信啓氏の『日本のペトログラフ』(六興出版)によると、押戸石のペトログラフは、1988年に
南小国教育委員会の職員が発見したという。
ピラミッドのような形をした「太陽石」と呼ばれる巨石に、シュメール語で、「イルガガ(祈る・雨)」「神」「大地母神」「男神」など、原始信仰に
関わる言葉が刻まれているらしい。
昔はこの太陽石に登ると雨が降るとの言い伝えがあったというが、雨乞いなどにも用いられていたのだろうか。
【写真3】「太陽石」と呼ばれる高さ5.5mの巨石
しかし、どこにペトログラフがあるのか、筆者も同行者も見つけ出すことはできなかった。
岩全面に3本刃の熊手を立てたような線が刻まれており、それが下の 図で示す「男神」を意味する文字だったのかもしれない。
ただ、それにしては溝が深すぎる気もするので、自然の造形である可能性も否定できない。
【図】「押戸石 公式サイト」より。上段中央に男神のペトログラフがある。
・ シュメール人は日本に渡来した!?
それにしても、なぜ古代メソポタミアのシュメール人が使用していた楔形文字が、遠く離れた日本の岩に刻まれているのだろうか?
この謎に答えるものとして、「日本人の起源が古代シュメールにあった」という驚くべき説が存在する。
既存のアカデミズムからはトンデモ扱いされているが、「日本人シュメール起源説」の歴史は古く、元禄時代に渡来したオランダ人歴史学者、
エンゲルベルト・ケンペルが初めて提唱したものだ。日本史を研究した彼は、「高天原(『古事記』において、日本をつくった神々が生まれた
とされる場所)はバビロニアにあった」という結論に至る。
この説は、大正時代の原田敬吾氏、そして現代では民間研究者の一人である岩田明氏などに受け継がれた。
岩田氏は、著書『消えたシュメール人の謎』(徳間書店)の中で、「4000年ほど前に海洋民族であったシュメール人たちが海を渡り、
南インド~東南アジアを経由し、行く先々に根拠地をつくりながら日本に渡来したのだろう」と述べている。なんともロマンあふれる興味深い話だ。
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【写真4】3と同じ「太陽石」いずれにしても、実写版映画『進撃の巨人』を製作中の樋口真嗣監督は、このような話があることを知ってか知らずか、「押戸石の丘」をロケ地に選んだわけである。ペトログラフや「日本人シュメール起源説」の真偽はともかくとして、それらを頭の片隅に置きながら映画を鑑賞すると、また別の楽しみ方ができるかもしれない。
百瀬直也(ももせ・なおや)
超常現象研究家、地震前兆研究家、ライター。25年のソフトウエア開発歴を生かしIT技術やデータ重視の調査研究が得意。ブログ:『探求三昧』、Web:『沙龍家』、Twitter:@noya_momose
※百瀬氏が企画・執筆したコンビニムック『2015予言 戦慄の未来記』(ダイアプレス)、大好評発売中!
【参考】:「押戸石 公式サイト」、ほか
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